移りゆくレースのフォーマット、移りゆく家族3人旅【のっとれ!松代城2024】(その1~11)

おかでん家における3月の風物詩、「のっとれ!松代城」のシーズンがやってきた。

2014年から新潟県十日町市に通い始め、かれこれ7回だ。

途中、ご一緒するメンツが増えたり、減ったり、温泉宿に泊まったり、農家民宿に泊まったり、様々な形でこのレースに参加してきた。また、2020年から2022年の3年間は新型コロナウイルスの感染症拡大予防のため、レースそのものが中止になってきた。

一方で僕はその間に結婚し、子どもを授かるという大きな環境の変化があった。イベントそのものにも、個人的な家族環境にも、ともに大きな変化があり続けている。

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「制限時間内に山頂の松代城にゴールすれば、ハワイ旅行があたる抽選会に参加する権利が与えられる」という大きなエサをぶら下げられ、僕らは大いに発奮したものだ。参加者が400名~500名で、完走者はもう少し少なく、その中から5名がハワイに当たる!となれば当たる確率はそれなりに高い。

「どうせ当たりっこない」という気持ちで参加する抽選会と違って、「ひょっとしたらハワイが当たるかもしれない。当たったらどうしよう」と本気でドキドキさせられる抽選会は本当に楽しいものだ。そのドキドキ・ワクワクを求めて、雪に覆われた山をゼエゼエいいながら登り、レースを楽しんできた。

しかし、だんだんと主催者がこの大会を運営することが大変になってきたようだ。参加費が値上がりしたり、ハワイ旅行がグアム旅行になったり、参加費が上がったり、参加者各位への案内状の郵送物が省略されたり、苦労が忍ばれる状況がにじみ出てくるようになってきた。これはコロナ流行の前からの方向性なので、コロナがきっかけではなさそうだ。

ハワイ旅行の抽選なんて、当たれば嬉しいけれど当たらなくても関係ない!このイベントそのものが楽しいんだ!だから参加するんだ!・・・と思っていた僕だったが、景品からハワイが消え、グアムが消えて十日町市内の宿泊施設一泊券になってくると参加意欲が低下せざるをえなかった。

しかも4,000円だった参加費が、6,000円に値上がっている。独り身で財布の自由がきく立場だったら、2,000円の値上がりをものともせずに参加していただろう。しかし、妻子がいる立場となり、なかなか「参加するよ!」と言いづらい。パートナーに丁寧な説明が必要だし、せっかくだから家族全員で現地入りしようとなると、レース参加費以外に交通費用や宿泊費などいろいろお金がかかるからだ。

もともと、コロナ以前から「そろそろ、このレースも卒業かなぁ」という考えが頭の中にあったので、コロナ明けの2023年開催では「どうしよう?」と真剣に悩んだ。こんなにお金をかけてよいのか?我が家の家計は大丈夫か?と。

しかし、2024年の今年はずいぶんスッキリと結論を出せた。即答で、「参加」だ。

というのも、子どもが3歳になってきたこともあり、子どもに雪あそびをさせる格好の機会だと思ったからだ。大人のレースに参加する、という点では高いお金が必要だが、「子どもに雪国体験をさせる」という建付けにすると、あら不思議全然高く感じなかった。

こういう感覚に陥るから、子どもは受験戦争とかいろいろ世知辛い世の中に巻き込まれるんだろうなあ、親が子どもにじゃんじゃんカネを注ぎ込んじゃうから・・・と思いながら、レースにエントリーする。

昨年、弊息子タケが2歳のとき、タケは初めて見る大量の雪を前にお砂遊び道具で遊んで過ごした。3歳になった彼はもっとあれこれ、創意工夫して遊べるだろう。

また、宿泊場所は昨年と同じ、こぐりやま山荘を選んだ。すぐ近くにスキー場があって、子供用のゲレンデが用意されているからだ。レース前日の昼間は、このゲレンデでそり遊びをしようと思う。

さらに、昨年は見ることができなかった、塩沢のランタン祭りにも申し込みをした。ランタンに絵を描いて、自ら打ち上げる体験はきっと幻想的だし、子どもにとっても楽しいだろう。

なんだ、盛りだくさんで楽しそうじゃないか!と思うだろ?実際そうだと思う。でもこれだけぎゅうぎゅうに予定を入れたのは、なんとかしてこの旅行の正当性を作るためだ。出費する自分を正当化するために、「ほら、これだけ妻子は充実した体験が現地でできるんだ」と言い聞かせたかったからだ。不安の現れとも言える。

昔はレースにエントリーすると、封書で「越後まつだい冬の陣」のチラシが入ったレース案内が届けられたものだ。しかし今ははがき一枚で完結している。

涙ぐましいコスト削減、とも言えるが、「必要事項はwebで見てくれ」というのが定着し、ペーパーレス化が進んだ時代になったとも言える。良い意味での進化だ。

ただ、ハガキ1枚しか手元にないので、タイムスケジュールなどは別途確認しないといけない。コロナ前と比べてイベントの時間が圧縮され、早く始まって早く終るようになった。なので昔の感覚でのんびりしていると予定が狂う。ちゃんと事前にレース詳細は確認しておく必要がある。

昨年は僕が会場に残ってタケと一緒に雪遊びをして過ごした。そのかわり、いしがこのレースに初参戦した。今年は逆で、僕がレースに出ていしがタケとお留守番だ。タケがレースに出場できるようになるまで、毎年こうやって交代交代で夫婦がレースに出ることになっている。

昨年の僕はレースに出ないので、旅行前はずいぶん気が楽だった。何も気負いがなかったからだ。でも今年はレースに出場する。特別なトレーニングは何一つやっていないが、やっぱり少し気合が入る。というか、旅行出発当日の深夜1時過ぎまで仕事をしていたので、疲れ切ってヘロヘロだ。

2024年03月09日(土) 1日目

昔のように大所帯で「のっとれ!松代城」のレースのために移動し、宴会するようなことは今はなくなった。

仲間が各地に散らばったり、負傷していたりするからだ。また機会があれば徒党を組んで新潟入りすることもあるだろうが、今年はおかでん家3名で作戦を決行する。

弊息子タケには、レースに参加しないものの「せめて楽しい格好をしよう」ということで絵本「11匹のねこ」のパーカーを着てもらった。ニャゴニャゴ。

越後湯沢到着。

おっ、久し振りだ、新幹線から下りた瞬間にひんやりした空気を感じるのは。

昔は「寒い!さすが新潟!」と温度と湿気の低さに驚いていたものだが、だんだん温暖化が進んできたせいでそういう驚きが減ってきた。僕がこのレースに初参加した2014年なんて、会場が雪で半分埋もれていたし、その前年の2013年に至っては雪が猛威を振るって大会が中止になったぐらいだった。それが今では、「雪不足!」と毎年喧騒されるような時代になってしまった。

今日の僕らは至って気楽だ。なにしろ、3歳児がいることもあって、行動がギチギチに詰まっていない。宿はイベント会場がある十日町より手前の六日町だ。

今日は、レンタカーを借りたあとは銘酒八海山の施設である「魚沼の里」に行ってご飯を食べたり施設を見るのと、宿近くのスキーゲレンデでソリあそびをするのと、夜は塩沢でランタン祭りに参加すること。それだけだ。宿の食事は素泊まりにしている。宿のすぐ近くに小洒落たイタリアンレストランがあることを知ったからだ。

六日町に宿を確保すると、レース当日に松代まで行くのにちょっと距離がある。とはいえ、道はよく整備されているので、1時間もかからないので大して気にならない。松代よりさらに奥の、松之山温泉に泊まるよりもトータルでは楽ちんだ。

いや、松之山温泉は素敵ですよ?温泉は最高。なにせ「日本三大薬湯」の一つだから。でも、昔と比べてすっかり値段が高くなってしまったし、空き室が少なくて予約が取りづらくなってしまった。一体なんでだろう?「のっとれ」のレースに出る人の多くが松之山温泉に泊まるんじゃないか?と疑ってしまうレベルで空室がない。

ただ実際は、レースに参加する人の大半が新潟県民であり、またはその周辺の人たちだ。僕らのように東京からわざわざ出張ってくる人というのは、全体からみると少数派だ。なので、マイカーでやってきて日帰りでレースに参加する人が多く、わざわざ前泊する人は少ないとは思う。

越後湯沢駅に貼られていたポスター。

「上越新幹線の臨時列車は全車指定席になったんだね!」と、トキが仰ってる。あ、そうなのか。

上越新幹線はスキーシーズンである冬には、よく臨時列車が走っている。そういうのは全車指定席なのか。

過去、越後湯沢から新幹線の自由席に乗って帰京した際、東京の通勤電車を上回る混雑状況にほとほと参ったことがある。なので、全車指定は歓迎だ。予約が取れなかったら取れないで諦めがつく。

ところで、JR東日本はやたらと自社のwebサイト「えきねっと」に誘導しようとして、早割で35%引とか10%引とかやっている。35%引の便なんて、1ヶ月前の午前10時に予約を入れてもすでに埋まっていることがザラで、こんなサービスがあること自体に腹が立つことがある。損した気分になるので、いっそのこと割引サービスをやめてくれて構わないとさえ思っている。

または、webの予約画面のUIをもっと改善して、便の一覧表示の時点で割引席がまだ残っている便かそうでないかを明確にしてほしい。

JR東日本はゴテゴテといろいろサービスを作りすぎて、自動券売機も、webも、スマホアプリも、使いにくいったらありゃしない。それでみどりの窓口をどんどん減らすよ!という施策を打ち出したのだから、そりゃあ客の猛反発を買うに決まってる。

越後湯沢が誇る、超巨大な土産物コーナー「CoCoLo越後湯沢」「ぽん酒館」は10時からの開店だ。僕らは9時半に越後湯沢に到着したので、まだ土産物を買うことができない。

今のうちに、一旦レンタカー屋さんに立ち寄り、レンタカーを借りてこよう。駅前には送迎用の無料駐車場がある(無料のためには、時間制限がある)ので、車を借りて、駅前駐車場に車を停めて、そして土産物を物色しよう。

「のっとれ!松代城」のレースと表彰式が終わってから、越後湯沢に戻って土産物を買うということは殆ど期待していない。日曜日の夕方になると、スキー帰りの客がとんでもない数、この駅構内にはいる。土産物店は長蛇の列だし、売り切れとなる商品も続出する。買うなら、客がまばらな土曜日の午前中に限る。

というわけで、レンタカーを手配したのち、越後湯沢駅に戻る。

毎度おなじみだが、柿の種が山積みになっている。赤い包装紙に、蟹のシルエットが描かれている。言わずと知れた、新潟といえば元祖柿の種の産地だ。

おめでたいことに、今年2024年で100周年だそうだ。

いまや、全国区では亀田製菓をはじめとして大小さまざまな業者が柿の種を作っていると思うが、この100年でもっとも愛されたお菓子ではあるまいか?「いや、うまい棒がある」「ポテトチップスは?」「ブルボンのお菓子全般をもっと高く評価して欲しい」などいろいろな声があるとは思うが、柿の種って偉大な食べ物であることは間違いない。

ここ最近、この「笹団子をバラ売りしているお店」で笹団子を買っている気がする。

甘さと食感のチャート図がそれぞれの商品に示されていて、今回はどの笹団子にしようか?と悩んで買う楽しさがあるからだ。

いずれは「もっとも自分の口にあう笹団子」を大決定したいと思っているのだが、前回何を買ったかをすでに忘れている。なので、またイチからやり直しだ。あと、1つ買った程度では正直味の違いがよくわからない。同時にいくつも、ちょっとずつ食べ比べないと。

・・・と思っていたら、あーあーあーあー、後部座席で弊息子タケがせっかく買った笹団子を一人で食べてる!

彼は、団子が2個あったとすると、少なくとも1個は自分のもので、残り1個はお父さんとお母さんでわけろ、と指示をする。なんでお前の10倍以上行きてきた僕らが、お前の半分しか食べられないんだよ。おかしいだろ。

とはいえ、ハンドルを握って車を運転している状況なので、みすみす彼の笹団子泥棒を許容してしまった。

彼は食物アレルギーを持っていることもあって、食べるものに対しては慎重にならなければならない。でも、和菓子の団子などは大抵問題なく食べられる。そのため、あんこが大好物だ。お月見団子からはじまって、たい焼き、今川焼、そして笹団子をこよなく愛する。

「笹団子」は団子2つを笹の葉に包み、紐で縛った形態で売られている。普段の生活では見かけないものなので、タケが興味を持つだろうと思って渡したのだけど、彼は外装もさることながら中身にも大変興味を持ってしまった。

そうだこれを書いていて思い出した。彼は1個どころか、2個目もたべはじめ、慌てて隣の席にいたいしに食べかけの笹団子を没収されたんだった。親子で笹団子の取り合いだ。

こちらも毎度おなじみ、「道の駅南魚沼」。

ここで大袋に入った安いおせんべいやおかきを大量に買う、というのがいつものムーブメントだ。

大きなおにぎりが売られていた。食べごたえは間違いなくある。具が入っていて1個400円。もちろん日本の米どころであるこの地のお込めを使ったものだ。うまいに決まっている。

POPに「私が作っています」と書いてあるのだけど、俳優の山下真司さんがおにぎりを頬張っているすぐ横に書いてあるので、一瞬「えっ、山下真司が作ってるの?」と二度見してしまう。

今晩の宿は素泊まりだ。

夕食は近くのレストランに予約を入れているので問題ないけれど、翌朝のご飯がまだ未解決だ。どこかで調達しなければ、と思っていたところに、ちょうどおむすびを発見。

「新潟ブランド米塩むすび食べ比べ」だって。これは面白い。

「新之助」という、おそらく新しいブランド米と、従来からある魚沼産コシヒカリで1個ずつおにぎりが握られている。こういうテイスティングは楽しい。特に家族や仲間がいると、「どっちが好みか」とか「味の違いがわからないぞ?」などとワイワイ食べられるので食事の場が華やぐ。ぜひこれを買おう。

あと、3歳児のメシをいちいち丁寧にたべさせていたら、いくら時間があっても足りない。これだったら、翌朝バタバタしたとしても車中で食べることができるのもいい。

(つづく)

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