4年ぶり!時代は流れて島流しは無くなった【のっとれ!松代城2023】

村山統括軍師殿との懐かしい再会を果たした僕らにとって、まだ嬉しい再会があった。

これまで、「チームアワレみ」の一員として一緒にレースを走ってきた仲間、もぐさんとも出会ったからだ。

東京にお住まいの方だけど、十日町市が好きすぎて年間に何回もこの地を訪れているという方だ。いつも自家用車で移動されているので、レース中は一緒に走るけれど、行き帰りは別行動となる。

もぐさんとも3年ぶりの再会。とても懐かしい。

彼の胸を見ると、ゼッケン番号が1番だったのでびっくりした。というのは、ゼッケン番号というのは基本的に申し込み順なのだけど、1番だけは「前年のレースで城主になった人、つまり1位でゴールインした人」に対して与えられる番号だからだ。

ツール・ド・フランスにおけるマイヨジョーヌみたいなものだ。

そんな名誉ある番号を、僕の仲間であるもぐさんが担当しているというのは驚いた。

「どういうことですか?」

と僕が彼に聞くと、

「最後のレースで1位だった人が、今年はレースに出られないらしいんですよ。だから替わりに私が1番になったんです」

と言う。いつの間にか、彼は大会の主催者側の人たちと関係を強化していたというわけだ。

彼は手元にある紙をヒラヒラと扇いで僕に見せてくれた。

「ゼッケン番号1番なので、開会式のときに戦士宣誓をやるんですよ」
「えっ、すごいじゃないですか。出場選手の代表、ということになるわけですね?」
「でも、文章が面白くないんですよ。形式的で。だから、自分で書き足していいか?と事務局に聞いたら、いい、というので大幅に書き足しました」

確かに、折りたたまれた紙のボリュームはかなりある。まるでお坊さんが読むお経のようだ。

かなり気合が入っている。そういう仲間の姿を見ると、本当に嬉しくなる。ああ、いいな、この感覚。

あと、この方とも再会できたのは嬉しい!

僕らチームアワレみのメンバーが「勇者様」と呼んでいる方だ。毎年、自作の西洋風よろいかぶとを身にまとい、レースに出走する常連さんだ。いっときは毎年新しい武器や装備を持参してレースに挑み、その装備の重たさに疲れ果てながらも完走するというとても愉快な仲間だ。

「今年は何か新作があるんですか?」と彼に聞いたら、「今年はこれまで使ったことがあるものを持ってきました」という。

改めて近くで見ると、革製のよろいの中には鎖かたびらを着込んでいる。重たいし身動きしづらいだろうし、本当にすごい人だ。しかも、背中には巨大な木で作った刀を背負っている。到底、このあと3キロの山道を走るレースに出場する人には見えない。

今年の大会はパフォーマンスを評価する制度がない。なので、コスプレの人が極端に少なくなった。また、大人数のグループで参加してワイワイと盛り上がっている集団もほとんどいない。これまでと比べて、参加者の雰囲気が地味だ。

そんな中でも、彼の過去から一貫して同じスタンスでこのレースに挑む姿勢は本当に素晴らしいと思う。

僕はこれまで参加した全6回、必ず陸上自衛隊の迷彩服を着てきた。毎年参加している人から「あ、迷彩服の人、今年もまた参加しているんだ」と思われたかったからだ。自分自身が、ごく小さな形でもいいのでこのイベントの定番の一部になりたかった。しかし今年は、子どもに気を取られていて迷彩服を持参し忘れた。今思うと、残念だ。レースに参加しなくても、昔と同じ迷彩服を着てくればよかった。

10:36
「お久しぶりです」なんて話をしていたら、会場に音楽が流れ始めた。「戦士入場」だ。

わっ、もうはじまるのか。

昔と比べて、タイムスケジュールが短縮されている。なので、どんどんイベントが進行していくのでびっくりする。

僕はレースに出ないくせに、レースに出場する戦士たちと一緒になって入場する。とはいっても、僕は肩身が狭いので最後尾を歩く。昔、レースに出ていたときは、この入場行進のときはとても気持ちが昂ぶったものだが。

僕はトレードマークだった迷彩服を着ていないし、僕に代わってレースに出場するいしは地味な格好だ。しかし、唯一他人の目を惹くとすれば、バギーに乗った2歳児を連れているということだ。こんなレース出走者は、他にはもちろんいない。

なお、気温が上がってきてすでに雪が溶け始めている。とてもバギーを動かしにくくなってきた。

10:38
以前は500名近い戦士の入場だったので、ステージ前まで全員がたどり着くまでちょっと時間がかかった。

しかし、今年はその半分の参加者だ。人数が少ないと、みんなテクテク歩いてあっという間にステージ前に全員が揃ってしまった。そして、あっという間に開会式がスタート。

本当にペースが早い。

僕らはステージ向かって右側に陣取った。ステージの左側はレースで上位を目指す人たちが少しでも有利な場所を確保しようとする。レースに出走しない人と2歳児がいてはダメな場所だ。スタートが最後尾になって、完全にレースでは出遅れることが確定する場所ではあるが、ステージに向かって右側に陣取ったのはそういう意味がある。

眼の前には勇者様がいる。刀がとにかくでかい。

今年は障害物の網がないため、柱だけが立っている。いつもと違う、見慣れない光景だ。

前回のレースで1位となり、「松代城主」に認定された方に渡された「軍配」が返還された。

その城主は、今年は「別の戦いに遠征しているため、今年は欠席」とのアナウンスが司会者からあった。

もぐさんが、「遠征中」の城主のかわりに戦士宣誓を読み上げる。

本来なら、数十秒で読み終える内容なのだけど、彼がオリジナルで作成した文章が追加されたため、数分に渡ってもぐさんは堂々と自分の思いを語り続けるという展開になった。

十日町市がいかに素晴らしい場所であるか、十日町市の春、夏、秋、冬、それぞれのみどころを紹介していく。

あまりに長く喋るので、「これは、『話が長いぞ!』とやじを飛ばしてもらうことで成立するギャグなのか?」と真剣に考えてしまった。だとすると、「長いぞ!」とやじを飛ばすのは僕の役目だろうから、声を出そうかどうしようかちょっと悩んだ。

後で彼に聞いたら、この戦士宣誓は大真面目だった、という。危なかった、途中で僕がやじを飛ばしたら、本当に無礼なことになっていた。しかも僕は選手ではない、単なる野次馬なのに。

10:57
「歌舞伎者」パフォーマンスが今年の開会式にはないため、あっという間にレース開始直前までやってきた。

毎年恒例の、村山統括軍師殿によるレースに関する注意事項説明がはじまる。

「待ってました!」と盛大に拍手を送ったら、軍師殿も張り切っちゃって、つい声を張り上げすぎて声が枯れそうになっていた。みんな久しぶり。みんなこのイベントが楽しいし、嬉しい。

(つづく)

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コメント

コメント一覧 (11件)

  • エントリーしようかどうしようか思案した結果、今年ものっとれ!に馳せ参じることに決めました。
    2023年はいしが出走しましたが、2024年はおかでんが出走します。(いしは弊息子タケと会場で過ごします)
    今後、1年おきに夫婦が交代で走ることにしてはどうか、と考えています。

    小さい子どもがいる家族が手軽に泊まれる宿が十日町にはないのが悩ましいところです。
    結局、今年もお隣の六日町市に宿をとることになりました。

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