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日光湯元温泉から日光白根山を見上げる。荒々しい山容は、昨晩浸かったお湯の迫力に一層の納得感を与えてくれる。
こつ然と良質のお湯が湧いていても構わないんだけど、やっぱり風情は大事。ほらご覧、あれが活火山だよ・・・というやりとりをしながら湯に浸かると、より一層効能が身体に染み渡る気がする。
どうせ長く湯治するわけじゃないんだ、一泊二日の温泉旅行なら、いかに雰囲気があるかが大事だ。
その点、日光白根山は迫力十分。申し分ない。
これで煙がもくもくと上がっている、とか夜になると山頂付近が何やら赤く光っている、といった状況だと若干びびるけど、そんなこともない。昨年2018年に日光白根山を登頂し、その変化に富んだ山容には大満足の登山となったっけ。
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で、その日光白根山からの恵み、をこれから見に行こう。日光湯元の源泉だ。
別府温泉のようにボコボコあちこちに湯が湧いているというわけではなく、メインとなる源泉は一か所らしい。そこから各温泉旅館に配湯し、一部ははるか遠くの光徳温泉や中禅寺湖湖畔の宿にまで運ばれていく。
それだけ湯量が豊富なのだろうから、さぞや荒々しい岩場からゴボッ!ゴボゴボッ!と暑苦しく湧き上がっているのだろう。しかし、その源泉を目指して歩いていくと、なんとものどかだ。
硫黄で黄ばんだ岩!とか草木が一本も生えない!という景色とは大違いだ。夏ということもあって、雑草が生い茂ってらっしゃる。
09:46
あー。
そんな雑草エリアを歩いた先が、源泉エリアだった。
これは珍しい。こんな源泉、初めて見た。
田植え前の田んぼみたいな、泥地のような場所にほったて小屋が何軒も建っている。このほったて小屋こそが、源泉らしい。
ほったて小屋の一つに近づいてみると、小屋の柱に「おおるり山荘源泉1号」という札が取り付けてあった。
自然湧出しているお湯をナイスキャッチしてパイプで施設まで運んでいるらしい。地下深くの水脈からポンプアップするような設備がないし、そもそもこの建物からお湯が溢れ出ている。
「一滴たりとも逃さない」という人間の必死さはここには皆無で、お湯は自由気ままだ。
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源泉エリアをバックに撮影。
このなんの変哲もない・・・というと語弊があるけれど、起伏さえない、単なる湿ったエリアからお湯が湧いているのはなんとも不思議だ。うっかり地上の様子を見に地面に顔を出したところをキャッチされました、みたいな感じ。
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源泉周辺は湿原のようになっている。そういえばこのあたりは木が生えておらず、草しかないというのは「普通じゃない感」がある。でも、地面の色が変だとか、そういう不穏な雰囲気は全くない。
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そんな茂みの中の木道を歩いていくと、たどり着いたのがお寺。
ここは温泉寺という名前のお寺だ。先ほど「温泉神社」にお詣りしたばかりだけど、今度はお寺。そういえば、一つの温泉地に「温泉神社」と「温泉寺」の両方があるって珍しいんじゃなかろうか。
この温泉寺訪問は、今回の旅行の楽しみだった。なぜかというと、お寺だというのに温泉に浸かることができるからだ。
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ほら、「本日、入浴・休憩できます」という札が玄関にかけられている。写経の会が開催される、という予告の張り紙などと並んで日帰り温泉の案内が書かれているのが不思議な光景だ。
昨日、ビジターセンターでもらった「奥日光温泉 日帰り温泉入浴マップ」だと08:00~17:00で入浴可能、と書かれているが、ここの札を見ると今日は9時から入湯できると書いてある。朝湯に入りたいときは時間に注意だ。
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今日はこれから戦場ヶ原縦走の予定なので、まだ入浴はしないでお寺を後にした。
車を日光湯元に置き去りにして、ここから歩いて中禅寺湖を目指す。帰りは路線バスでここに戻ってくるので、そこでお風呂タイムだ。
温泉寺の参道を歩くと、立派な石灯籠がずらりと並んでいることに気づく。昔から信仰篤かった場所なのだろう。
10:07
日光湯元温泉が向かい合う、湯ノ湖の湖畔にやってきた。いい名前だよな、湯ノ湖って。
温泉が注ぎ込んでいて熱い・・・とまではいかなくても、「ぬるい」程度にはなっているんじゃないか?と期待して手を水に突っ込んでみたけど、全然ぬるくもなく普通の湖だった。
なんでも、冬は凍ることもあるそうだ。えっ、そうなの!?湯ノ湖なのに。
(つづく)
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