12:30
このあたり一帯のことを「谷根千」と総称するけど、実際そのエリア全体を歩くとなるとかなり広大なエリアになる。多くの人は、「谷中」を歩くことになるのだろう。
僕らも、そう。ひとまず、「へび道」と呼ばれる暗渠を歩きつつ、谷中の端っこ、上野桜木町のあたりまで行って戻ってくることにした。
正面に見えるのは、ヒマラヤ杉。まるで門番さんのように、堂々と道路の真ん中に生えている。そしてその影に隠れるように、パン屋がある。
こういうのがひょっこり現れるのも、谷中歩きの楽しさ。
12:36
「下町風俗資料館」なる施設がある、ということだったので上野桜木まで歩いてきた。しかし、あったのは移設されてきた古商店、1つ。
「あれ?資料館っぽくないぞ」
調べてみたら、下町風俗資料館は上野の不忍池近くに資料館そのものがあって、ここは「下町風俗資料館付設展示場(旧吉田屋酒店)」という場所だ、ということがわかった。なんてこった。
もちろん、この酒屋も貴重な建物なんだと思うが、エアコンがきいた涼しい建物の中で優雅に下町風俗を学ぶつもりだった僕らからしたら、「しまった・・・」という印象だった。なにせ、全然涼しくない。
中に入って昔の酒屋の様子を学ぶ。
いろいろ当時の様子が再現されていたようだけど、印象に残っていない。
「昔は、夏でもエアコンも扇風機もない中で仕事をしていたんだな」
という印象ばっかり。
12:35
旧吉田屋酒店の近くに、「愛玉子(おーぎょーちー)」という名前のお店がある。その名のとおり「愛玉子」という名前の台湾スイーツを売るお店だ。
昔からあるお店で、僕も何度か訪れたことがある。レトロ感ある雰囲気。
しかし、店内の様子が全く見えないので、お店に入るのにはちょっと勇気がい外観でもある。
高い料理を出すお店ではないので、安心して中に入って大丈夫。
とはいっても、中はご覧の状態。
モノがとにかくたくさんあって、情報量が多い店内だ。昨今の、こざっぱりして殺風景でさえあるカフェに慣れてしまうと、このお店の情報量には圧倒されてしまうだろう。
こういうのも含めて、「風情」と思える人向けのお店。
愛玉子メニュー。
愛玉子そのものは寒天のようなもので、味は特にない。レモンシロップをかけて食べるのが一般的だけど、このお店はワインやウイスキーをかける食べ方も提案している。
こうなると、デザートなんだか飲酒なんだかよくわからない。酔っ払うほどのアルコールが入っているのか、ウイスキーボンボン程度の少量なのかは、不明。
愛玉子。
暑いので、かき氷が上に載っている「氷愛玉子」を注文したのだけど、店主のうっかりでノーマルの愛玉子がやってきた。特に冷えているわけでもなく常温なので、まったりと食べる。
味は、寒天をレモン汁で食べているということ以上には言いようがない。
これでゼロカロリーでヘルシー!というならありがたいのだけど、しっかりご飯と同じくらいのカロリーがある食べ物だ。食べるタイミングが難しいデザートといえる。台湾の屋台街では必ず愛玉子のお店があるけれど、台湾の人たちはいつ食べているんだろう?やっぱり、「最後のシメ」だろうか?
13:00
谷中霊園に向かう途中、ばばろあが急に「ちょっと待って、立ち寄りたい」と言い道を逸れた。
何事かと思ったら、そこにあったのは骨董品店だった。
越前焼を一昨日買ったばかりのばばろあだけど、隙あらば何か良い品を、と目を光らせている。先ほども、へび道のところにあるお店で骨董品を物色していたっけ。
僕ならこういうお店は、視界に入っても認知はできなかったと思う。さすがばばろあ。
中に入り、ばばろあは店員さんに直談判。
「●万円ほどのもので、酒器があれば見せて欲しい」
と。なるほど、最初から予算感をお店の人に伝えてしまうんだな。
交渉の中で、「いやー高いなー」「もう少し安かったら買うんだけどなー」と値引き交渉をして、値段を決めるものだと思っていたけど、それは素人考えというものか。
このばばろあのリクエストに基づき、お店の奥から出てきた器をいくつか眺めたばばろあは、さっさと見切りを付けてお店を後にした。
条件を最初に伝えてあったので、白黒決着を付けるのがものすごく早い。
「いまいちなものしかなかった。具体的な値段も提示して商品を見せてくれ、って言ってきてる本気の客なんじゃけえ、もうちょっとええもん出してきてもええのにねえ」
とばばろあは語った。
14:48
二人はおかでん邸に戻り荷造り。
最後に二人で記念撮影。
2018年夏、アワレみ隊企画はこれにて終了。ひたすら東京観光という、特に珍しくもなければ企画っぽさもない2泊3日だったけど、なんだか気が付いたらあれこれ食べまくった。
今後、2018年夏を振り返ったとき、「ばばろあと二人でやたら食べた年」ということを思い出すだろう。
日暮里駅で、ばばろあは
「これから(山口の)家まで6時間くらいかかるわ。先がまだ長い」
とぼやきつつ、新幹線の中で食べる用の食べ物をあれこれ買い込んでいた。
「日暮里の名物といえば、羽二重団子だよ」
と入れ知恵すれば、彼は羽二重団子を買う。
「谷中の『腰塚』(精肉店)の惣菜類はうまいぞ」
といえば、腰塚のサンドイッチを買う。
「おい、新幹線の中で食べ切れるのか?」と心配になって声をかけてしまうくらい、ばばろあはあれこれ「東京旅行総仕上げ」をやっていた。
僕はこれにて「食べ歩き2泊3日」が終了したけど、ばばろあはこの後夜までずっと、一人で番外編を新幹線の中で続けていたに違いない。
僕ら昭和48年度生まれ(ばばろあは1973年、おかでんは1974年生まれ)。年齢的に、もうあまりあれこれ食べるわけにはいかない世代になってきている。二人とも独身なので、あれこれ食べる財力はそこそこある。しかし、欲望に任せてあれこれ食べ続けると、身体が悲鳴を上げるだろう。
これだけ気持ちよく食べ歩きができるのは、自分の人生の中でもうあまり時間が残されていないのかな、という気がしている。なので、今回の企画はとても良かった。
特に、僕がすっかり忘れていた、「飲食店をハシゴするガッツ」を思い出させてくれたのはありがたかった。本当に久しぶりのことだ。
たまにはこういうのもいいよな。いっつも、というのはさすがにまずいけど。
ニヤリ、と笑いつつ楽しめた、二泊三日だった。
(この項おわり)
コメント
コメント一覧 (2件)
>おかでんさん
髭のルーロー飯、ねぐらの金沢の隣の野々市市に辛うじて残ってます。
金沢工大生の胃袋のパートナーとして頑張ってますよ。
たまにアワれみ隊の記事が頭に浮かぶと、つい車を飛ばして食べに行きます。
罪な食べ物ですね(笑
ティータさん>
ひげ張!懐かしい!ありがとうございます、すっかりその名前のことを忘れていた!なにせ、渋谷にあったのはずいぶん昔だから!食べたいなぁ。