終バスまでに下れ【両神山】

尾根道

12:30
産体尾根を進む。

尾根道を歩く時は、なんだか誇らしい気持ちになるよな。ついにここまできた感があるからだ。右を見ても眼下、左を見ても眼下。展望があまり開けてなくても、三角木馬の背を歩いている感覚はウキウキする。

とはいえ、穏やかな山容の尾根ならばいいのだけど、ごつごつした岩山だったら大変だ。尾根道が細かくアップダウンするため、かなり疲弊させられる。水平移動だけしたいのに、垂直移動も多発する。

この尾根は・・・今のところ、まだ大丈夫そうだ。頼むぞ、これ以上ジタバタさせないでくれよ。

清滝小屋

12:36
とはいえ、僕だってバカじゃない。事前に等高線付きの地形図を見て予習しているわけで、この尾根に出てからもしっかりと標高を稼がされることは承知している。

ほら見ろ、こんなところを登れとな?ちょっと待って、そろそろ疲労が蓄積してきたので、こういうのもいちいちしんどいんよ、わし。

鎖場

鎖がわざわざ用意されている。

これだけ岩に凹凸があって、木の根っこが絡みついているなら、足場に不自由はない。鎖は特に必要はない。しかし、念には念を入れて、ということでわざわざ鎖を設置しているくらい、道が険しくなってきたということだ。

清滝小屋

「くさり場注意 一人ずつ登ろう」という警告看板が出ているくらいだ。

この岩場にも、鎖が用意されている。

鎖好きは是非御堪能ください。

清滝小屋

12:39
そんな鎖場を越えると、今度は階段がお待ちかね。工事現場みたいに、足場を組んである。ここまでやらなくてもあとは自分でどうにかせぇ、と放置で良いと思うのだが、登山客に対して至れり尽くせりだ。小鹿野町か埼玉県か、どこがやったのかはわからないが、自治体が整備したのだろう。

「自己責任でやれ」と突き放したほうが良いとは思うけど、ここは「日本百名山」。僕のような百名山ピークハンターがわんさか訪れる訳で、そんな中から遭難者が出てもらっても困る。整備する手間暇と、遭難者救助の手間暇を天秤にかけたら、整備しようという気になったのだろう。

ああそうだ、以前この山には皇太子がいらっしゃって、小鹿野町の町長が案内を務めた、というのを聞いたことがある。ひょっとしたらそういうことが契機になって整備が進んだのかもしれない。

岩

12:49
鎖場の連続で、かなり疲れる道を登っていくと、大きな岩に出会った。横岩、というらしい。

清滝小屋

12:53
岩場だらけではない。樹林帯はまだまだ続く。

清滝小屋

13:00
そういえば針葉樹林に木々が変わってきた。

根っこがうねる尾根道をひたすら歩く。

鳥居

13:04
鳥居が見えてきた。両神神社だ。日向大谷に「里宮」があり、ここが「本宮」。山頂に「奥宮」があるらしい。

このあたりは尾根の上だけどなだらかな土地で、場所が十分に確保できている。

神社、といっても小屋といった風情。特に華美な建築様式なわけではない。神社境内の隅っこにある、町内会のお神輿の格納庫くらいの地味さだ。

山犬

狛犬のいるべきところに、犬がいる。

山犬様が狛犬役

参道を挟んで向かい合わせで、もう一匹。これ、山犬(狼)だ。こちらの山犬は牙を剥いていて、鋭い犬歯を見せている。山犬でも、金剛力士像のように阿形と吽形があるのだな。

山犬が守り神として鎮座しているのは、ヤマトタケルノミコトを道案内したという言い伝えがあるからだ。筑波山から両神山を見初めたヤマトタケルノミコトは、山犬の導きで両神山を登頂したのだという。だから、ここに山犬がいるわけだ。

八咫烏にしてもそうだけど、古来の日本人というのは随分と動物に助けられている。鶴が機織りをしていたとか、犬が裏の畑で宝を掘り当てたとか。あ、それはちょっと次元が違うか。

標識

13:05
両神神社すぐ近くに、トラロープが張って行く手を阻んでいる道があった。注意書きには、

「白井差コース廃道(下山できません)」の文字。そうか、白井差コースは本来ここから分岐していたのか。日向大谷ルートよりも山頂までの距離が近いということで重宝されていたのに。

神社

おっと、こちらの方が本殿っぽい。ひさしがしっかりしていて、木彫りの装飾が少しゴージャスだ。

本殿

ここにも山犬らしきものが対になって守っている。でも、犬や狼というより、キツネに近い外観。

お賽銭箱らしきところには、「おみくじ50円」とペンキで書いてあった。

おみくじ

ええ、なんか錆っ錆びの箱が置いてあるだけなんですけど、と思っておそるおそる穴を覗き込んでみたら、中はホコリとゴミと蜘蛛の巣だけだった。おみくじは誰も補充していなかったし、50円玉も一枚もなかった。

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