いいぞォ、山小屋はいいぞォ【仙丈ヶ岳】

北沢峠。

南アルプス林道バスの待合室の道路を挟んだ向かい側に、もう一つ建物が建っている。まるでお互いが張り合っているかのようだ。

こちらは、 南アルプス市営バスの待合所。広河原に向かう方はこちらへどうぞ。

「南アルプス林道バス」と「南アルプス市営バス」でわざわざ別の待合室を作るというのは、随分無駄な気がする。都会のバスターミナルだって、複数のバス会社が寄り集まって一つの施設を共用しているのに、こんな山奥で、わざわざ各自が独自の建物を作っているだなんて、意外だ。

しかし、県が違うし、維持運営の費用や人手の分担を公平にやるのが面倒くさかったのかもしれない。それだったらもう、別に作ったほうがいいや、というわけだ。本当かどうかは知らないけれど。

中に入ってみると、ベンチの作りはさっき見たものと一緒。こちらも番号札がつけられていて、座った状態で整列できるようになっている。

隣との間隔が結構ゆったりと空いているのは、巨大なザックや装備品を持っている人がここを利用することを前提にしているからだろう。

南アルプス市営バスの待合室は、 チケット売り場が待合室内にあった。南アルプス林道バスにはない設備だ。

チケットは売っているけれど、ジュースの自販機なんて気のきいたものは存在しない。

誰もいない待合室をぐるりと見て回る。

壁には、「北沢峠周辺マップ」が掲げられていた。

北沢峠のトイレ。

南アルプス林道バス待合室の隣に作られている。さすがにこれは、長野県と山梨県がそれぞれ設置するという冗長構成にはなっていなかった。

トイレの入り口には登山届の提出箱が置いてある。登山届はここに投函しておこう。もっとも、長野県の山に登るときは、事前にパソコンから電子申請が可能だ。電子申請のほうが何かあったときに早く対応してもらえそうな気がする(根拠はない)ので、もう申請は済ませてある。

昨今は、「山に入る際は登山届を出しましょう」というマナー啓発のレベルではなく、「出してください」とやや強い口調での依頼に表現が変わってきている。時代とともに、「好き勝手山に入って構わない」という風潮ではなくなりつつある。

長野県の山ではないけれど、ヘリコプター捜索・救助サービスに加入していることが入山の必須条件になっている山も現れた。登山者は、発信機の機能を持つ会員タグを携行し、何かあったらその発信機の信号をもとに捜索が行われる。

「こんな便利な保険サービスがあるんですよ、よろしかったらぜひ」なのではなく、「必須」なのだからすごい。いずれはそういう山が増えていくのだろう。ただ、ちゃんとそういうサービスの会員になっているかどうか、誰がどこでどうやってチェックするのか?という課題は残る。登山口が一つだけならともかく、複数あったら大変だ。しかも、24時間登山口に見張りを立てるわけにもいかない。

「この施設のすべての電力は、自然エネルギーを活用しています」という看板があった。

このすぐ近くの山小屋と、このトイレの電気を小さな水力発電機を沢に設置し、自家発電しているのだという。へええ、そんなことができるのか。三相440Vの9.6kW。

北沢峠から仙丈ヶ岳に向かう、登山道がトイレ脇にあった。

仙丈ヶ岳への登山ルートは、ざっくりいうと8の字の形になっている。時計回りに進んでもいいし、反時計回りで登ってもいい、始まりも終わりも、この北沢峠だから。

で、今回の僕は、反時計回りで登っていく予定になっている。この道は、明日下山してきたときに使う予定だ。怪我なく無事に下山できますように、と手を合わせてお祈りしておく。

12:03
南アルプス林道。山梨県側の眺め。深い緑に覆われている。

「ここより2輪車(自転車含む)乗り入れはできません」

という看板が出ている。

逆に言うと、北沢峠から先長野県側なら2輪車の立ち入るができるのか?と思わず振り返ってしまったが、チャリもバイクも見かけなかった。一体どうなんだろう。

後で伊那市のwebサイトを見てみたけど、やはり自転車であっても通行は駄目らしい。戸台大橋のところにゲートがあって、ブロックされる様子。自転車の場合、自然環境の破壊はないとしても工事車両やバスの通行の邪魔になる。

林道脇を、青いザックを背負った人が歩いている。

甲斐駒ヶ岳登山なのだろう。ザックにテントをくくりつけているっぽいので、今晩はこの先にある長衛荘または仙水小屋でテント泊だと思われる。

長衛小屋までここから10分。 そして、 沢に沿ってさらに30分歩いて行くと仙水小屋がある。この時間なら、13時過ぎに仙水小屋に到着できる。今日はのんびり過ごすことになるのだろう。

仙水小屋 | 南アルプスNET|南アルプス市芦安山岳館
 仙水峠の南方にある山小屋。標高2130メートル。収容人員30人。北沢峠から1時間半ほどの距離にある。針葉樹林に囲まれた小さな小屋。完全予約制をとっているのでゆったり宿泊できる。 水は北沢の源流から引いているほか、ミニ水力発...

さすがに、甲斐駒ヶ岳の山頂を今から目指すのはよっぽどの俊足でないと厳しい。

続々と、「北沢峠こもれび山荘」へと吸い込まれていく登山客。

現在地を表す地図。

こもれび山荘のカフェスペースメニューが、 入り口に飾ってあった。

ブラウニーが500円、コーヒーまたは紅茶のセットで800円。

場所を考えると、むしろ安い部類だと思う。いくら車道が目の前にある立地だからといったって、ここがものすごい山奥であることには変わりない。

他にもスープカレー1200円や地ビールなど、いろいろメニューがあるようだ。

ヌゥ、下山したら ここで一息つくのもいいな。バスの時刻まで暇だろうし。

ただ、今これからここで一服、というのは駄目だ。今日のお昼は既に下界から持ってきていたからだ。

持ち込んだご飯はきっちり食べて消費しないと、ザックの「重し」が減らない。食べれば食べるだけ、ザックが軽くなる。特に、ラーメンのように水を使う料理を作る場合、1食調理して食べただけで明らかにザックが軽くなる。これ、とても大事。

(つづく)

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