暑さからくる疲労のせいで、だんだん集中力が途切れてきた。屋台がまだまだ続いているんだけど、あんまりじっくりと見る気力が湧いてこない。
「ああ、何か売ってるねえ」
「売ってますねえ」
で終わりになりつつある。一つ一つ見ていけば、それなりに面白いものも売られているのだろう。でもそれを、掘り当てるというのは結構な気合が必要だ。ましてや、大勢の人を掻き分けてともなれば。
小さな子供をつれてきている家族がいるが、子供はくたびれ果てて機嫌を損ねそうだ。あんまり一家で楽しむ場所ではないのかもしれない。
「あれ？去年はこんなところ、入らなかったぞ」
去年はうっかり見逃していた建物があった。どうやら、ここでは米兵さん向けのお土産ものを売っているらしい。任務のため横須賀基地に配属されているとはいえ、その兵隊さんにだって家族や友人がいる。そんな人たちに「日本のスーベニア」を買って帰ることができるようになっているわけだ。親切だな。
お土産物屋の内部も人でいっぱい。冷房が効いているからとりあえず中に入っています、という人も多いのだが、実際に何か売れているようだ。日本人が、アメリカ人向けの日本土産を買ってどうするんだよ、と思うがこれはこれで面白い。
売られているものは、なんだか変なものが多く含まれている。
浅草や東京タワーといった、外国人観光客が大勢やってくる場所のお土産物屋は、「ちょんまげカツラ」とか「東京タワーや富士山、新幹線が一枚に描かれたペナント」とか独特のものが売られているものだ。それの米軍基地版、とでも言おうか。日本人ならあんまり興味が湧かないセンスで作られた製品がいろいろ。
家具が売られているというのが独特なのだが、それらを見ているとアメリカ人は相変わらずオリエンタリズムというのを履き違えていることがわかる。中華風というか、東南アジア風というか、なんだかちゃんぽんになった装飾。でもこういうのが、アメリカ人からしたら「日本的！」と思うのだろう。
そんな家具の上に、スモウレスラーの写真が飾られた額縁なんて載せたらもう、「いかにも日本に赴任していました」感満点、というわけか。いやまあ、いいんじゃないでしょうか。
一つ一つの売り物を仔細に観察したかったけど、気力が続かず早々に退却。
外に出てみると、そこにも屋台。
このあたりになると、僕らに限らず来場者は大抵疲れている。売上げは入退場ゲート付近の屋台と比べて随分と落ちるんじゃないかと心配になる。
そんな貴方に朗報。
Pizza Dog ピザドッグ
ホットドッグにピザソースとチェダーチーズ
パーフェクトな組み合わせ！！
400円
だそうだ。びっくりマーク二つ付けて、驚きと興奮を伝えている。そんなにパーフェクトなのか！？
なんだか「おいちょっと見てくれよ、俺たちスゲー発見したぜ！」という雰囲気だけど、そんなにすごくない気がする。でも、この基地内で売られているホットドッグの多くは、もっと素っ気ない「ケチャップとマスタード」によるものなので、それと比べれば「スゲー」んだろう。
お菓子が大量に売られているのだけど、どれも欲しいと思わない・・・。
昔、僕がまだ純真だったころ、大人世代の人たちが「自分が食べつけないもの、見慣れないもの」に手を出さない様を見て「年取るってヤだな、全然挑戦しようとしない」と侮蔑したものだ。でもおかでん40歳を見よ、今こうして目の前に「新世界」ともいえる見慣れないお菓子があるというのに、全く手に取ろうとさえしない。これが現実だ！
いやまあ、単にまずそうに見える、というのが最大の原因なんだけど。
今年も郵便局にやってきた。
特に何か見たいものがあるわけではないのだけど、一応中を覗いてみる。もちろん、昨年となんら変わりない。
・・・と思ったら、私書箱エリアに足を踏み入れたら、職員さんから「ここは立ち入り禁止」と言われて追い出された。あ、やっぱり外部の人間がうろちょろしていい場所ではないよなさすがに。
野球のグラウンドでは、まさに野球の試合中だった。あえてこの日に試合をやっているということは、何かの親善試合なのかもしれない。どういうチームが対戦しているのかは不明。
アメリカ人の野球だから、もっと「ヒュー」とか「ワオ！」とか華やかな歓声が上がっていると思ったのだが、結構無言で試合が進行していた。
「なんか違うよな、もっと盛り上げなくちゃ」
と言って、打者がアウトになった瞬間に「フー！」と声をかけたら、なんか微妙だった。やっぱり、これだけ灼熱の場所で野球をやっていたら、ご陽気に盛り上がるっていうのも難しいらしい。
どうやらこの試合に勝てばトロフィーがもらえるっぽい。トロフィーが日陰で涼んでいた。
バット5本からなるトロフィー！こういう形のものを見たのは初めてだ。ちくしょう、欲しいぜ！うそだけど。
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