鎖と階段でできた山【石鎚山】

ロープウェイの先

10:24
ロープウェイの行き先。

途中、黒々と茂った深い森の上を突っ切っていく。そしてその先を見ても、まだ駅が見えない。もちろん、石鎚山の山頂だって見えない。ここからかなり先らしい。

すでに時刻は10時半近く。登山を開始するにはかなり遅い時間だ。計画では問題なく下山できるはずだが、それでも登山をする上ではずいぶんお行儀が悪い開始時刻だ。ソワソワする。

滝

ついさっきロープウェイが出発したばかりなので、次の便まで15分ほどある。しばらくのんびりこのあたりを探検してみることにした。

団体客が集合記念写真を撮影するためだろう、「石鎚山ロープウェイ下谷駅」と書かれた札が庭に置いてあった。その背後にはちょっとした滝があるのだけど、この景色だけではぜんぜん石鎚山っぽくもないし、ロープウェイっぽくもない。

無人の建物

ロープウェイ駅の隣にある建物。

「成就社 食堂・売店」という看板が掲げられている。でも、営業しておらず人の気配がまったくない、というのはほかの施設と一緒。でもここもきっと、7月の大祭のときは店が開いてたいそうな賑わいなのだろう。なにしろ、周囲にコンビニなんてものはない。飲食したけりゃ、こういうところを利用するしかない。

それにしてもコカコーラの看板ってレトロだよな。昔はこういう看板がたくさんあったけど、今は少なくなってしまった。亜種としてファンタの看板もあったっけ。今、コカコーラってこういうところにはスポンサードしていないのだろうか?

山用トイレ販売中

10:27
ロープウェイ乗り場のところに張ってあったもの。

「石鎚山公衆トイレ休憩所 協力金クーポン券」

ありゃ。山の中のトイレは有料なのか。「協力金」名目で利用者からお金を取る仕組みになっているようだった。でも、受益者負担というと言い方がおかしいけど、こういう山でのトイレにお金がかかるのは当然だと思う。

ちなみに1枚100円だけど、12枚だと1,000円。たくさん買うとトイレ料金が安くなるというのを冷静に考えると、ちょっと面白い。

あと、トイレまで待てない!という人のために携帯トイレを1回400円で売っているという丁寧さ。「ちょっとお花摘みに行ってきます」とかいって草むらで用を足すんじゃねぇぞ、というわけだ。ご時世だなぁ。

ロープウェイの解説

ロープウェイとリフトご案内。

今いる山麓下谷駅から7分半で山頂成就駅。標高1,300m。途中に3本の支柱があり、ワイヤーを支えている。

山頂成就駅、という名前ではあるけど、ぜんぜん「山頂」ではない。ドが付くくらいの「山腹」だ。ここから山頂まで標高差682m。まだまだ先は長い。

山頂成就駅から先には、成就展望台に通じる504mのリフトがある。これを使えば標高1,405mまで稼げるが、登山道からややルートが外れるし、当然有料だし、今回は使わないつもりだ。

解説地図

石鎚山登山案内図。

なるほど、山頂成就駅から先のルートはこうなっているのか、とあらためてここで理解する。若干三次元的に描かれているので、地図を見るよりもわかりやすい。

なんでリフトなんてあるのかと思ったら、ここの山腹にはスキー場があるのだな。石鎚成就スキー場、というなんだかありがたい気持ちになる名前だ。四国にもスキー場があることに驚きだが、果たして冬にスキーができる程度の雪が積もるのかどうか、心配になる。

石鎚神社中宮成就社を過ぎると、そこから八丁坂という下り坂。そしてそこから登り返しになって山頂を目指すのだけど、途中「一の鎖」「二の鎖」「三の鎖」という鎖場が3箇所ある。まさに修験の山だ。この鎖場は必須ではなく、迂回することもできるらしい。気力体力の様子を見て、できることなら鎖をよじ登りたいものだ。

山頂(弥山1,974m)には石鎚神社頂上社があり、その傍らに山頂小屋がある。無人の避難小屋ではなく、しっかり宿泊設備を整えた有人小屋というのがすごい。さすが信仰の山。それだけこの山を目指す人が多い、ということだ。今日は平日だから少ないけど。

本当の山頂は、弥山の隣にある岩山、天狗岳になる。しかしここはちょっと危険なので、便宜上弥山を山頂とみなすこともあるらしい。

歩行距離3.6km、上りが2時間30分~3時間、下りが2時間~2時間半の所要時間。ただしこれは成就社からのものなので、ロープウェイ駅からの時間を入れると往復6時間前後、といったところだ。

リーフレット

丁寧に登山ルートを解説するリーフレットも用意されていた。ありがたく頂戴する。

登山ガイド本は持参しているのだけど、いちいちザックから取り出したり引っ込めたりするのは面倒だ。なので、こういう「折りたたんでポケットに入れておける」紙のものはありがたい。

このリーフレットを見ると、一の鎖の手前に「試しの鎖」というのがあるらしい。どうやら、お試しで鎖場体験ができるらしい。ちょうどいいや、まずは腕試しにそこにも行ってみよう。

遭難情報

壁に貼られた山岳救助隊だより。

「初めて石鎚山に登られる方へ」と題されている。はい!ボクです!

修験道とも言われる石鎚山では、例年多数の滑落・遭難事案等が発生しています。
特に、メインルート以外の登山道は、道そのものが複雑で、初心者だけでの登山は不可能です!ロープウェイを利用し、安全な登山計画の作成をお願いします!!

最後はびっくりマーク2つで締めくくられている文章となっている。よっぽど目に余っているのだろう。確かに、遭難箇所を示す地図を見てみると、山麓にもかかわらず「ヘリ出動」となっている遭難事故が起きている。むしろこういう山だからこそ、道迷いが起きやすいのかもしれない。

荷物運搬用のゴンドラもある

10:35
ロープウェイの索条脇に、もうひとつ索条がある。つまり、このロープウェイは複々線というわけだ。どういうことかと思っていたら、荷物運搬用のゴンドラが行き来するためのものだった。人の運搬と別にしているのだな。こういうタイプのロープウェイは初めて見た。

ロープウェイ

10:36
さあ、ロープウェイがやってきた。そろそろ乗車しよう。

ロープウェイ出発

10:43
急勾配を一気に上っていく。これを歩いて登るとなると大変だ。ましてや、遭難が多いって山岳救助隊が言ってることだし、お金をケチらずにとっととロープウェイに乗ったほうがいい。

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