食わずに死ねるか!【東京下町食べ歩き】

昭和世代、最後のあがきなのかもしれない。

日 時:2018年(平成30年) 07月14日-16日
場 所:日暮里、浅草、秋葉原、谷中界隈(東京都)
参 加:おかでん、ばばろあ(以上2名)

山口に住むばばろあが上京するので、僕の家に泊まりたいという。僕はちょうど引っ越しをしたばかりで、お客さんを我が家にお迎えしたいやら泊まらせたいやらでウズウズしていた時期だったので、渡りに船だった。もちろん、快諾した。

僕が引っ越しをしたのは、交通の便のよいところに家を構えたかったからだ。あちこちからお客さんが遊びに来られるようにしたかったし、また、僕自身もあちこちに出撃したかった。これまでの交通の不便な場所では、何かと不自由だった。家が広かったのは良かったのだけれど。

それにしても何故ばばろあが単身上京してくるというのだろう?

彼のライフワークである、「砲台跡・城跡巡り」の場所探しのため、戦時中の航空写真を探しに国立国会図書館に行くのが目当てだと思ったが、「違う」とばばろあは言う。

「今はもうネットで手に入るんよ、そういうのは。写真が届いてみて、思いっきりアテが外れていて頭を抱えることもあるけど、わざわざ東京に出てくる時間とカネを考えたら安いもんよ」

なのだそうだ。それは残念だ、アワレみ隊メンバーの中では、もっともばばろあが東京の我が家を足場として使ってくれそうだったのに。

では何故今回?というと、7月15日に幕張メッセで「艦これ」のアイススケートショーがあるのだという。それを見るためにわざわざ山口から東京に出てくるのだ、という。相変わらずフットワークが軽い男だ。

艦船バトルのゲームである「艦これ」が2.5次元になるのはまだ理解できるのだけど、それがアイススケートのショーになって、しかも伊藤みどりまでもが出演するとなると、もうわけがわかんねぇ。後でばばろあからいろいろいきさつを聞いてようやく納得したけど、ここでそれを書くのは面倒なのでやめておく。

いずれにせよ、15日に幕張メッセに繰り出すので、前後1泊ずつ、合計2泊をおかでん家で過ごすということになった。2泊3日の東京ツアーの幕開けだ。

本当は、チケットが1枚余っているのだという。しぶちょおが参加するかと思って、本人に確認を取る前に2枚チケットを購入したのだけど、いざしぶちょおに打診したら都合が悪かったのだという。

「おかでん、良かったらいかん?お金はええけえ」

と誘われたけど、ちょっと考えた後お断りした。なにせ、「猛暑」という言葉では形容しきれない、気温が40度近くにもなっている今年の夏。しかも、熱心なファンが大勢幕張メッセに詰めかけているわけで、全く予備知識がない僕は単に疲労困憊してしまいそうだ。

まだゲームに夢中になれるばばろあの情熱とその若さに、軽く嫉妬を覚えた。僕は、そういう情熱が既になくなりつつあるようで、なかなか腰が重い。我ながら残念だ。

若い頃ッ・・・!俺の若い頃は、あれだけエロゲーに情熱を注いだというのにッ・・・!

やめろやめろ、どさくさに紛れて自分の恥ずかしい過去をカミングアウトするのはよせ。いくらそうやっても、何の贖罪にも今後の決意表明にもならないぞ。

そんなわけで、2泊3日のスケジュールでばばろあが東京にやってきた。今回は、その3日間のお話。特に遠くに行くでも、何かの企画をやるでもないけれど、男たちの、年齢相応以上の熱い夏の小話。

2018年7月14日(土) 1日目

ばばろあがやってきた。昨年11月、広島のますゐで会って以来だ。

本当は今年のGW、ばばろあとしぶちょおの2名が中部地方~北陸地方を旅しながらキャンプしたり温泉に泊まったりのツアーをやっていたのだけど、僕はそれに合流せずに同日程で上高地ソロキャンプをやっていた。そのときの僕は、一人で静かに過ごしたい気分だったからだ。

年齢を重ねるにつれ、だんだん人と人とが会うというのは難しくなってくる。遠方ならなおさら、だ。家庭環境、気力体力、場合によっては各自の持病の有無とか。だんだんお互いが好む条件という最小公倍数が大きくなってくる。

ばばろあに、「東京で何がしたい?」と聞いてみた。

「おかでんが以前言っとった『東京都内にある大使館を全部回る』というのはいずれやってみてもええけど、さすがにこの暑さじゃねえ。今回じゃないじゃろ」
「そりゃそうだな、屋外で何かをやる、というのはちょっと無理だ」
「それはまた今度やろうや。みんな集まったときにでも」

じゃあどうするんだ、となると、もうメシでも食うしかあるまい。あとは美術館とか博物館に行って涼むくらいしか、とっさに思いつかない。ちょうど海の日3連休ということもあって、車を借りてどこかへ繰り出すぞ!というのも渋滞予報の前に気が萎える。

「東京ならでは、のものが食いたいんよ」

ばばろあが言う。東京ならでは?もんじゃ焼き、みたいな?

「今わしが住んどるとこ(山口県某所)は、大したもん食える場所がないんよ。オーソドックスなものしか食えん。やっぱ、かわったもん食おう思ったら、東京みたいな大都会に出てこんと」

なるほど、そういうことか。つまり、エスニック料理とか、そういう「おやっ!?」と思える非日常料理、というわけだな。

えーと、どうしようか。

クスクスを食べるばばろあ

13:36
そんなわけで、最初にやってきたのは日暮里駅前の雑居ビル内にあるお店。チュニジア料理店、「クスクス」。

ばばろあ、いきなり山口県からチュニジアに高飛びだ。

雑居ビルの上層階の奥にあるお店なので、お店に入る時に若干ドギマギする。そして、店員さんがチュニジア人?なので、余計「なんか場違いな所に来ちゃったかも」とびびる。

でも、こういうお店がいい筈だ、きっと。

このお店の名物は、店名のとおり「クスクス」だ。

ばばろあには、日暮里駅前にあるお店として「チュニジア料理と、手打ち拉麺の店と、焼き小籠包の店」の3択を提示していたのだけど、彼は「よし、今日はまずチュニジアにしよう。あわよくば手打ち拉麺も。腹一杯でダメなら次の日にでも」なんて言ってる。めっちゃ食べる気満々じゃないですか。

クスクス

ばばろあが頼んだクスクス。

北アフリカでは主食として食べられるものですよ、というのは知識としてあっても、いざクスクスを食べる機会なんて日本じゃ滅多にない。なので、それが食べられるということでこのお店は貴重だ。しかもランチでも提供がある。確か950円(税別)だったと思う。

クスクスとは、早い話「チネった小麦粉」だ。それだけではうまくないので、トマトスープが添えてあって、時々それをクスクスにかけつつ食べる。一気にじゃばーっとかけて、おじやのようにして食べるのは下品らしい。

味はおいしい。「物珍しさ」という要素もあるけれど。

ばばろあは、珍しがって喜んで食べてくれた。まずは良かった。

煮込み

僕はクスクス以外のものにしよう、ということで、チュニジアの煮込み料理を頼んでみた。

トマト煮込みで、野菜と肉がごろごろ入っている。それをライスの上にかけて、丼状の料理だった。

これもおいしい。

浅草寺

14:50
日暮里駅から錦糸町行きの都営バスに乗れば、言問通りを通って浅草寺の裏側にたどり着くことができる。

今日は夜まで浅草観光を楽しむことにした。

何故今更浅草なのか、というと、ばばろあが「駒形どぜうで夕飯」を希望したからと、「今更だからこそ、改めて観光してみてもいいんじゃないか、浅草」という考えがあったからだ。

浅草寺

それにしても猛烈に暑い。

ちょっと久し振りの浅草は、ものすごく外国人観光客が多かった。国籍問わず、大勢の人が集まっている。そういう観光客を見ると、なんだか日本人として申し訳なくなる。「暑くてすいません」って。もちろん僕のせいではないのだけれど。

こんな暑いのに、和服や浴衣を着て歩いている人が結構いる。外国の人も、浴衣姿の人がときどきいる。どうやら、貸衣装屋でレンタルし、着付けてもらったのだろう。

仲見世通り

15:01
今更ながらの仲見世通り。僕はここ5年以上、浅草からさほど遠くないところに住んでいて、浅草を訪れる機会は時々あった。しかし、観光客だらけの仲見世通りは敢えて避けていた。だって、人が多いから。

でも今回の我々は堂々たる観光客だ。左右をキョロキョロ見ながら、通りのど真ん中を闊歩するぜ。

雷門

15:12
ばばろあとおかでん。2018年夏バージョン@浅草雷門。

甘酒を買うばばろあ

雷門の傍らには、「雷おこし」の老舗がある。

老舗として有名だけじゃなく、ここの店主がサーフィン好きのため、びっくりするくらい日に焼けて色黒だというのが有名だったりする。

実演販売をいつも店頭でやっているので、雷おこしを包丁で刻む様子を見学しにいく。

すると、「これ、新作なんですよ」と一切れ、試食させてくれた。おお、ありがたい。

食べてみると、これがびっくりの「カレーおこし」。いろいろ考えるものだな。確かに、昔ながらの雷おこしというのはお年寄りが食べるイメージがあって、若者はあまり好まない。「貰っても、あまり嬉しくない東京土産」ランキングで上位に出てきてしまうかもしれない食べ物だ。なので、いろいろな味や食べ方を提案して、若者にも受け入れられるようにするのは大切なのだろう。

カレーおこしにとどまらず、「チュロスおこし」のPOPを発見したときは、鬼気迫るものを感じた。

グリーンティーと乾杯

「どうですか、カレーおこし」

と店員さんに声をかけられ、

「うん、うまいんですけど、喉がかわきますね」

と答えたら、

「ビールも売ってるんですよ!」

と嬉しそうに教えてくれた。

「ビールのつまみにもなるように、開発したんです」

という。なるほど、そういうことか。確かに、テイクアウト用に生ビールが売られていた。

「どうするばばろあ、ビール飲む?」
「いやあ、ええわ。さすがにこれだけ暑いと、逆にビールっていう気分でもないわ」

そんなわけで、ばばろあは冷やし甘酒、僕はグリーンティーを雷おこし屋で買った。肝心のカレーおこしは買わなかったのだけど。

「すいません、飲み物だけ買っちゃって」
「ああ、構いませんよ」

今度改めて、雷おこしを買いに訪れたい。さすがに猛暑の中、口の水分を持って行かれる系のお菓子はきつい。

(つづく)