08:38
七面坂を下ったところにあるのが、「ひみつ堂」。かき氷の大人気店。
「運良く、行列がなかった」なんて試しがないお店。日光の天然氷をいち早く使って、ふわふわの氷を提供したという点でも先見の明があったし、「かき氷といえば、毒々しい色をしたシロップをかけて食べるもの。うまくはないけど、なんとなく食べるもの」から、「美味しいシロップをきっちり作り込んで、それを素晴らしい氷とあわせる食べ物」に進化させたお店だ。
行列さえなければ、毎週でも通いたい、と僕でさえ思ってしまうようなお店だけど、そんなことがあるわけもなく、結果的に最近はすっかりご無沙汰だ。昔は、「列が短いであろう」頃合いを見計らって、厳冬期の日没後に訪れていたりもしたものだ。
ちなみに冬の間は、シチューがメニューにある。暖かくなったり、冷たくなったり、胃袋がびっくりするひとときを過ごすことになる。
そんなお店は、もちろん夏休みシーズン中が激混みだ。今日は朝8時から営業開始、しかも本来なら定休日だけど海の日三連休なので臨時開店、というトリッキーな設定になっているにもかかわらず・・・ほらー、もうこんなに並んでるんですけど。朝8時半だぞ?ごみ収集車でさえ、ようやく動き始めている時間に、もうかき氷店に行列だ。いくらメガロポリス東京でも、これは驚き呆れる。
でも、ラーメン二郎三田本店が、一杯のラーメンを求めて朝9時前に店頭に行列ができていることを考えると、これもあり得ない話じゃないか。
店員さんに聞くと、朝9時から整理券を配布するのだそうだ。そのときにまた並んでくれ、と言われた。つまり、今これ以上並ばないでねーというわけだ。一旦、お店を後にする。
整理券配布、というとお店にとっても客にとってもラッキーな仕組みなようだが、「整理券を配るため」の店員を1名、店の外にスタンバイさせておかないといけない。なので、朝一番から整理券配布というわけにはいかなかったのだろう。
「店頭に時間を記した整理券を置いておきますので、ご自由にお持ち下さい」
というルールにしたら、たくさん整理券を取って転売する輩とか、いろいろトラブルが起きそうだ。一旦きっちりお客さんを並ばせて、人数を確認して、整理券を発行した方がもめ事防止になるだろう。
08:41
さすがに僕らとて、寝起きの朝イチでかき氷というガッツはなかったので、かき氷先送りは賛成。えーと、9時に整理券を受け取るとなると、かき氷が食べられるのは10時くらいかな?
整理券配布までの20分間、ちょろっと周囲を散策することにする。
「ひみつ堂」から歩いてすぐのところにある、黒塗りの建物。これが「HAGISO」という建物。もともと、「萩荘」というふるーい下宿風のアパートがあったのだけど、それを魔改造して複合施設にした、というもの。
一階にはカフェとギャラリー、二階にはオフィスが入っている。ここのギャラリーには、僕は何度か訪れたことがある。
隣のカフェのカレーの臭いに気を取られてしまい、アート作品から気が逸れてしまうので注意。
こういう古民家リノベってのが今時の流行りということで、昼時になるとカフェは人でごった返す。席が空くのを待つ客が外にあふれるくらいだ。
08:43
HAGISOの向かいが、「岡倉天心記念公園」。
日本美術院を興し、明治期の美術家の育成に尽力した岡倉天心の旧宅跡。ばばろあが地図を見て「ここに行ってみたい」と言っていたのだが、あるのは単なる公園だった。
僕自身、以前から「単なる公園」だとわかっていて、一度も足を踏み入れたことがない場所だった。せっかくなので、ふたりで公園内に侵入。ぐるっと見て回る。
「普通の公園だな」
「特にこれといってすごいものはないな」
あるのは、茨城県五浦にある六角堂を模した建物がある程度だ。
ここを観光地と思って訪れると、拍子抜けをするので注意。まあ、谷中で「これはすごい!これは見る価値がある!」というスポット、というのは殆ど存在しない。谷中全体がすごいのであって、町歩きを楽しむエリアだ。一つ一つの施設や寺院、建物はさほど大したことはない。
なお、後で知ったのだけど、この敷地内にはいたるところに六角形をしたものが潜んでいるそうだ。それを探すのが楽しいんだとか。そういえば、トイレが六角形だったな。あと、水飲み場が六角形だった。
08:48
お寺の外壁。
ブロック塀だけど、独特の石だ。一部、レンガ積みのところもある。
ばばろあが何か解説してくれたような気がするけど、忘れた。
肉。
すがすがしい。
前後の文字板が長年の風雨で剥がれ落ちてしまい、「肉」の文字だけ残ったのかと思ったけど、違うっぽい。
ということは、ははーん、さてはここは肉屋だな!?
もしこの推理が違ったら、大変なことだ。
でも、焼肉屋なのか、ステーキハウスなのか、そこまではこの外観からはわからない。
谷中散策は、老若男女問わず大勢の人が楽しんでいる。
よくこの界隈では、10名前後の中高年の集団に出くわす。手には地図を手にしているので、「ああ、観光客だな」というのがすぐにわかるのだが、中高年は街の歴史を楽しみ、若い人はミラーレス一眼を首からぶら下げ、路地の激写に余念がない。
いずれにせよ、単にこの界隈が「寺町」というだけなら、全然面白みのない場所だ。墓とお寺。お寺といっても、立派なご本尊が観光客に公開されているような、そんなお寺は少ない。
じゃあなんで観光客が大勢やってくるのか、というと、こういう路地が面白いからだ。
車一台通り抜けられない、そんな路地があちこちにある。そして、東京の真ん中にある場所とは思えない、「油断しきった」生活感がそこにはある。失礼ながら、「ぼろい」と言ってもいい建物がいっぱいだ。一方で、こういうところに住みたい人もいっぱいいるので、新しい一戸建てが建っていたりする。その新旧ごちゃ混ぜ感が、若い世代にはとても面白く映る。
古い建物の隙間に新しい建物が建っているのを見ると、「あー、この界隈の再開発はこれでまた一歩遠のいたな」と思う。でもそれは、この町の生活感が今後も生き残る、ということでもある。
ブロック塀の隙間からこんにちは。
ガスメーターがひょっこり顔を出していた。
これ用に、わざわざブロックをくりぬいている。狭い敷地ならではの工夫。
間口がすごく狭いセブンイレブン。
日本のコンビニは、大抵「横が長い」タイプなので、こういう入口分しか間口がないコンビニを見ると「おやっ?」と思う。一方、東南アジアのコンビニはこういう縦長の店舗が多い気がする。
古い民家をリノベーションしてコンビニにしたのではなく、一旦更地にして、新しくコンビニを建てたようだ。そのせいで、現在の建築基準法にあわせた建ぺい率になっているっぽい。つまり、隣の家との間がスカスカに空いているように見える。猫が通り放題。
別に珍しいことじゃないんだけど、この界隈の古い家は隣との隙間がミッチミチなので、こういうのを見るとちょっと贅沢に感じる。
古くからやっていそうなお店。尾張屋。
鰻屋のようだけど、看板を見る限り蕎麦もやっているようだ。鰻せいろ?いや、それはさすがにあわないと思う。
鰻を食べる人は鰻を、蕎麦を手繰る人は蕎麦を、という棲み分けなのだろう、きっと。
08:59
谷中銀座。昼間は平日でもごった返すこの商店街も、朝9時前はご覧の通りがらんとしている。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (2件)
>おかでんさん
髭のルーロー飯、ねぐらの金沢の隣の野々市市に辛うじて残ってます。
金沢工大生の胃袋のパートナーとして頑張ってますよ。
たまにアワれみ隊の記事が頭に浮かぶと、つい車を飛ばして食べに行きます。
罪な食べ物ですね(笑
ティータさん>
ひげ張!懐かしい!ありがとうございます、すっかりその名前のことを忘れていた!なにせ、渋谷にあったのはずいぶん昔だから!食べたいなぁ。