ふたたび温泉療養に戻る【那須湯本療養2】

部屋に備え付けられている、民宿若葉のごあいさつを読む。

陰キャの場合、多くの写真に人が写っていない/陽キャの場合、多くの写真に人が写っている・・・という話を聞いたことがある。ならば、まさに僕は陰キャだと思う。なにせ一人旅をしているわけだし。こういう「ごあいさつ」をはじめとする写真がずらずらとPCの写真フォルダに並ぶのだから、誰がどうみても陰キャだ。

夕食は17:30と早い。まるで山小屋のようだ。そして、朝食も7時から、とめっぽう早い。健康的すぎる、というか年寄りのタイムスケジュールだ。

でも、こうやって時間が決まっていて食事内容も決まっていることが、今の僕にとってどれだけ楽なことか。

17:30に夕食を食べるためには、逆算すると17時までには風呂に入っていないといけない。・・・とか、メシの時間を軸に自分の行動が決まっていく。それが、なんとも心地よい。

滝乃湯は、朝5時から23時まで。深夜入浴はできない。

これもまた、いい。

23時前に風呂に入って一日を仕上げ、そして部屋に戻って早く寝る。そして朝7時の朝食前に起きて、朝風呂に入る。風呂で終わって風呂で始まる一日。いいじゃないか。

滞在中に浴衣を着用しなかった人は、モーニングコーヒーをサービスしてもらえるらしい。面白いサービスだ。浴衣のクリーニング代相当、ということなのだろう。

朝のコーヒーは魅力的だけど、やっぱり宿といえば浴衣だ。頻繁にお風呂に入るなら、サッと脱いだり着たりできる浴衣はマストアイテム。浴衣、しっかり着させてもらいます。

お金を払えば、アロママッサージを受けることもできえるようだ。首肩背中もマッサージしてもらえるようだぞ。

以前、大沢温泉に3泊4日療養したとき、3日連続で館内でマッサージを受けるという徹底療養をしたことがある。湯治宿に安く泊まらせてもらっている、という油断と、岩手県までやってきたんだし、という油断とが重なって、結構な出費となった。でも、後悔はしていない。集中治療ができたと思うからだ。

今回?・・・うーん、東京から那須湯本っていう距離感は、微妙に「東京の重力から脱しきれていない」。なので、日常生活の残り香が若干あって、「マッサージ師を部屋に呼ぶ」というのは豪遊の極みな気がしてしまう。なので、頼むのはやめた。

これが、「頑固な凝りに悩んだ末にこの温泉地にたどり着いた諸君!朗報がある!お前の凝りを木っ端微塵に粉砕してやれるのはオレのゴッドハンド、ただそれだけだ!」なんていう口上がチラシに書いてあったら、「じゃあ、頼んでみよう」という気になったのだけれど。

やっぱね、出費するからには、それを自分自身で正当化するために「理由付け」が欲しいのですよ。「せっかくだから」とか、「そこまで言うなら」とポロリと口走ってしまうような、そんな理由。

15:23
浴衣に着替えて、いざお風呂に突撃。

でもその前に、水分補給はガッチリやっておく。あらかじめ宇都宮のドン・キホーテで買っておいたお茶をがぶ飲みしておく。

というのも、4年前にこの地で療養したとき、水分補給を怠ったまま風呂に入り続けた結果、自分でびっくりするくらいの便秘になったからだ。それ以降、温泉地に行くときは下剤を持参するようになったくらい、あのときは焦った。この世の終わりかと思った。

もちろん今回も、そのときの恐怖は忘れておらず「ピンクの小粒」は持参している。とはいえ、そんなもののお世話にはなりたくない。汗をかく量以上に水分を摂取しなくちゃ。

宿では、お風呂に行く人用のバスケットとシャンプーが用意されていた。ありがたく使わせてもらう。

宿の玄関先にある自販機。おっ、ご時世だな、ノンアルコールビール(ドライゼロ)が自販機のラインナップにあるぞ。ありがたい。まさに僕向けだ。350mlで250円。安くはないけれど、ぜひ今晩飲もう。

15:28
滝乃湯にやってきた。宿から徒歩30秒たらず。

源泉名は「御所の湯」。pHは2.53で、源泉温度は68.1度。

滝乃湯の男湯。

強い酸性の湿気に覆われている空間なので、カメラをあまりさらさないほうがいい。故障のもとだ。さっと撮影してすぐに片付ける。

湯船は2つ、「ぬるめ」と「あつめ」に分かれている。

カラン的な場所が用意されていて親切。

この手の共同浴場は、湯船から桶で湯をすくい、それで体を洗い流すことがおおい。しかしここは、ちゃんとカランがある。ただし、蛇口があるようなものではなく、お湯が出っぱなしだ。

15:31
結構熱いお湯だけど、むしろこれくらいの方がいい。

湯船に浸かって、記念撮影。

16:17
たっぷりお湯に浸かって、第一回目の入浴終了。滞在時間は45分くらいか。我ながら上出来だ。

理想を言うなら、風呂場から出ないまま数時間を過ごすようになりたい。そういう「温泉仙人」になれればずいぶん気が楽になるだろう。何しろ、風呂場にいる限りは、スマホもパソコンも書籍も、何も触れないのだから。座禅を組んでいるのと一緒で、無の境地になれる。雑念から離れられる。

今回一回目の入浴だったので、まだ雑念がすごく多かった。早く風呂から上がって、あれをやりたい、これをやらなくちゃというソワソワがある。そして、湯船に浸かっている間中、いろんなことが頭をよぎる。

「早いところ、風呂から上がろうぜ」という声が頭の中で響く。でもそれを押し留め、「最低でも30分は入浴しよう」と最初から決めていた。

入浴時間を伸ばせば伸ばした分だけ、雑念がスーッと薄れていく。

もちろん、我慢大会ではない。のぼせたら一旦風呂から出て、体を冷まして、また入り直す。それを繰り返す。大事なのは「のぼせること」ではなく、「情報から遮断された場所に、強制的に居続けること」だ。

僕の場合、根がケチなので、「折角温泉に来たのだから、温泉を満喫しないと!」と思う。その助平根性ゆえに、長風呂になって気持ちが緩む。

家の風呂だとこうはいかないし、近所の銭湯でも多分駄目だ。腹をくくって、こういう遠方の温泉地までやってきてこそ、心の平安が訪れる・・・と思う。たぶん。

ああ、温泉療養にかかった費用を、医療費控除の対象にしてくれないかなあ。無理か。どこの医者がそんな診断書や処方箋を書いてくれるんだよ。仮に精神科医に相談したって、「温泉療養はいいですね」と言う人はいないんじゃないか?

(つづく)

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