07:27
朝からご飯を炊く。
前日のうちにロールパンでも買っておいて、それを食べればいいじゃないか?とは思う。思うんだが、未だに僕の中には「キャンプで手抜きは許されない」気分というのが残っている。食事は、加熱調理をした食材を用意してこそ成り立つのだ、みたいな感覚がある。
登山の最中ならシンプルな食事のほうがむしろ向いていると思う。でも、ダラっとした時間を過ごすことが目的のキャンプなので、「まだかなー、まだ沸かないのかなー」と鍋の様子をじっと見ている時間こそが大事だ。
最近、歳をとってきたからか、マルチタスクが苦手になってきた。情報過多な世の中がしんどい。精神的に、というよりも脳がついていけない。「デスクワークをしながらBGMを聴く」ことさえ苦手なくらいだ。そんな中、キャンプはいい。見るもの、聞こえてくるもの、全てがゆっくりだ。
07:31
で、朝ごはん。
道の駅かたしなで買った「山椒ふりかけ」をお供に、無印良品のレトルト(賞味期限切れ)をご飯にかけ、無印良品のフリーズドライスープ(賞味期限切れ)と一緒にいただく。
うん、うまい。朝は温かい汁物をいただくに限るな。身体がシャンとする。
温かいコーヒーを飲むのもいいけれど、あれは上半身のもやもやが取れる感じがする。一方、汁物のご飯を食べると、みぞおちから下がドスッとしてシャンとする。
09:05
キャンプ場の炊事場に、「キャンプ場リボン回収箱」という郵便ポストみたいなものが据え付けてある。
キャンプ場というものは、チェックインをした時点で受付から札をもらうものだ。「この札をテントにくくりつけておいてくださいね」という言葉とともに。つまり、お会計済み・チェックイン済みの証となる札をテントにつけておけば、施設の人は無断利用かどうかをチェックできるというわけだ。
区画が明確に区切られているオートキャンプ場ならともかく、ここのようなフリーサイトの場合は必要だ。で、ここのキャンプ場の場合は、それがリボンなのだった。
多くのキャンプ場は、「◯月◯日から1泊」みたいなことが書かれた札を用意するけれど、このキャンプ場はシンプルにリボンだった。そんなん、いくらでもごまかしがきくのでは?と思ったけど、どうやら毎日リボンの色はランダムにかわるらしい。なるほど。
09:07
のんびりと、全ての撤収作業を終えて最後にキャンプ場で記念撮影。
背後に、日光白根山。
僕がびっくりするくらい痩せている。「いつもだいたい太っている」のに、このときは腰がくびれているくらいだ。
この年、2019年1月から6月までの激やせの経緯は以下の記事に詳しい。写真入りで説明している。
まあ、この記事を書いた時点では話をボカしてますがね、結局痩せたのはいしが登場したことで生活リズムが変わったからだ。いしの仕事にあわせて、こっちも3時間睡眠とか夕食抜きとかザラだったので、ぐいぐい痩せた。もっと言えば、メシを食べることが二の次になるくらいの「恋わずらい」だったんだろう。メシが喉を通らないんじゃない、メシを食べる暇があったらいしの事であれこれやってる、という日々だった。
さて、今日は今ここにいる日光湯元キャンプ場からてくてく歩いて、戦場ヶ原を横断しようと思う。目指すは、竜頭の滝だ。
別案として、日光湯元から東に向かって、刈込池・涸沼のトレッキングも考えていた。戦場ヶ原は昨年あるいたばかりの僕にとっては、むしろそちらに行ってみたかった。
しかし、いしは戦場ヶ原がいい、というので、戦場ヶ原縦断ということに決まった。
僕にとっても、戦場ヶ原を昨年訪れたとはいえ、歩いたのは一部分だ。縦断した経験はない。隅から隅まで歩いたぜ!というのは、コンプリート感があって大変に満足度が高い。今回、そういう境地に達したいものだ。
それに、昨年戦場が原を歩いていたら、結構な数、大学のワンダーフォーゲル部だか山岳部だかの人たちが集団で戦場ヶ原縦走をやっていた。ああ、歩いた後は日光湯元でキャンプを張るんだな、と思うと「そりゃ楽しいだろうな、いいなー」と思ったものだ。
09:15
戦場ヶ原縦走に向かう前に、まずは日光湯元エリアの散策をする。まだこのエリアの全貌を理解できていないからだ。
ビジターセンターの向かいにやたらと広い空間がある。なんだろうと思ったら、ここがバス乗り場。中禅寺湖、いろは坂を経由して日光に向かう。結構便数は多い。日光湯元を訪れる人が多い、というよりも、公共交通機関で日光、中禅寺湖、戦場ヶ原を観光したい人がよく利用するからだ。
09:17
ビジターセンターに立ち寄り、改めてこの界隈の動物や植物について勉強する。
が、どこのビジターセンターでもそうなんだけど、毎度「立派な展示だなあ」と感心する割には何一つ覚えていない。
09:29
日光湯元は施設の数が少ない。射的場もなければお土産物屋さんもない。
・・・と思ったら、建物はあった。あったけど、これはさすがに廃業してるっぽい。「茶品 酒類」と書いてあるので、もしここが営業をしていたら、昨晩ノンアルコールビールの調達は容易だったのかもしれない。
そんなお店の脇が、温泉神社。
温泉地には「温泉神社」がある場合がある。どこの温泉地にもあるわけではないので、温泉神社を見つけたら参拝するようにしている。
温泉というのは、地面から湧き出る神秘だ。人間たちが望もうが望まなかろうが、勝手に枯れることもあるし、急に湧き出すことがある。そりゃあ、神社を作ってお祀りしたくなる気持ちは当然だ。人間は祈って、自然からの恵みにお礼を申し上げることしかできない。
ちなみに、天下の名湯・草津温泉には「温泉神社」はない。たぶん。そのかわり、湯畑の近くに「白根神社」という神社がある。草津温泉の奥にある日光白根山を祀ったものだが、白根山は活火山なので「温泉の元となる山」を信仰対象としている。
09:30
温泉神社に通じる石段。草が石段の隙間からポコポコ生えている。
09:32
温泉神社でお詣りを済ませ、振り返ったところ。
木々の隙間から、日光湯元の温泉街がちらっと、そして日光白根山が見えた。やあ、いい天気だ。
ここは標高が高い。標高1,480メートルなので、上高地とほぼ一緒だ。なので、8月上旬という激アツな季節にもかかわらず、晴れていても心地よい。
(つづく)
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