ふたたび温泉療養に戻る【那須湯本療養2】

12:51
宇都宮やきそば食べ歩きを終え、宇都宮駅に歩いて戻る。

道中、「昆虫研究器具」屋さんを発見。びっくりして思わず撮影。

「オーレリアン」という店名が、なんだか呪術的なもののように見える。なにしろ、手足が長いカミキリムシみたいなシルエットが描かれていて、明朝体で書いてあるから。

調べてみたら、ラテン語で「チョウを愛する人」という意味なのだそうだ。あ、なるほどそうなのか。

そういえば僕の会社の先輩で、数十年来オーレリアンをやっている人がいる。聞くとアツく語ってくれるのだけれど、オーレリアンをやるのは結構大変らしい。ときには山道から分け入って草むらを歩かないといけないし、珍しいチョウを見ようとすると全国各地に行く必要があるという。

その人は一戸建てで、庭に家庭菜園を作っていると言っていた。野菜が採れていいですね、何を育てているんですか?と聞いたら、「野菜はどうでもよくって、チョウが来て貰えるような環境づくりをやっているんだ」と大真面目に語っていたのでびびった。

12:57
前方に、印象的なマンションが現れたので思わず撮影したもの。

マンションというのは、時代によって流行り廃りのデザインや色があるので面白い。たとえば2020年代において、このような茶色の外壁を取り入れるマンションというのはほぼ皆無だと思う。昔、「ライオンズマンション」はみんなこういう茶色で、レンガっぽいタイルを使っていたけれど。

ずいぶん築年数がすごいのだろう、とおもたけど、築1981年のだった。渡り廊下が建物中央にあって、A棟B棟に分かれているっぽい。こういうのを見ると、ワクワクするよな。

13:09
さて、宇都宮での寄り道はこれにて終了。改めてJRに乗り、那須湯本行きのバスの結束点である黒磯を目指す。

「お前、選択肢が多い日常に疲れ果てたから温泉療養に行くんだろ?なんで宇都宮で繁華街をウロウロしているんだ?」

と言われそうだ。実際そうで、こんなことをやっているのは気の緩みとしかいいようがない。真面目に療養をする気迫が足りない(真面目な療養ってなんだ?という問いはともかく)。

ただ、ここまで食べ歩いた3軒の焼きそば屋、というのは出発前にきっちり計画されていたもので、今日はその計画をトレースしただけだ。「もしお腹にまだ余裕があったら、もう一軒」とか「疲れていたら、ここでUターン」などという選択肢は設けていない。そういう判断ポイントがあると、それはそれで疲れるから。

だから、淡々と焼きそばを食べ、「なるほど宇都宮の焼きそばというのはこういうものか」と想像していたものと実際のものとを脳内マッチングさせ、納得してから宇都宮を去る。

14:04
黒磯駅到着。「巻狩の里くろいそ」という看板がお出迎え。そうなのか。しらんかった。

14:06
黒磯駅。高架橋の下に駅舎がある。高架橋は東北新幹線のものだけど、新幹線駅は那須塩原駅なのでここには停まらない。

在来線特急が走っていた頃はこの駅は交通の要衝だったけど、今は那須塩原の方が那須高原の玄関口だ。那須御用邸に向かわれる天皇家も、那須塩原駅をご利用になる。

とはいっても、全ての列車は宇都宮方面からも白河方面からも、この黒磯駅が終着駅になる。素通りができないという点では交通の要衝であることにはかわりない。

僕は広島出身なので、東北方面の青春18きっぷ事情に疎いけれど、たぶんこっち方面の学生たちは、黒磯駅をどうやって突破するか?というのは一つの大事なポイントだと思われる。東海道本線における、大垣駅のようなものだろうか?

「旅情を楽しむためには、始発駅から乗る」ということを愛するのが僕の性格だ。「こうあるべき」という「べき論」を人生のあちこちで持っているし、性格がケチなんだと思う。

だから、那須湯本に向かうバスに乗るなら、当然始発駅である那須塩原駅から乗車だ。本来なら、そうだ。しかし前回那須湯本療養のときがそのパターンだったので、今回は経由地である黒磯駅から乗車することにした。

「なんだよ、バスが満員で座ることができないよ」ということは多分ないはずだし。

あと、黒磯駅の真ん前に「KANEL BREAD」といういいかんじのベーカリーがあることはわかっていたので、そこで明日のお昼ごはんを仕込んでおく。

2泊3日の療養となると、2日目お昼をどうするのか?というのが大きな課題となる。「どうするのか?」というよりも、「そういうのに心を惑わされないように、淡々と過ごせるか?」というのが大事。僕が大規模な温泉街を避けて療養するのは、まさに「淡々と過ごしたい」からだ。

14:48
バスは那須湯本にやってきた。除雪はされているけれど、雪はずいぶん多い。

バスは、僕一人をおろし、ここからさらに那須連山に分け入ったところにある大丸(おおまる)温泉に向けて出発していった。

那須湯本から先には、大丸温泉、北温泉、弁天温泉・・・といくつもの温泉地がある。今回、せっかくだから北温泉のような「バス停から延々歩かないと到着できない」一軒宿に泊まってみることも考えたのだけど、諦めた。

那須湯本から先の公共交通機関のダイヤが薄いため、かなり行動が限定されてしまうのと、お値段がどうしても高くなってしまうからだ。

メンタル的にやられて、打ちひしがれて療養に来ているときに「お一人様で、高額なお宿にご宿泊」という気分にはなれない。できるだけ安く、お手軽に泊まりたい・・・と思うと、行けて那須湯本温泉までだ。あと、今回泊まる宿のように楽天トラベルで予約を受け付けていれば、いちいち電話予約しなくて済むので楽だ。

たぶん、僕に限らず、宿やお店に電話して空席・空室を確認して予約をとる、というのが苦手だったり面倒だと思う人は若い世代を中心に増えているはずだ。売上が伸びない、と悩むんだったら、とっととネット予約の仕組みを入れたほうがいいと思う。もちろん、高い送客手数料をどうするのか問題はあるけれど、ネット予約が当たり前の時代になれば、何かイノベーションが起きると思う。

14:50
宿のチェックイン時間までまだ余裕があったので、そのままバス停から温泉神社を目指す。

温泉神社にご挨拶。

おや。

温泉神社から、賽の河原方面に行けるようだ。

前回、2014年12月に療養で訪れたときは、賽の河原は雪原になっていて足を踏み入れることができなかった。今年は雪が少ないのかもしれない。

わだちがあるので、それに沿って歩く。

(つづく)

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