10:07
戦場ヶ原縦走に先立って、まずは湯ノ湖の湖畔を反時計回りに歩いていく。
正面に男体山が見える。今日は雲が山容の半分を覆っている。
標高が1,500メートル近くあるので、8月頭だというのに快適。湿度も低い。夏に低山ハイクなんてやるのは今の日本だとかなり過酷だ。この時期はおとなしく標高が高いところで登山やトレッキングをするに限るな。
それにしても、この先に標高差70メートルの湯滝があって、ズドーンと水が下に落ちているとは到底信じられない。そんな滝があるならば、このあたりの水は風呂桶の栓を抜いたときみたいにゴゴゴと流れていそうなものなのに。
やっぱり自然は偉大だ。風呂桶と湖を比較検討して、改めて気付かされる。スケールが違う。
当たり前だけど。
10:29
湖畔の道を歩く。
いしは合理主義、というかあれこれ頓着をしない人だ。なので付き合いやすいキャラクターなんだが、服についても極力少量コンパクトを心がけている。その結果、こういうときはいつでも同じ服を着ている状態だ。
モンベルの服をよく着ているけれど、それはモンベルの服が軽量だし、速乾性だし、肌着などは消臭効果もあるので少々着っぱなしでもイケるっしょ!という発想からだ。
登山の嗜みがある僕のほうが、よっぽど荷物が多い。毎日着替えるし、予備も持ち歩く。
ちなみにいしは、この3ヶ月前に5日間のオーストラリア旅行に出かけていた。で、その際の荷物が、写真のオレンジ色のバッグただ一つ。僕が貸したものだが、25リットルの容量だ。こんな少量で5日間の海外旅行に行けるんだから、彼女は相当すごいと思う。しかも、エアーズロックに登るなど、汗をかく旅程だったというのに。
10:30
緑が美しいので、写真を撮っておく。
10:32
湯ノ湖越しに日光湯元温泉の方を見たところ。
はるか遠くにレストハウスが見える。
その背後には温泉が岳などというワクワクする名前の山がそびえていて、いつか登ってみたいと思っている。でも、登ったからといって、その山頂付近に野湯が湧いているというわけではないので思案のしどころだ。
温泉と火山の情緒を楽しむトレッキングなら、草津白根山湯釜の北側にある芳ヶ平あたりを散策するのが楽しそうだ。これは数年以内に行くことができれば、と思っている。
地図を見ていると「毒水」という記述があったりして、ワクワクさせられるエリアだ。草津から万座、志賀高原に通じる道はさんざんドライブしたことがあるけれど、このエリアは全くの未踏だ。気になる。
10:33
水没した倒木も美しい。
湯ノ湖は大きいけれど、水深はとても浅い。
堆積物が多く、湖消滅の危機もあったらしいが、わざわざ湖底を浚渫して水深を人工的に確保したらしい。なのでこう見えても人の手が加わった湖だ。見かけによらないものだな。
10:35
湯ノ湖の最果て、湯滝の手前までやってきた。
ここで遊歩道は湖の上にかかる橋を渡る。橋の下から先が、滝だ。
見納めとばかりに、橋の欄干から湯ノ湖を眺める。
10:39
で、湯ノ湖と湯滝の境界線となる橋を俯瞰したところ。
ほら、橋のたもとを見て。あれほど平穏な湖面だったのに、なにやら不穏な気配が。
10:41
それが、一気にこうなっちゃうんだもの。驚くよな。どうしてこうなった、と。
10:48
遊歩道はそのまま落差70メートルの滝の脇に沿って階段として続いている。
滝を右手に見ながら階段を降りる。
上から下に降りる分には楽だけど、その逆は大変。ビルの非常階段を登るようなものだ。
10:51
階段を降りきって滝壺の脇にやってきた。
そこには売店があり、軽食や甘味を売っていた。
いしが滝そっちのけで売店へと向かっていく。非常にわかりやすい清々しい態度だ。
10:53
「ああなんだ、よもぎ大福は売り切れてるじゃないか」
「いえ、まだありますよ」
買えなくて残念だったねハハハ、と言うつもりだったのに、よく見るとケースの中に1つ、売られていた。白いので、存在を見落としていた。
こうなると、あったからには買うしかないよね?という展開になる。買いましたとも、ええ。
(つづく)
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