11:01
神様にごあいさつを済ませたことだし、いよいよ登山を開始する。登山、といってもこれ以上標高を上げる予定はなく、「ロックガーデン」界隈を散策する程度だ。
とはいっても、肝心の「ロックガーデン」について全く知識がない。いや、山に入るんなら事前に調べておけよ、と我ながら思うが、この界隈は道標がしっかりしているようなので無頓着だった。
自分のイメージとしては、「高さ何メートルもあるような大きな岩がゴロゴロしている場所」だ。その岩に張り付いているボルダリング愛好家がいたりして。長野県の廻り目平みたいな場所。
いったん神社の石段を全部下りきってからロックガーデン方面に向かわないといけないのかと思うと面倒だったけど、神社すぐ脇からショートカットルートが用意されていたのでありがたい。
「長尾平・ロックガーデン・大岳山方面近道」と書かれた立て看板がある。
11:04
人一人通るのがやっとの細いショートカットコースを通り、本来の道に合流する。
ここから先は神社と関係がなく、れっきとしたトレッキングコースとなる。その割には道が広く立派に整地されていて、驚く。これなら車の通過も可能なくらいだ。
11:05
頭上で気持ちの良い声で鳴いている鳥がいる。
ジョウビタキだろうか?
11:06
ちょっと歩いたところに、開けた場所があった。ここで道がいくつも分岐している。
「長尾平」という名前らしい。
ちょうど尾根がなだらかになっているところで、解放感があるところだ。
そんな長尾平の傍らにある小屋が、「長尾茶屋」。
驚いた、こんなところに山小屋風の茶店があるとは。
小屋の前にはベンチがいくつも用意されており、格好の休憩スポットになっていた。お弁当を持参した人は、ここまでやってきて食べると良いだろう。ここかケーブルカー乗り場がある御岳平以外は、なかなか弁当もぐもぐスペースがない。何せ狭い山の上だから。
おう、ホットワインも売っているのか。
ワインボトル3,500円、というメニューがあるのに驚くが、ホットワインが600円というおすすめをしてくるあたりが憎い。「ビールかカップ酒でも飲んでろ」という投げやり感がない。「この山の景色を楽しみながら、お酒も楽しんでいってください」という雰囲気があって、気持ちが良い。
ちなみに
LE BEAUJOLAIS NOUVEAU EST ARRIVE!
という張り紙もあったので、ボージョレ・ヌーボーも取り扱いがあるらしい。やるなあ。
何でこんなにやる気がある店なんだ?と思ったら、ご主人の前職は都内ホテルのソムリエだったとのこと。道理で!
こうなってくると、気の利いた酒肴も欲しくなるところだけど、ざっと見た限りそれはなさそうだった。ここでぐーたらお酒を飲みつつ一日過ごすのは最高に楽しいと思う。でもその場合は気をつけて。必ず酒肴を持参しよう。チーズでも柿の種でもなんでもいいから。
ただし、酔っ払って千鳥足になってはいけない。ここからケーブルカー駅まで1.4km。タクシーなんて頼んでもやってこないんだから。
そんな長尾茶屋の正面にある分岐。
大きな道の傍らに、急坂を下っていく道が別にある。
七代の滝 0.6km
上養沢(バス停) 4.5km
と書いてある。
今回の僕の行程は、この「七代の滝」を経由してロックガーデンに入り、ロックがウー電上流にある「綾広の滝」までいって、そこから戻ってくる流れを考えている。
なのでもちろん、この階段を下っていくつもりだが・・・ちょうど、この階段を下ろうとしていたマダムに、長尾茶屋のご主人が忠告しているのが聞こえた。
「やめておいた方がいいよ、ここは坂がきついし長いから。それよりも右の道を通っていった方がいいよ」
えっ、そうなのか?
滝までわずか600メートル。少々きつい坂でも大したことはなさそうだけど・・・でもいいや。
マダムとご主人が話をしているのを横に、自分はとっとと七代の滝に向けて進軍。
11:09
そういえば、行き先案内板にもわざわざ注意書きで「急坂」って書いてあったっけ。
下るなあ。
せっかく登ってきた分を無駄にするくらい、下るったらないなぁ。
11:16
いやー、本当に容赦ないぞ。
危ない場所は全然ないのだけど、うねうねと道は逃げ惑いながら標高を下げていく。
これが下山ルートならまだ構わないのだけど、後でぐるーっと回って長尾茶屋のところまで戻ってこないといけない。それを思うと、この標高差はキツくもあり残念でもある。
11:23
滝の音がほとんどしないので若干不安になりつつも、歩いて行く。
日帰りハイキングだというのに、適切なザックがないので38リットルの大型ザックを背負っているので邪魔くさい。自炊するわけでもないのに、このサイズはあきらかにオーバースペックだ。
来年には日帰りトレッキング用の小型ザックを買いたいものだ。
靴が欲しいだのザックが欲しいだの、本当に僕はこれまで「低い山を登ること」について全く装備を持っていなかったことに気づく。百名山ピークハントにしか興味がなかったからだ。
11:25
七代の滝に到着。思ったよりも時間がかかり、20分近く標高を下げっぱなしだった。
・・・といっても、滝の姿がほとんど見えない。えっ、これ?わざわざやってきて、これ?
岩に隠れるように、滝はあった。
神秘的・・・なのだろうけど、先客がいたのでちょっと気が削がれてしまい、適当なところで切り上げた。その先客はおじさんたちと若い女性で、何か写真撮影会でもやりたかったようだ。邪魔しちゃ悪い。
(つづく)
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