憧れの遠島の刑【のっとれ!松代城2016】

「越後まつだい冬の陣 のっとれ!松代城」。このふざけた名前のイベントには過去2回参加してきた。2014年は2名、2015年は4名の仲間と一緒に松代城を乗っ取り、高らかに勝ちどきをあげたものだ。

公式ページにはこのイベントをこう解説している。

越後まつだい冬の陣、最大の目玉である雪中レース「のっとれ!松代城」。

城下町から山頂の松代城まで、標高差約200m延長約3kmの雪上に約10箇所の障害(難関)があり、これを乗り越えて、山頂の松代城一番乗りを競うレース。

見事一番で入城を果たした戦士には、1年間松代城主に任命し、十日町産魚沼コシヒカリ一石(玄米)、他が贈呈されます。

男子10位まで、世田谷賞など豪華賞品が与えられます。

女子1位(女侍大将)に、コシヒカリ60kg(玄米)他。5位までに世田谷賞・そばセットなどが贈られます。

また完走者の中から抽選(運力の部)で、ハワイ遠島の刑(5名)、釜茹での刑(芝峠雲海宿泊券)や酒責の刑などの刑罰が与えられます。

その他、仮装パフォーマンス参加者の優勝者(大歌舞伎者)、援軍大将にも褒美を取らせます。

『「のっとれ!松代城」とは?』より転載。文章は2017年開催向けの告知文。

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何度見ても、ワクワクが止まらない文章だ。キミだってそう思うだろう?・・・思わない?あれ?

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新潟に泊りがけで行く企画にもかかわらず、いまやすっかり冬の定番行事の座に収まりつつある。

というのも、この一泊の旅行には、運動あり、酒あり、食い地獄あり、イベントあり、温泉ありとあらゆる要素が詰まっているからだ。楽しいことがてんこもりすぎて、イベント後の帰り道には既に翌年のことを話題にしているくらいだ。

この「雪中鉄人レース」を銘打つ「のっとれ!松代城」の最大の魅力は、規定時間までに山上のお城にたどり着くことができた人に抽選で「ハワイ旅行」が当たる、ということだ。しかも、それが完走者400名程度の中から4名、つまり確立でいったら1/100というのだから心中穏やかじゃない。

「うっかり当選してしまった」という可能性は十分にありえる。宝くじのように「交通事故に遭うよりも当選確率が低い」夢物語とはわけが違うのだ。鼻息が荒くならないほうが嘘だ。

「ハワイ遠島の刑」のほかにも、「釜茹での刑」(まつだいにある温泉旅館一泊ご招待券)や「酒責めの刑」(越後地酒セット)をはじめとし、数十名が何らかの賞罰を受けることになる。つまり、高望みさえしなけりゃ、10人に一人くらいの割合で何らかが当たる、というわけだ。

こうなると、ナンピン買いで株を買い増す投資家の心境と一緒だ。「当たるまでやめるわけにはいかない」となる。そんなわけで1年目が終わった時点で、「たった2名じゃなかなか当たらないな。だったら来年は人を増やそう。これでハワイは完膚なきまで我らのもの」と誓った。

2年目はレース参戦者が1名増え、合計3名でのっとれ!に臨んだが、やっぱり誰も当たらなかった。ハワイはおろか、粗品すら当たらなかった。なんてこった。

そこで意気消沈しなかったのが我々だ。「去年、今年とハズレているということは、マグマを溜め込んでいる火山と一緒。これで今後ますますハワイが当たる確率が上がったに違いない。来年こそは当たる気がする!」と超ポジティブ思考で次の年に思いをはせた。まったく根拠のない思考だけど。

で、来る2016年。3度目となる今回は、凝りもせずさらに1名を増員。都合4名でハワイをがっちり確保する決死の覚悟となった。「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」を地でいく作戦だが、なにしろ抽選でハワイが選ばれる以上仕方がない。人だ、まずは頭数をそろえなくちゃ。

そんなわけで、今回の旅は

のっとれ3年目となるおかでん、よこさん
2年目になるたっぴぃさん、おやびん(おやびんはレースに出ないで観戦のみ)

に加え、今年初参戦のおーまさんの合計5名で冬の上越を目指すことになった。

これだけの布陣なら、そろそろ何かがあたるだろう?当たらないわけがない。どうしよう、会社の休みは取れるかな?

2016年03月12日(土) 1日目

東京駅の電光掲示板

3月12日10時、東京駅。

またこの日がやってきた。いつまで繰り返すのだろう、このまつだい行きを。とりあえずハワイが当たるまでは続けるつもりなのだが、もし今年ハワイが当たったら、来年はもう「勝ち逃げ」することになるのだろうか?それとも、性懲りもなく延々と参加し続けるのだろうか?

ホームを目指す

まつだいは地図上ではかなり遠い場所ではある。しかし、交通の便がよいので、その気になれば日帰りで「のっとれ!松代城」に参戦することは可能だ。でも必ず現地一泊の行程を組むのは、「レースはあくまでも温泉に浸かったり美味美食に酔いしれるための口実」だからだ。

もちろんレースは楽しい。レース後のハワイ旅行券はほしい。のどから手が出るほどほしい。でも、毎年まつだいに行くお金を積み立てれば、数年でハワイに行くことはできる。

「ハワイが当たるまでまつだいに通い続けるぞー!」と言い続けて10年くらい経ってしまったら、そのお金でヨーロッパでもどこでも行けてしまうだろう。果たして、財力が尽きるのが先か、それともハワイをゲットするのが先か。根競べだ。

いずれにせよ、まつだいには日本三大薬湯の呼び声高い「松之山温泉」があるということも重要な要素だ。ここの独特なお湯に浸かるというのは、旅の大きな喜びとなっている。今回も、これまで同様に松之山温泉に一泊する予定で、すでに予約は確保してある。

年々予約がとりにくくなっているようで、今年はやや宿の確保に苦労した。これまで「のっとれ!松代城」のレース定員は400人だったのに、今年から500人に増えたというのも理由だろう。開催日時が確定しだい、すぐに宿の確保に走らないといけない。

今日のスケジュールは、昼前に越後湯沢に到着後、ぽん酒館で越後地酒の利き酒会をし、「爆弾おにぎり」を食べる。その後「越後まつだい冬の陣」の会場を下見し、路線バスで松之山温泉へ。泊。・・・と考えている。もちろん、昨年松之山温泉で食べた「やたらと量が多いカツ丼」は隙を見て食べたいと思っている。

上越新幹線

今回も上越新幹線で越後湯沢を目指すぞー。

この時期、例年JRもほくほく線もダイヤ改正をするので、計画を立てる際は注意が必要だ。新幹線くらいならバンバン運行されているので気にしなくてもよいのだけど、便数が少ないほくほく線は注意が必要だ。

靴1

新幹線の社内で、仲間と落ち合う。みんなこれから、雪国に突撃するということで防寒装備に余念がない。

とはいっても、冬山登山の装備みたいな本格的なものは誰も持っていないので、丸々と着ぶくれしての対応となる。

今年の冬はかなり暖かく、いったいどれだけ現地に雪が残っているんだ?と心配になるが、3月の新潟を「春うらら」と形容するには無理がある。都会暮らしの人にとっては厳冬期の覚悟で臨まないと。

ふと足元をみると、みんなばらばらな靴をはいていた。せっかくなので写真を撮っておこう。

左はおやびん、右はたっぴぃさんの靴。おやびんはレースに参加しないので、長靴のような靴をはいている。靴の内側は起毛になっていて暖かそうだ。一方のたっぴぃさんは、頑丈そうな靴をはいている。幅広甲高のザ・日本人足、といった風情。

たっぴぃさんは初参加だった昨年、安全靴を履いてレースに参加したのだけど、その硬い靴が裏目にでてレース開始早々に足をいためてしまった。ほうほうの体でゴールしたという苦い思い出があるので、今年は靴選びは慎重だ。

靴2

残り3名の靴。

奥から手前に、よこさん、おかでん、おーまさん。

よこさんとおかでんは登山仕様の靴を履き、おーまさんも普通に町を歩くには頑丈そうな靴をはいている。

おかでんの靴は森林限界を超えた山(=岩がゴロゴロしている場所)を歩くことを前提にしているので、とにかく硬くて重い。町歩きだと、重すぎて快適に歩けない代物だ。しかし、雪の上をレースするからにはスニーカーやジョギングシューズというわけにはいかない。「ほかに履く靴がないから」登山靴を選んでいるにすぎない。

宴会準備中

さっそく、車内で宴会が始まる。

朝10時過ぎだから、「朝ごはんがわり」にしては遅すぎる。それにみんな、朝ごはんは食べてきている。かといって昼ごはんにしては早すぎる。そもそも、お昼は越後湯沢駅でコメ1合の「爆弾にぎり」を食べる予定だ。

結局、飲みたいんですね。盛り上がりたいんですね。ただそれだけです。旅行の醍醐味ってそういうもんです。自動車の旅とはまた違う。

越後湯沢まで1時間半もあれば着いてしまう。うかうかしていると、コップの中のものを飲み干す時間がない。とっとと宴会を始めなければ。そんなわけで、この写真を見ればわかるけど、まだ新幹線がトンネルの中にいる時点でもうこの状態。(上越新幹線は、地下駅である上野駅を出発して数キロで地上に出る)

早くも宴会開始

「じゃあ、今年もひとつよろしくお願いします!」

と挨拶をしたのち、乾杯。そのあと、毎年繰り返される会話「今年こそは、当たるような気がするんだよなあ・・・」に続いていく。本当に毎年毎回、「当たる気がする」んだけど、当たらないんだなぁこれが。

からすみ

各自がもちこんだつまみの中に、なぞのフィルムが。黄色っぽいガムのようなものが中に入っている。あっ、これはカラスミだ!

へええー、こんな「一口サイズのカラスミ」って存在するのか。これは便利だ。あれって、薄く削ぎ切りにするのはちょっと面倒なんだよな。でもこれなら、フィルムをペローとめくってパクーだ。

みんなビールを飲んでいるようだが、ビールとカラスミが果たしてあうのかどうかは不明。一方唯一酒を飲めないおかでんは、甘い三ツ矢サイダーをぐいぐい飲んでいるので、人のことは言えないのだが。

越後湯沢駅

朝っぱらからお酒を胃袋に流し込みながら、何度みんなで繰り返し議論しても行き着く結論は同じ。「今年はハワイがあたらないわけがない」と。「だって、人数がさらに増えたんだぜ?」とも。

この「チームアワレみ」、2014年2名→2015年3名で当選確率は1.5倍になった。そして2016年は4名で前年比1.3倍。2014年比2倍だ。見よ、わが軍の圧倒的な質量作戦を。

とはいえ、もうこれ以上の増員は難しい。めぼしい人に声をかけてはみたものの、みな一様に「寒いのは嫌だ」「体を動かすのは苦手」と敬遠している。なので、今年の布陣を堅持しつつも、これから先「ハワイが当たるまで何十年も通いつめる」覚悟がなくてはいかん。死ぬのが先か、ハワイを得るのが先か。

そんな悲壮な覚悟はともかく、新幹線の中ではのんきに「当たった場合はどうする?」という「とらぬ狸の皮算用」の真っ最中だった。

「そもそも、ハワイにいけるのはペアなのか?それとも一人だけなのか?」
「一人じゃないかなぁ。そうじゃなけりゃ、4名も毎年遠島の刑を用意するのは難しいと思う」
「一人でハワイに行くなんて無理でしょ。絶対誰かと誘っていくと思うけど、その場合は一人分は自腹?」
「JTBやHISなんかのクーポン券がもらえるんじゃない?ハワイ旅行相当分の額の」

もしこの仲間のうち誰かがハワイを当てた場合、みんなで一緒にハワイに行こうね!なんて話をする。しかし、ハワイの権利が「半年以内に行ってください」というレベルなのか、それとも「○月○日発のツアーにお集まりください」という日時指定レベルなのか、それすらさっぱりわからない。

「ひょっとしたら、日時が限定されているかもしれないな。で、日程があわなければキャンセルになるとか」
「平日の月曜日とか火曜日発、かもしれない」
「うわ、さすがにそれはちょっと」

とにかく、いまだに我々は「ハワイ遠島の刑」について疑わしく思っている。主催者は誠実なので信じているのだけど、こんな大盤振る舞いがどうやって可能なのか?というのがいまだにわからないのだ。だって、仮にハワイ行きの旅費が10万円だとして、毎年の当選者は4人いるので40万円。ほかにもいろいろな賞があることを考えると、予算を贅沢に使いすぎている。このなぞを解き明かすためにも、ぜひとも実際自分自身が遠島の刑に処せられないと。百聞は一見にしかず、だ。

そんなこんなで越後湯沢到着。ホームに降り立った瞬間に感じる、「あっ、雪国だ!」というピリッとした寒さ。

レルヒさん

「オッケー」

とレルヒさんが頬杖をつきながらお出迎え。

コンタクト装着

今回、やる気十分であることを示す姿。おかでんにしては珍しく、コンタクトを着用している。サングラスを持っているわけじゃないので、単に「レース中、汗をふくのが楽だと思う」という淡い期待でこの格好になっているだけだ。汗をかくくらい、本気でレースに挑むことができりゃよいのだけど。

しかし、今回は体調がどうにも悪い。数日前に副鼻腔炎になり、顔の半分が麻痺している状態だった。現在抗生物質を飲んで治療をしている真っ最中で、日常生活の呼吸にさえ難儀している有様。こんな呼吸器系でも嬉々としてレースに出るのは、ひとえに「制限時間内にゴールさえすれば、お楽しみ抽選会の権利を得ることができる」からだ。コースの最初から最後まで歩いたら制限時間に間に合わないが、ちょいと走ればひとまず間に合う。

「好タイムでゴールインする」のは、上位を狙う人たちに任せておけばいい。どうせ毎年コースレイアウトは変わるのだし、昨年よりも1分時間を短縮しよう!なんて計画するだけ無駄だ。ならば、ただひたすら「ハワイ!ハワイを当てたい!」に尽きる。いい加減ここらでハワイを当てて、僕らを成仏させてほしい。

ほくほく線路線図

越後湯沢駅から10駅先に、まつだい駅がある。

昨年、うっかり駅でのんびりしてしまい、ほくほく線の出発ギリギリにようやく間に合う間一髪だった。ほくほく線は1本逃すと次が2時間後だったりするので、本当に油断しちゃいかん。

なので、今年は事前にきっぷを買っておく。出発間際であわてなくてすむように。