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鶴ヶ城にやってきた。
なんだか、会津若松城って言われていたり、鶴ヶ城と呼ばれていたり、言い方にぶれがあるようだ。
黒い天守閣の岡山城のことを「鵜城(うじょう)」と呼んだり、広島城は「鯉城(りじょう)」と呼ばれるようなものだろうか?
どうも、地元民は「鶴ヶ城」と呼ぶけれど、鶴ヶ城って他の土地にもあって紛らわしいので、よそ者は「会津若松城」と呼ぶ、ということらしい。
スーパー・ストロング・マシンのマネージャー「悪の将軍KYワカマツ」はここから名前を・・・あ、違うか。あの人は北海道で市議会議員をやっていたな。
駐車場に車を停めて、お城を目指す。
しかし、駐車場からはお城が見えない。一体どれだけ遠いんだ?
戊辰戦争の時は、陥落するまで一か月を要したというけど、まさか到着するまでに一か月かかるんじゃなかろうな?
門が見えてきた。そしてその向こうに、ちらりと天守閣の姿が。あー、見えた見えた。ホント、ちょっとだけ心配した。まさか取り壊されたとかあるんじゃないか?って。
「鶴ヶ城喫茶」というところで、はかま姿の女の子が描かれたのぼりが立てられていた。
「八重たんの桜ソフトクリーム」と書いてある。
ああそうか、綾瀬はるか主演のNHK大河ドラマ「八重の桜」は、ここが舞台だったっけ。
ドラマなんて全くみないし、歴史に全く造形がない。なので今更「あー、そういえば」と思ったレベルだ。このあと、白虎隊が自決をした飯盛山にも行く予定だけど、「えーと、白虎隊って何だっけ」という有様。
おかでんにおける白虎隊の知識
・若い青年たち
・飯盛山から、鶴ヶ城が落城するのを目の当たりにした
・落胆して自決
以上。おい、いくらなんでも端折りすぎだろう。もう少し歴史に興味を持たなければ。
でも、「八重の桜」は、オリジナルサウンドトラックはCDで持っているんだよな。坂本龍一作曲だから。サントラは持っているのに、肝心のドラマは見ていないというアンバランス。
鶴ヶ城。立派な天守閣だ。
まるでピラミッドのように、末広がりに広がっているその姿は美しい。
白壁がきれいということもあって、何やら曇天をバックにしても晴れやかに見える。なんでだろう、と思ったら、ああ!このお城って瓦が赤いのか。珍しい。
そんなお城の前に、「会津若松市観光PRキャラクター お城ボくん」が控えていた。あっ、お城に腕が生えていて、顔がついている。ガンタンクのような格好で、きっと「お城ロボット」なのだろう。
普通、お城をデフォルメしてキャラクターしても、それがどこのお城なのかわかりにくい。しかし、鶴ヶ城の場合は赤瓦なので、一目瞭然だ。これはいいや。
それにしても、どこかで見たことがあるテイストだな、なんだろうこのユルい顔つきは・・・と思ったら、制作は「笹川ひろし」と書いてあった。おおおお!タツノコプロ!!タイムボカンシリーズの総監督だ。
道理で、「今週のびっくりどっきりメカ」風味があるわけだ。いいねえ、おじさん世代にはたまらないぜ。せっかくだから、こいつを動けるようにできないものだろうか。
お城ボくんに後ろ髪をひかれる思いで、天守閣の中に入る。
エジプトのピラミッドの入り口のように、石の間から入っていく。
お城ボくんの中・・・じゃなかった、鶴ヶ城の中。
「会津若松の人は、未だに山口県人を嫌う」という話がある。これは笑い話の一つなのか、それともガチなのだろうか?さすがに、戊辰戦争のせいで自分の知る身内が殺された、なんていう人は生き残っていない。様式美として、「山口県?嫌いだね、長州は」と答えるのが定番になっているだけなのではなかろうか。
僕の出身地・広島だって、この手の定番が現在進行形で存在する。「広島風お好み焼き」のことを「広島焼き」と言ったら烈火のごとく怒る、というヤツだ。「広島焼きなんて存在しない、あれはお好み焼きだ」と。そして関西風お好み焼きなんてゲロだ、と関西のお好み焼きの悪口を言う、という流れ。
実際、「広島焼き」という表現を広島県人(特に広島市民)に向かって言うと、大抵訂正されるだろう。しかし、だからといって怒るということはないし、別に関西風のお好み焼きに敵対心を持っているわけでもない。なんだか、そういう対立構造があった方がいいのかな、というサービス精神で怒ってみせているだけだ。・・・と思う。僕はもう広島を去ってから20年以上経つので、考え方が変わってしまったのかもしれないけれど。
細長い回廊が天守閣から連なっている。
天守閣見学を終えたら、この廊下をずーっと歩いて行くことができるそうだ。
150年前にタイムスリップ!と書いてあるのでどんなものかと思ったら、いきなり売店が出てきてびっくり。
先ほどの看板、よく読むと「売店を抜けると150年前にタイムスリップ」と書いてあった。ああ、なるほど。さすがに150年前にこれはないよな。
売店を抜け、干飯櫓へ。天守閣を振り返ったところ。
よくこんな回廊を復元しようと思ったものだし、その中に売店を仕込んだものだ。
お城周辺をぐるっと見て回る。
茶室があるあたり。
茶室。
茶室というのは、どんなに偉い人でもお辞儀をするようにしないと中に入れないだとか、狭い空間で身分を問わずにひとときを楽しむだとか、いろいろな考えがあると聞く。
でも、この茶室が一人暮らしの我が家よりも広い、という事実に嫉妬を覚える。
いっそのこと、ここに住んでもいいかもしれない。
いやだめだ、風呂トイレ別だ。公園のトイレまで用を足しに行くの、面倒くさいなぁ。結局、ペットボトルにおしっこをして、それを溜め込んでしまいそうだ。または茶室の柱に立ちションか。
なんてぇ俗なんだ。俗にまみれすぎている。もっと清貧かつ高貴に生きたいのに。
そんな思いを胸に、あらためて鶴ヶ城。
ああ、やっぱりかっこいい城だ。でも、さすがにおそこに住みたいとは思わない。それこそ、トイレが遠い。うっかり天守閣の最上階で寝泊まりなんてしたら・・・ペットボトル、たくさん用意しなくちゃ。
(つづく)
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