堀越えの次に待ち構えているのが、砦越え。4段のピラミッドを乗り越えていかないといけない。
写真左に、ストームトルーパーが砦めがけて激走している姿が映り込んでいる。このように、助走をつけて飛びかからないと、なかなか上の段には上れない。そして、上の段には仲間のストームトルーパーが待ち構えているように、チームワークも必要。
段の随所に、鎧兜を着た大会運営スタッフが「助太刀」要員として控えている。どうにもならなかったらこの人に助けてもらえるので、「仲間がいないので上に上がれず、リタイア」ということはない。
また、観客の視線に晒されているので、一刻も早くここを突破したいところだ。よじ登っては失敗して滑り降りて、なんて様を見せてしまうと、格好の酒の肴にされてしまう。
砦に対峙するたっぴぃさん。
この高さが絶妙なのよ。登れそうで、登れない。
身長が高い人なら有利!女性にとって不利!なのだけど、身長が高くても体重が重たいと全然登れない。おなかが邪魔をして、そのまま滑り落ちてしまうのだ。
鎧のおにいさんいサポートを受けつつ、登っていくたっぴぃさん。もちろん僕も手をさしのべつつ。
砦のてっぺんから振り向いたところ。
まだ、騎馬落としに取り付いている人がいる。とはいえ、既に選手の数はまばらになっており、今自分がいるところがかなり後ろであるということが覗える。やべえ、いくら「制限時間内にゴールさえすればいい」と思っていても、最後尾だけはいやだ。少しは急がなくちゃ。
砦の坂を駆け下りる。ここから会場を出て、舗装道路コースになる。
初参加の2年前は、舗装道路に出た時点で松代城一番乗りを告げる号砲が鳴ったもんだ。あれは惨めだったなぁ。
舗装道路はすっかり雪がない状態。脚力に自信がある人は、こういうところはものすごい勢いで突っ走って行ったんだろうな。
一方の自分はというと、足を引きずるようにダラダラと走る。もうすぐ給水所があるので、そこから先は完全に手を抜いて歩こうと心に誓う。
給水所で水を飲む。あー、しんどい。
二杯水を飲んでいたら、後からチームアワレみの3名がやってきた。ちょうど全員の足並みが揃っていたようだ。
川沿いに立つ、謎のかかし。
給水所から先しばらくは、ほくほく線の線路沿いに平坦かつまっすぐな道が続く。雪は完全に溶けていることだし、絶好のハイスピードゾーンとなる・・・のだが、我々は全員歩き始めた。
誰かが走れば、釣られて他の人も走ったのかもしれない。しかし、「おい、走るなよ」みたいな無言の同調圧力がかかったのか、「良い天気ですな」「そうですな」などと会話しながら、歩く。
歩いているそばから、どんどん抜かれていく。やばい、本当に最後尾になってしまうかもしれない。
我々がへばっている時、後ろにいる人たちもへばっているのかと思いきやそうでもないようだ。呆れるくらい抜かれるので、さすがに心配になってくる。
まつだい駅すぐにある「雪国農耕文化センター」を過ぎたところで、コースがいよいよ雪になる。ここからが山岳ステージになる。
この「雪があるところと、ないところの境目」にあたる橋は、「城盗り橋」という名前が付けられている。この名前は、イベントの時だけ使われているのではない。ちゃんと国土地理院の1/25,000の地図にも記載されている。
平地でさえヘロヘロの状態なのに、山道に入るとがぜん疲労感が増す。
さすがにこのあたりは雪がみっちりだ。「ここが道路だよ」と圧雪されてはいるものの、そうでもなければよくわからないくらいに、真っ白だ。
とはいえ、相変わらず雪質は悪い。デコボコだし、場所によって固さが違う。なので、一歩また一歩歩くたびに疲れる。だんだんこのあたりからチームアワレみの隊列はばらけ、縦に長く伸びていった。
山を登っていく。もともと棚田がある土地なのだと思うが、夏の時期にここを訪れたことがないのでよくわからない。いずれにせよ、木が生えていないのでとても眺めがよい。
それにしても雪が残っていないものだなぁ・・・。
たっぴぃさん、よこさん、おーまさん、おかでんという順番でゴールするまで固定となった。「折角だから仲良くいこうよ」と言いつつ追いつきたかったけど、いかんせん足が前へ出ない。僅かな差なのに、どうやってもこの差は縮まらなかった。
君たち!僕を置いてかないでくれ!
ハアハア言いながら、彼らに付いていくのがやっとのおかでん。おい自衛隊迷彩、ちゃんとやれ。日頃鍛えていないのがバレバレだぞ。
第二給水所が見えて来た。僕より先に行った3名が水を飲んで休憩をしている。
過去2年なら、「立ち止まって休憩」なんて全くしなかった。ちょっとでも前に、という欲があったからだ。しかし今年はなんとのどかなことよ。現に、写真に写っているのは我々と、あとはスタッフの方だらけ。
第二給水所には、酸素補給のためのスプレー缶が用意されてあった。
「おっ、これ使ったことないんだ。効果あるんだろうか?」
「どうなんでしょうね、結構使ってる人っていますからね」
「じゃあ試してみよう、既に息も絶え絶えだし」
早速酸素を吸ってみる。人生初酸素ボンベ。
・・・
「効いている気がしない。というか、そもそも吸っている気がしない」
「そりゃまあ、味とかしないですから」
「缶の中身、入っているのかな?既にカラになっているんじゃ?」
缶を振ってみるが、なにしろ中身は酸素だ。入っているのかどうか、さっぱりわからない。
「効果無し。諦めて先に行こう」
まだゴールは遠い。
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