14:16
「ゐ田」をあとにする。1時間以上もの待ち時間の間に、このあとの流れは計算しておいた。筑波山神社に戻るというのはやっぱり相当イヤなので、却下。そのかわり、「筑波山口」なるバス停から出発するコミュニティバス、「つくバス」に乗って帰ることにした。こちらは、山に登り返さなくてよさそうだ。
Googleマップで「筑波山口」なる場所を調べたけど、いまいちよくわからない。なんとなくほんのりと場所がわかった程度だ。バスの路線というのは、地元民以外には本当によくわからない。迂回してみたり、折り返したり。「目的地に最短距離で行く」ということよりも、地域の皆様にお役に立てることの方が優先だ。
わかり得た情報だと、つくばセンターから筑波山に直行するバス(今朝乗った路線)の「沼田」バス停から徒歩3分だという。うーん、じゃあ大体この辺かな、とあたりを付けて歩いて行く。
バスはだいたい30分おきに運行されているようだ。次の便にギリギリ間に合うかどうか。ちょっと早足で歩く。ゐ田を出たのが14:05、バスの時刻は14:25。
すべり台のように筑波山を駆け下りている道、「つくば道」から離れ、水平移動に移る。やれ助かった、このまま下り続けていたら膝が壊れるところだった。
14:28
右手に見える筑波山を見上げたところ。
まるで今いる場所が平地に見えるが、まだここも筑波山の裾野の一部。それにしてもあのてっぺんからついさっきまでゴロンゴロンと転がり落ちてきたと思うと感慨深い。
これしきの山で何が「感慨深い」だ、と思うかもしれない。でも、実際そういうものだからしかたがない。多くの山の場合、目指す山頂というのは手前の山やら尾根を乗り越えた果てにある。だから、麓から気持ちよく自分が歩いてきたルート、そして山頂というのを眺めることができる山というのはあまり多くはないものだ。
14:26
もー。やってらんないぜ、バス案の定乗れなかったじゃんかよー。
今更のようにふてくされる。想定はしていたが、案の定20分ではゐ田から「筑波山口」バス停に到着できなかった。仮にギリギリ間に合ったとしても、「で、筑波山口のバス停ってどこ?」って状態なので、目指していた場所のあたりでウロウロして時間をロスしていただろう。どっちにせよ間に合っていなかったと思われる。
で、ガッカリしているときに出会った、謎の道。「グリーンロードつくば」という看板が出ている。なんだこれ?ランニングコース?でもなんでこんなところに?
視線をそのまますいーっと先に向けてみると、「筑波駅」の石碑があった。
あ、なるほど!
納得すると同時に、スポーツタイプの自転車アンドぴちぴちタイツの人がひゅーんと通り過ぎていった。やっぱり!
ここは、筑波鉄道が昔走っていたところだ。その鉄道の存在自体は僕は知らないのだけど、1987年に廃線となったのち、線路が通っていたところはサイクリングロードとして整備されたと聞いている。それがまさにここだ。
へー、これはかなり痛快にサイクリングができそうだ。楽しそうだ。自転車専用道なので、車や歩行者を気にしなくて済む。
旧筑波駅は、往年の鉄道運行時の気配をまだ残していた。更地にされて農地になるでもなく、駅前は駐車場になっていた。自転車を車に積んでここまでやってきて、ここからサイクリングをするというのがよさそうだ。
どうやらこれが鉄道時代のプラットフォームらしい。今ではベンチとひさしがある程度。そのすぐ脇をサイクリングロードが通っている。
「おっ、駅の看板があるぞ!」と思って近づいて見たら、自転車用の看板だった。現在地は筑波休憩所で、真壁休憩所まで10.3km、藤沢休憩所まで12.4km。
筑波鉄道は常磐線土浦駅~水戸線岩瀬駅までの間を結ぶ路線だった。ちょうど筑波山の西側を回り込んでいく、南北に繋がる路線。
もう一度筑波山を見上げる。
筑波鉄道が運行されていた頃は、筑波山観光の起点がまさにこの地だった。ここからバスに乗り換えて、筑波山神社やつつじヶ丘のロープウェーを目指した。
14:29
その余韻。駅前のロータリーはがらんとしている。
現在のこの周囲の住居数を考えると明らかにオーバースペックだけど、昔の名残だ。
ここがどうやら「筑波山口」バス停、ということになるらしい。今や、つくばエクスプレスのつくば駅に向かうバスが30分に1度、出ているだけだ。
あ。振り返ると、大きく「筑波山口」という看板が出ていた。
タクシーが一台停まっている。誰を待っているのだろう?つくバスの乗客が、ここでタクシーに乗り換えるのだろうか?
つくバスの次の便を待つのが面倒なので、沼田バス停まで歩いて行くことにした。
沼田バス停に向かう途中は、筑波鉄道が走っていた頃からのものと思われるお店がある一方で、新しいお店もあった。製麺所兼飲食店。筑波山の観光客はこんなところを利用しないし、誰目当てだ?と思ったが、そうか、サイクリングをやる人たちが利用するのか。
14:34
沼田バス停到着。ここでようやく、念願の交通機関に乗る事ができる。あとはもう、バスに乗ればノンストップでつくばセンターに到着。そして電車に乗ってびゅーんと東京へ。ああそうだ、今ここは茨城県にいるのだった。あまりに快適にアプローチしてしまったので、まだ千葉県か埼玉県あたりにいるものだと思っていた。
2016年シーズン最初の登山はこうして終わりとなった。さすがに体力が落ちているし、特に山に対するモチベーションというか、ガッツが露骨に足りていなかった。「なんで登らないといけないの?」という次元から考え始めないといけない有様だったのはひどい。
結果的に、「義務感」に近い感じで登って下りてきたけど、でもその結果「よし、次も頑張ろう」という気になれたのでよしとしよう。非常にかったるいと感じる登山だったので、まだ一泊山小屋泊というのは無理そうだ。もう1回ないし2回、今シーズン中に経験を積んでから山小屋にアタックしたい。いや違った、山小屋にアタックするんじゃなくて、山小屋泊が必要となるような山にアタック、だ。
もちろん、山小屋の地獄絵図は忘れちゃいない。あの眠れない・眠らせてもらえない悲惨な戦地をくぐり抜けることができるだけの気力/体力を養っておかなければ。
そんなわけでTo be continued.
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