訪れた酒屋さんには、漫画「頭文字D」のポスターが貼ってあった。ええ?「頭文字D」って、渋川市を中心とした群馬県を中心としたストーリーなのに。話中で、「新潟の海水浴場にドライブデートに行く」という展開があったけど・・・
よく読むと、吹き出しに
ご存知ですか?「バリバリ伝説」「頭文字D」の作者しげの秀一さんは松之山出身だという事を!!
と書いてある。えっ、そうなのか。知らなかった。勝手に伊香保温泉界隈で生まれ育ったのだと思っていた。
「雪の数だけ思い出つくろ(はーと)」と書いてあるが、それはいったいどれだけの数なんだ。日本を代表する豪雪地帯でこの表現はかなりすごい。脳みそがパンクする。
ええ、でも僕らは雪の数だけ思い出作ってますよー。毎年一回、のっとれ!で。
酒屋には、「1月度 当店日本酒・焼酎ランキング」が掲示されていた。
こういうのを見るとワクワクするよな。聞きなれない銘柄、知っている銘柄いろいろあるし、その銘柄の中でもさまざまな種類がある。テイスティングコメントも書いてあり、飲み比べをしてみたくなる。お酒が飲める人が少しうらやましい。ただし、お酒を飲まないことによって得られるメリットも多いので、いまさら僕は「飲める人」の側には戻らないけど。
ちなみに第一位は「山間」というお酒。「やんま」と読むそうだ。その「特別純米発泡にごり酒」。発泡酒が第一位になるというのが、日本酒を取り巻く環境の変化を感じる。面白いね。
第二位は「想天坊 純米にごり生酒」。あれれ、これも1位と同じにごり酒+発泡。観光地で買うお酒なので、珍しいタイプの方が好まれるのだろうか。しゅわしゅわプチプチのにごり酒が鍋にあうそうだ。
第三位はまた「山間(やんま)」なのだが、こちらは「特別純米中採り無濾過生原酒」だ。すげえ、何か必殺技のようなネーミングになっている。超レア酒だということなので、まさに必殺技。
冷蔵庫に清酒の一升瓶が並んでいる。先ほど見かけたランキング上位のお酒たちだ。
「せっかくだから今晩の宴会用に買ってみては?」
とお酒を飲む人たちに声をかけてみたが、さすがに一升瓶を一晩で飲めるとは思えないので、ということで選ばれなかった。翌日レースを控えているし、そりゃそうか。
ちなみに今値札をよく読むと、4合瓶(720ml)でも売られているようだった。ああ、4合瓶だったら買うことができたなきっと。
結局、ビールを中心にあれこれ購入した。新潟のビールといえば、なんといっても「ヱチゴビール」を忘れちゃいけない。いろいろな種類が売られていたので、とりあえず全種類買ったった。
一通り物欲を満たしたところで、宿に退却。まだお風呂に入っていないんだ、夕食前にお風呂に入らなくちゃ。
おっと。カツ丼のお店「山愛」の電気が灯っている。夜の部の営業が始まるのかな?だったらよかった、おーいみんなー、カツ丼が食べられるよー。
準備中の立て看板がひっくり返され、メニュー写真が記された面が表を向いている。おっしゃ、こりゃ確実に営業をやってるぞ。
「いや、さすがに今からカツ丼は無理でしょー」
あれっ。そうか。
時刻は16:55。夕食まであと1時間ちょっと。あまりにタイミングが悪いか。かといって、宿メシをがっつり食べた後にあらためて、というのも冴えない。宿メシ、どんなのが出るのかはまだ不明だけど、どうせ「酒の肴になるような、いろいろな料理が皿数多くびっしりと」出てくるに決まっている。これを食べつくすために、ご飯もたくさん食べてしまうんだよな。
宿メシ食べた後、「カツ丼食べたい・・・」と思えるほどひもじい思いをしたことは過去にほとんど例がない。たいてい、日本の宿におけるメシは量が多すぎるからだ。
さあて、今ここでお店をスルーしてよいものかどうか。
いや、スルーするしかあるまい。風呂はどうするんだよ。日本三大名湯松之山だぞ?堪能しなくちゃ。
後ろ髪を引かれながら、この場を後にする。夕食後、戻ってこられるかなあ?
カツ丼の誘惑を振り切って宿に戻った我々は、お風呂に入りに行く。
「おっぱい風呂」と書かれたあんどんがお出迎え。秘法館のようだけど決してそんなことはない。ここまであっけらかんと開き直っているということは、ヤラシイことはないのだろう。子供の教育上よろしくない!というようなけしからんものではなさそうだ。
浴室。
濃い湯気に包まれていて、視界が妨げられている。ええと、このどこが「おっぱい風呂」なんだろう?
あ、これだ。
湯船にお湯を注ぐ口が、女性の豊満なおっぱいの形になっているのだった。乳首の先端から、お湯が二手に分かれてしゃーっと注がれている。
ふむ、確かにエロくはない。「なるほど」と唸ってしばらく凝視する程度だ。
注ぎ口がおっぱいである必要は全くないのだけど、まあ、それを言ったら噴水にしょんべん小僧があるのも意味はない。
せっかくだから、男性浴室には「おっぱい風呂」、女性浴室には「しょんべん風呂」でよいのではないか、と思ったが、さすがに「しょんべん風呂」では入浴している人の気分が悪い。
このおっぱいに背を向ければ、ちょうどよい塩梅に両肩に打たせ湯が・・・とも思ったが、肩幅よりも広くお湯が放出されていて、それは無理だった。残念。
一応記念撮影をしておく。
こういうとき、どういう顔をしてよいのかわからない。笑顔でいると、「にやけてエロい顔つき」と思われるし、かといってまじめな顔というのもおかしい。結局半笑いになってしまい、むしろ胡散臭くなってしまった。
露天風呂に行ってみる。
そういえば「滝見露天風呂」っていう名前だったよな。どれ、滝を見ようじゃないか。
・・・しかし、外に出てみたら、壁に覆われていて展望がない。滝見どころじゃない。なんだこれは。まさか、先ほどのおっぱいから出るお湯を「滝」と見立てているというのか?いやいやいや、それだったら「滝見内風呂」であって、今いる露天風呂のことじゃない。
ちょっと待て、なにやら水音が壁の向こう側から聞こえてくるぞ。
舗装されておらず、足の裏が汚れてしまうのもいとわず塀にすがり付いてみる。ひょっとしたらこの向こう側に滝があるのかもしれない。
どっちにせよ、露天風呂に浸かっていても中腰でも直立でも、滝は見えないのだけど。
期待をこめて背伸びをし、さらにカメラを突き出して外を撮影してみたら・・・
あっ、これが滝?
滝・・・。
うん、わかった、今日からキミは滝ということで。
そっとカメラをしまい、無の境地で露天風呂に浸かった。
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