12:01
熱塩駅を後にし、南下を開始する。
途中、「道の駅喜多の郷 ふれあいパーク喜多の郷」に立ち寄った。
この日のお昼は、会津若松で桜肉を食べようと思っている。なんと、生の馬肉をにぎり寿司にした「桜寿司」なるものを提供しているお店があると知り、黙ってはおれなかった。
日本各地、馬肉食文化というのはぽつりぽつりと点在していて、その多くがマイナーな存在だ。だから、桜肉ですよ!と言われたら、脊髄反射的に、膝蓋腱反射的に、「食べます!」と手を挙げてしまう。
となると、とばっちりを受けるのが「喜多方ラーメン」だ。
喜多方でラーメンを食べてから、会津若松で桜肉・・・というのはちょっと飽食が過ぎる。連れがいる旅行だからといって、一杯のラーメンを二人でシェア、というわけにはいくまい。
そこで道の駅ですよ。
なんのこっちゃ?と思うだろう。ああ、僕もにわかには信じられなかったぜ、この道の駅を知った時には。
だって、「ラーメンバーガー」だぜ?
喜多方で、「汁と麺からなるラーメン」を食べるのではなく、「ラーメン」の「バーガー」を食べるという屈折した発想。最高じゃないか。
店頭の食品サンプルを見ると、モスバーガーの「ライスバーガー」のように見える。あ、そうか、麺を固やきそば風に固めて、それをバンズに見立てているのか。「ご飯をバンズに見立てたライスバーガー」と発想は一緒だ。
具は、なると、メンマ、地元産の豚を使ったチャーシューが入っている。
ともかく、なるとがバーガーに入っている絵面というのはかなりシュールだ。
そういえば、今時なるとを食べる機会ってめっきり減ったなあ。
こうなったらもう、なんでもアリだ。
「ラ~メン丼」というのもあるぜ。
これも具はバーガーと似ている。ただ、紅生姜とゆで卵が追加具材として入っているようだ。
「これがうわさの」と銘打っているけど、そりゃあ噂になるわ。ひそひそ話になるよ。だって、「ラーメン」と名乗っているけど、肝心の「麺」がないんだから。ご飯やないか!
こうなってくると、「ラーメンとは果たして何なのか?」という深遠なる哲学論争になってきそうだ。
なお、そんな論争をより一層深めるために、このお店では「ラーメンピザ」というのもございます。
そうか!ラーメンの定番の具さえ使い回せば、なんでもラーメンなんだ!・・・ということは、なるととチャーシュー、メンマを載っけた「ラーメン日本蕎麦」とか、なんなら「ラーメンカレー(カレーラーメンではない)」も可能、というわけだ。頭がこんがらがってくるな。
そんなラーメンバーガーは大人気らしい。
「1組様5個まで」という個数制限が課せられていた。さすがだ。1個350円だから、わりと安いというのもあるかもしれない。それにしても1組様5個も買う人ってどんな人だろう。
僕らは1組様1個、ということで。
車の中でラーメンバーガーを食べてみる。
うん、間近で見ると、バンズ部分はいかにも麺だ。これなら、「ラーメンバーガー」と名乗る意味がよくわかる。
でもお前はちょっと違うだろう、「ラ~メン丼」。
まあそれはともかく、この麺は一瞬「油で揚げたのかな?」と思わせる。ヘルシー志向の人はたじろいでしまうが、実際は違う。いったん茹でた麺を焼き固めたものなので、全然しつこくない。でも、これだけしっかりとまんべんなく焼き固めるのは時間がかかるだろうな、と思う。道の駅レストラン限定商品なのだから、工場生産をしているわけではないだろう。手作業でこれをやるとなると、大変だ。道理で「1組様5個まで」なわけだ。
味?味は・・・アイディアそのものと、料理のビジュアルに圧倒され、そこで全てが終わってしまった感はある。まずいわけではないのだけど、「じゃじゃーん」と紙包みを開封して中まではしゃぐところがテンションのピーク。それ以降はだんだんとしらふに戻ってしまうのだった。
ラーメンスープにとろみをつけて、具の間に潜ませてある。なので、味はラーメンだ。しかし、ラーメンに近い味付けになればなるほど、わざわざバーガーで食べる意味というのが怪しくなってくる。難しい食べ物だ、とつくづく思った。むしろ、今回は食べなかった「ラーメンピザ」くらい本来のラーメンからかけ離れた方が、食べた際の納得感があるかもしれない。
(つづく)
コメント