以前から気になっていた温泉地がある。
それは、福島県にある「中ノ沢温泉」という。
場所としては、安達太良山の西側で、裏磐梯エリアにある。
安達太良山を東西に横断する土湯峠周辺にはとてもすばらしい湯けむり処が点在している。岳温泉、新野地温泉、赤湯温泉、幕川温泉、横向温泉・・・。東京に住んでいると、なかなかこの界隈の温泉にまで足を伸ばす機会が少ないのだけど、「日本秘湯を守る会」の会員宿が多いので、ついつい目に留まる。そして、そのお湯や宿のポテンシャルに興奮を覚えてきた。
一方で、「中ノ沢温泉」というのはあまり知名度がない。多分。僕が知らなかっただけかもしれないけれど。
僕がこの名前を知ったのは、遙か昔に「2ちゃんねる」の温泉スレで、ステマとしてやたらと中ノ沢温泉を推すレスを連発しているヤツがいたからだ。ステマをやるくらいだから、ろくでもない温泉なのだと思っていたが、いろいろ調べてみたら実は結構良い温泉らしい。
ということで、8月だし、どこかえいやっと遠めのところの温泉地に高飛びしよう、と思っていた僕にはうってつけの場所だった。宿も比較的安く見つけられたし。
今回は、中ノ沢温泉で療養・・・いやもう、療養、という口実をつけるのはいい加減無理があるけれど・・・しつつ、その前後に福島、喜多方、会津若松あたりの観光もすることにした。
2015年08月20日(木) 1日目
12:13
レンタカーを借りて、東京から福島へ。
この界隈のB級グルメをあらかじめ調べていて、初日お昼は「ご当地B級グルメ」にするつもりだった。すると、あれこれ出てきて、選ぶのに苦労した。今は結構、あちこちで町おこしB級グルメってはやっているのだな。
ただ、観光客として「ご当地感を感じさせるサムシング」が欲しい。B級グルメならなんでも良い、というわけではない。
今回一緒に旅行をした連れと、あらかじめ食事について相談をしていた際。お互いが「うーん」と唸ってしまったのが、「安達太良カレー」だった。
安達太良山の東山麓、岳温泉界隈のお店で提供されるカレーのブランド。じゃあ、何か独特の味とか素材があるのかと思ったら、「地元福島県産の食材をふんだんに使う」というルールがあるだけで、あとはフリーらしい。そのため、ドリアやカレーうどん、果てはタイカレーまである。
カレーで盛り上げるのは大変良いことだと思う。でも、僕らみたいな東京もんが福島までやってきて、「じゃあカレーを食べるか。タイカレーがいいな」とはならない。遠方からの観光客向けではない、中近郊の人向けの施策なのだろう。
ほかに、福島には「クリームボックス(甘いクリームが載った食パン)や浪江焼きそば、円盤餃子、イカにんじん、酪王のカフェオレといったものがあるが、今回僕らが選んだのは「福島市の『ふくしまブルブル』」だった。
名前で選んだだけだろ!と言われそうだけど、それくらいインパクトがあるネーミング。なんだよ、ブルブルって。震え上がるのかよ。
その正体を確かめに、福島市にやってきた。
福島駅前のコインパーキングに車を停め、駅前を歩いてみる。
福島駅は新幹線の停車駅でもあり、ここから山形新幹線分岐していくという交通の要衝。なので、そこそこの駅前規模を誇っていた。
阿武隈急行線と、福島交通飯坂線ののりばもある。
12:22
まず、JR福島駅の構内に入ってみる。駅前には、木製の立派な看板が掲げられている。
お目当ては、構内にある観光案内所だ。
ここで、「ふくしまブルブル」に関する情報を仕入れよう、と思ったからだ。
というのも、「ふくしまブルブル」を盛り上げていこうぜ!ということで福島市内のお店11店舗が団結したのがわずか半年前(2015年2月)。まだ全然、口コミ情報も公式情報も少ない状況だった。
聞くところによると、福島市内では有名店だった「ブルドック」という洋食店の看板メニューとしてあった豚肉料理が「ふくしまブルブル」の正体なのだという。「ブルドック」という店名の「ブル」、「うまくてブルブル震える」の「ブル」をかけあわせて、「ふくしまブルブル」なんだと。・・・うまくてブルブル震えるってなんだよ。そんな体験、僕の人生では一度もないぞ。
西野カナの歌詞に出てきそうだ。
うますぎて うますぎて ふるえる
で、その「ブルドック」が惜しまれつつ閉店してしまったので、その味を後世に残すべく11店舗が立ち上がった、というわけだ。
しかし、そのふくしまブルブルだけど、まだ「推していくぞ!」という体制にはなっていないようだ。観光案内所にはいろいろなポスターが貼ってあるけど、ゲゲゲの鬼太郎だったりする。中に入って、職員さんに相談したら、ようやくチラシを貰うことができた。
チラシが沢山並べてある「ご自由にお取り下さい棚」にもないくらいだから、マニアックな扱いなのだろうか。
この「ふくしまブルブル」、とにかく観光客にとって便利だ。何しろ、11店舗全てが福島駅から徒歩圏内、しかも駅東側に集中して存在しているからだ。食べ歩きだってできる。さすがに1日では無理だけど。
肝心の「ふくしまブルブル」の定義だけど、パンフレットによると
- 福島県産の豚肉を使用
- 胡椒のピリ辛とごま油、しょう油風味の焼肉
- オニオンを載せて食べる
という定義があるらしい。豚肉の生姜焼き的な方向性の食べ物、と思えばさほど間違ってはいない。
しかし、料理の元祖である「ブルドック」で提供されていた料理の模倣である必要はなく、各店舗独自の解釈で好きなように「ふくしまブルブル」を提供してよい。
ざっとパンフレットを見ると、「ふくしまブルブル焼き飯」を出すお店、「ふくしまブルブルピッツァ」を出すお店と様々だ。まだ始まって半年、しかも11店舗しかないのに、早くもかなり派生している。
値段は安いところで730円から、高いところで1,550円まで。けっこうばらつきがある。
12:25
本当に至近距離に「ふくしまブルブル」を出すお店が密集している。
なので、11店舗全部を実際に見に行って、よさげなお店で食べる、ということに決めた。さすがに連れがいることもあって、食べ歩きはしない。
まず、観光案内所がある駅ビルの2階にも、さっそくふくしまブルブルを出すお店がある。DUCCA、というレストラン。ここはふくしまブルブルが1,200円。
今日一日で食べ歩きをするならば、「安いブルブルと高いブルブルはどう違うのか?」という比較をやってみたい。でも、1食入魂でお店を選ぶなら、もっと安いお店にしたいところだ。僕は庶民的なブルブルでブルブルしたい。
駅前の百貨店、「中合」。
この中には「ホテル辰巳屋」があり、ここでもブルっちゃうことができる。さすがホテルのレストランだけあって、お値段は最高値の1,550円。
福島駅前のアーケード。
開けているけど、のどか。この雰囲気は、ゴチャゴチャしすぎている東京の人からするとほっとする。
12:30
今回、11店舗のブルブル提供店の中でひそかに大本命視しているのが、「ホテル大亀」だ。
べつに「ひそかに」する意味はないのだけど、なんとなく。
駅チカの、昔ながらのビジネスホテル。そこのお食事処でブルっちゃうことができるらしいが・・・
あ、あった。お食事処、というのぼりがホテルの前に掲げてある。
あんまりホテルっぽくはない外観だ。
そして、いよいよ発見、「ふくしまブルブル」の看板。
ホテルの外壁に掲げるくらいだから、力が入っていることがわかる。「名物料理が復活!」と書いてある。
あれっ、5種類のブルブルがあるようだ。
ノーマルのブルブルが800円。ただしこれはどうやら、単品らしい。炭水化物がつかない。酒のつまみにもなります、ということだろうか。ダブルブルブルが1,500円。ブルブルしまくってるな、おい。
あとは、AからCまで3種類あって、主食がライスバージョン、トーストバージョン、ナポリタンバージョンとなっている。面白いね、主食が選択できるだなんて。
ふくしまブルブルは2015年2月16日スタート、と書いてある。今日が8月20日なので、本当にまだ半年の歴史しかないことになる。
このお店のブルブルは、「生みの親大槌氏に捧げる」と書いてることから、元祖のものに近いのだと思われる。
コーヒーが100円で提供されているので大変びっくりしたのだけど、よく見るとテプラで「持ち帰り専用」と書いてあった。さすがにそりゃそうか、マクドナルドじゃないんだし、100円でコーヒー頼まれて、延々と客席で粘られたらたまらない。
このお店が大本命であることはかわりないけれど、ほかのお店も見て回ってこよう。ランチ時間はまだ余裕がある。
(つづく)
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