14:04
そろそろ温泉の湯加減が良い頃合いだ。15時チェックインであることを考えると、もう湯船に向けてまっしぐらでも良いくらいだ。
しかし、せっかくの福島だ。ほんのちょっと、回り道をしようと思う。
福島市街から西に向かったところに、吾妻連峰がある。その東の端にある荒涼とした場所が、浄土平という。
ここは、磐梯吾妻スカイラインという気持ちの良いドライブルートがあり、火山のために木がほとんど生えていない山を軽快にドライブできる。
といっても、もうかれこれ10年近く訪れていない気がする。とても良い場所だった記憶があるので、今回もう一度訪れておきたい。なにしろ、噴煙を未だに上げているような場所だ。最近日本各地で火山が活発化しているので、いつこの山だって立ち入り禁止になるかわからない。行けるときに、行っておかなくちゃ。
14:07
平野部から山に分け入っていく。
14:18
高湯温泉「玉子湯」の横を通過する。
まるでおもちゃのような、楽しげな作りの建物の玉子湯。名前も楽しい。
以前、「奥州三大名湯・三大高湯」巡りをやった際、最後に訪れた温泉がここだ。
玉子湯は良いお湯だったけど、旅行代理店の温泉旅行パンフレットなどに頻繁に登場する有名宿なのでお客さんがいっぱいだった。ゆっくり入るには日帰りではなく、泊まりにするとか平日に訪れるのが良いだろう。
ちなみに、この高湯温泉からしばらく南方に向かった山中に、一軒宿の「微温湯温泉」がある。初めてこの名前を見た人は読み方がわからないだろうが、「微温湯」と書いて「ぬるゆ」と読む。非常に味わい深い宿と立地なので、ぜひ一度宿泊してみたい・・・と思いつつ、未だに果たせていない場所だ。
なにせ名前のとおり、お湯の温度が31度しかない。これだけぬるいと、夏でもけっこうキツい。温水プール並だ。いくら長湯したって、のぼせない。間違っても冬に訪れることはできない。
14:35
高湯温泉の温泉街を過ぎると、道がぐねぐねしはじめ、標高を一気に稼ぎはじめる。
しばらくうねりまくっていると、前方にはげ山が見えてきた。浄土平の脇にある、吾妻小富士だ。
14:38
周囲がすっかり、木が消えた。
ひとまずの目標地点である浄土平が標高1,600m。それを考えると、この辺りは白樺くらい生えていてもよいはずだ。つまり、火山ガスや火山性の地面で、植物が生えたくても育たない場所、ということだ。
緑だってみすみす、日差しがよい斜面を見逃すわけがない。
なんとか生えよう生えようと頑張っているけど、火山に阻まれている真っ最中。そのつばぜり合いの最前線が目の前に見える。あそこから先は、どうやってもアカンらしい。
ああ、ドライブが楽しい。こういう道は走り甲斐があるよな。
道ばたに、「注意 火山性ガス」の警告看板が出ている。風光明媚なところだけど、駐車場は道中ほとんどない。長時間停車していると、ガスのせいで体調を崩す場合があるのかもしれない。
群馬県の草津温泉から、草津白根山に向かって行く途中もここと似た光景だ。そして、あちらは「駐停車禁止」エリアが道路の一部にある。
正面に見えるのが、綺麗な噴火口を持っている吾妻小富士。標高1,705メートル。
浄土平が近づいてくると、「ああなるほど、平らなんだな」と感心する。そこは、なだらかな高原になっている。
こんないい場所なのに、草しか生えないのか!もったいない!と思うが、一切経山の山腹から煙が出ているのが見えた。
まだまだ山は現在進行形で活動している。これじゃあ、植物も太刀打ちできないのだろう。
では、人間はどうなのだろう?こういうところに長期間住むことは可能なのだろうか。いや、多分ダメだな、もしそれができるなら、とうの昔にこのあたりを掘って温泉地にしているだろう。なにせこんな見晴らしの良い場所だ、火山性ガスの問題さえなければ、人は住んでいたはずだ。
(つづく)
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