10:41
磐梯山の北側、いわゆる「裏磐梯」エリアを走る。
深い緑が美しい。
このあたりの地図を見れば、大小様々な湖が点在している。磐梯山大噴火によって川がせき止められたり、いろいろ地殻変動があったのだろう。
10:47
道の駅裏磐梯に到着。
ここは、「百名山無謀チャレンジ」の時に、駐車場で車中泊をしたことがある。
また、「アワレみ隊奥のマゾ道」で、東北道の駅スタンプラリー完全制覇のために立ち寄ったこともある。
裏磐梯における交通の要衝にあたる場所なので、立地条件がとても良い場所だ。
特にここで何か用事があるわけではないのだけど、移動途中で道の駅を発見した際にみすみす素通りするほど無我の境地にいるわけではない。ちょっとごあいさつをしていかないと、とむずむずして、立ち寄った。
よくある農産物直売所の様子をうかがう。
マイカーなら、「あっ、キャベツが安いやんけ!買うたろ!」などとあれこれ買う気にもなる。しかし今日はレンタカーだ。家から遠いレンタカー屋に車を返却して、そこから家までキャベツ1玉を抱きかかえて帰るというのはちょっと面倒くさい。なので、マイカーを手放して以来、めっきり道の駅で野菜を買う機会が減った。
11:00
道の駅で見つけた、物騒なアイスクリーム。
以前、江の島で「しらすソフトクリーム」なるものを食べて「これでまた人生のレベルが上がってしまった・・・」と感慨にふけったものだが、ここには「そばソフトクリーム」なるものがあった。
江の島のお店にも、「そばソフト」はあった。でも、あれは蕎麦を練り込んだ、ぱっと見た目は蕎麦風味だとはわからないソフトクリームだった。
ところがこれはどうだ!?洋菓子のモンブランみたいに、麺状のうにゃうにゃした形に盛り付けられているではないか。これは誰がどうみても蕎麦だ!蕎麦のソフトクリームだ!
ただし、うまそうかというと、全然うまそうには見えない。
「ここは食べておくべきではないか?どうなんだろうか?」と若干悩んだが、先ほど草団子のあげまんじゅうを食べたばかりだし、おなかは空いていなかった。ならば無理して食べることはあるまい、ということでパス。
11:09
裏磐梯から西に抜け、喜多方を目指す。
喜多方といえば、当然蔵の街でありラーメンなわけだけど、今日は会津若松を中心に観光しようという腹づもりなので、喜多方散策はしないつもりだ。
しかし、ラーメンをみすみす見逃すのは惜しいので、ちょっと一工夫する予定はある。
あえて喜多方の市街地に背を向け、北部にある「熱塩」という場所を目指す。
熱塩には、「熱塩温泉」という温泉地がある。その近くに、廃線となった国鉄日中線の熱塩駅が現存しているという。それを見に行くことにした。
11:52
温泉街の手前に、熱塩駅に向かう脇道がある。そこを入ってちょっと言ったところに、ぽつんと赤い屋根の熱塩駅があった。ジブリ映画に出てくるような家だ。
日中線が廃線になったのは1984年。もう30年以上前だけど、今は「日中線記念館」という形で維持されている。
無人で、ほかに客は誰もおらずひっそりと緑の中にたたずんでいる。その風情がとてもいい。
「駅前直売広場」とかかれた屋根付きスペースがあった。今は何かのトロッコ置き場になっているけど、昔は駅を利用する人向けの農産物直売所だったらしい。
日中線は、1938年に出来た路線で、廃線となる1984年まで、喜多方からここ熱塩までを結んでいた。12キロ弱の路線で、一体何のために作ったのやら、という盲腸路線だ。熱塩温泉が近くにあるとはいえ、そこまで大量に旅客を輸送しなければいかんほど大賑わいの歓楽街だった、というわけではない。
もともとは、日光あたりから会津若松を経由して、喜多方、熱塩、そして米沢の方まで伸びる鉄道を想定していたようだ。しかし、結局熱塩でその夢途絶える。
開業直後から大して便数は多くなかったようで、廃線になるべくしてなった、という感じだろう。
とはいえ、駅舎はとても味わいがある。
今だったら、コスプレの写真撮影なんかでここを利用するとイイカンジなのではないか、と思える。または、映画の撮影とか。
転車台跡があるのか!
昔は、機関車が転車台(いわゆるターンテーブル)を使って、向きを変えていたんだな。
「左に200メートル」と書いてある。面倒だったので行かなかったけど、今はどのような姿になっているのだろうか?なにせ廃線30年だ、駅舎は綺麗に保たれているけど、転車台は随分傷んでいそうだ。
昔使われていたであろうダルマストーブ。
ダルマストーブの脇に、薪が置いてある。
えーと、この薪は一体なんだ?まさか、実際にこのダルマストーブを使うわけではないと思うのだが・・・なにしろ、煙突がついていない。いや、煙突がなくてもちゃんとストーブとして成立するのだろうか??
ホームに出てみる。
いやー、風情があるなあ。
さすがに線路は撤去され、昔ここに線路があったことさえわからない。
そして駅前一等地だというのに、周囲に家が建っていないという現状。やっぱりこの路線は失敗してしょうがなかったのだろう。
線路がないから、鉄道法もなにも関係なく、堂々と「線路側から駅舎を写真撮影」もできる。
駅員さんがいたであろう場所にも入ることができる。
別に「忍び込んだ」わけではなく、この駅舎全体を自由に見学することができるように整備されている。
窓口の脇に、昔の乗車券を売るための棚があった。「乗車券箱」というプレートが貼ってある。そうか、これは乗車券箱、という名前なのか。もう、死語になりつつある言葉だ。いや、もうなったか。
今時、硬券を使っている鉄道路線って、日本国内にどれだけ残っているのだろう?
正解は、この駅。
えー。
100円で、硬券を記念で購入することができるのだった。
「愛の始発駅 熱塩から 喜多方ゆき」と書いてある。何がどう「愛の始発駅」なのかわからない。ええと、何かそういう御利益があったりするのだろうか。パワースポットとか。
満願成就のために「愛の終着駅」でもいいんじゃないか、と思うが、それだと「ただれた不倫の末の、無理心中」とかなんだか渡辺淳一「愛の流刑地」みたいな感じなのでダメか。
やけに立派な窓口。
乗車券売り場の隣にある。
乗車券売り場の窓口が狭いのに対して、こちらは大きい。チッキの受付をやっていたのかもしれない。
コーヒーサーバー発見。
さすがにコーヒーは入っていなかったが、昔は来場者に有料セルフサービスでコーヒーを提供していたっぽい。
コーヒーサーバーの隣には小型の冷蔵庫があり、そちらには「冷たいジュース」が1本100円で売られている、と書いてある。
へー、セルフサービスのジュースか。それは珍しいね、と思って冷蔵庫を空けてみたら・・・
何も入っていなかった。
コーヒー用のシュガーとかコーヒーフレッシュが入っているだけだった。
盗まれたのか、それとも供給をやめたのか。
(つづく)
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