終バスまでに下れ【両神山】

2016年における僕は、6月の筑波山から始まって8月に石鎚山を登った。

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今年の目標は、山小屋一泊の山行ができるようになること。そのためにステップを踏んできたが、夏山シーズンが終わり秋の訪れを感じる今、まだちょっと体力的に不安はあった。

登れないことはないけど、「よっしゃあァァァ!登ったらァァァ!」と絶叫するほどの情熱を持って一泊山歩きをするガッツはまだ満ちていない。もう少し、気持ちと体力を鍛錬しないといけないっぽい。

そんなわけで、山小屋が閉鎖してしまう直前に仙丈ケ岳(南アルプス)に登り、その手前の9月にもう一回ガッツリとした日帰り登山をやってくることにした。

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山麓一泊で日帰り登山、というのはなんだか違う気がする。だったら、東京から日帰りできる日本百名山はどこだろう?・・・おのずとそれは限られてくる。そう、それは両神山。

両神山は、埼玉県秩父市のさらに奥にある山だ。群馬県との県境に近い。

険しい山として知られ、車道からの最短ルートとなる八丁尾根コースは鎖場の連続だ。そんなわけで、山岳信仰の山として今でもあがめられている。

この界隈はヤマトタケルノミコト伝説が多く、ヤマトタケルが東征の際に雁坂峠(山梨県と埼玉県の県境)を超え、秩父に向かったと伝えられている。ヤマトタケルがご飯を食べた際に使った箸を地面に突き刺したら、それが二本の大木になった・・・とか、ヤマトタケルが剣を岩に突き刺したら、そこからこんこんと水が湧き出た・・・とか。

大学時代からこの界隈の山歩きに親しんでいた僕にとって、歴史と伝説に触れ合うことができる地なので楽しい。

両神山界隈も、当然山歩きはしてきたし、山麓の温泉に泊まったりもしてきた。しかしこれまで山頂に至っていないのは、やはり登頂から下山までにそれなりの時間を要するからだ。現在のメインルートとなっている「日向大谷口」からだと、往復で7時間といったところ。これに登山口にたどり着くまでに要する時間を加えると、早朝出発の夜遅く帰着、ということになる。それが面倒で、なかなか行く機会がなかった。

何しろ本当に山奥だ。高速道路のインターからも遠い、電車の駅からも遠い。今回、「えーい、いよいよ積年の願望だった両神山に登るぞ!」と決めた際、時間を要したのは「どうやって登山口にたどり着くか?」という検討だった。ルート検討とか装備品云々、というのはそれに比べて微々たるものだった。

マイカーを持っていれば、ビューンと登山口まで突撃すればいい。しかし、レンタカー頼みの僕にとっては、夜明けとともにレンタカーを借りるという手間、かさむレンタカー代と高速代、といったところがネックになる。うんうん唸った結果、公共交通機関で行くことにした。

ルートはこうだ。

朝早く、池袋から西武池袋線・秩父戦の特急で西武秩父へ。
秩父鉄道に乗り換え、終点の三峰口へ。
そこからバスで、登山口の日向大谷口へ。

日向大谷口に向かうには、西武秩父から薬師の湯行きのバスに乗り、終点の薬師の湯で三峰口からやってきた日向大谷口行きバスに乗り換えるというやり方もある。秩父鉄道を省略するルートだ。しかし、山間のダイヤが薄いバス便なので、接続がうまくいかないと痛い目にあう。

今改めて調べてみると、薬師の湯での接続はうまくいくようにダイヤを設定されているようだ。しかし検討していた当時は、時刻表がうまく入手できず、バス乗り換えを諦めて三峰口起点・終点で往復することにした。

2016年09月10日(土)

西部池袋駅

06:31
早朝、まだ町が静まり返っている時間帯に家を出発。最初に目指したのは池袋駅だった。

ここからひとまず、西武秩父駅を目指す。

お金をケチりたいので快速急行などを使いたいのだけど、そんな悠長な余裕はない。登山は日没までが勝負だ。いや、日没から余裕をもって下山していなければいけない。なので、のんびりと登山口に到着しているわけにはいかんのです。

特急券売り場

特急!

これしかない。

有料特急に乗る、というのはすごく贅沢した気持ちになる。まあ、実際贅沢だ。登山というのは、身一つでできるレジャーのように思われがちだが、実は金持ちの娯楽だ。なにせ、交通費がバカにならない。

というわけで、僕も金持ちということでよろしいか?はい、よろしいです。

特急券自販機

06:32
特急券専用の自動券売機に向かう。

西武秩父行きのレッドアロー「ちちぶ3号」は6:50の出発。

20分も前に駅に到着していたのは、万が一この電車が満席なんてことになったら、もう今日一日取り返しがつかないからだ。まさかこんな早朝便で満席はありえないと思うが、奥武蔵・奥秩父山系を目指す老人ハイキングクラブが多数詰め掛けていたら、あっという間に埋まってしまう。

6:40の便の次は7:30。特急の割には多頻度運行だが、7:30じゃあもうダメなんです。その後の乗り継ぎがうまくいかないので、もう両神山登山は断念しなくちゃいかんのです。朝6時半の時点で今日一日の命運が決まってしまう。登山における公共交通機関のダイヤというのは、かくも大事なのです。

西武秩父へのチケット

満席だったら、今日一日何をしてすごせばいいんだ・・・そういえば池袋北口の怪しいエリアには、早朝から営業しているキャバクラがあったな・・・とかどうでもいいことを考えていたが、無事チケット入手。

特急券、700円。これとは別に乗車券として910円がかかる。

でもまだ終わりじゃないぞー。西武秩父から先も乗り換えがあるぞー。財布握り締めて、震えて待て。

特急のりば

西武池袋駅はくし型のどん詰まりホームになっている。東京界隈の私鉄ターミナル駅ではよくある光景だが、いずれにしても旅情を掻き立てられる形だ。

とはいえ、一時この沿線に住んでいたことがある僕は、今更感のある光景でもある。昔はこの駅を頻繁に使っていたものだ。

しかし、そんな僕でも恐れ多くて平身低頭せざるをえないのが、今日これから使う特急レッドアロー号専用のホームだ。

庶民が普段使うホームとは明らかに違い、なんとなく格調高く感じてしまう。気のせいだけど。

レッドアロー号

レッドアロー号。・・・がらがらだった。さすがに朝イチだとこんなものか。まあ、列車が始発駅から出発するまでの時間、それこそが旅情のクライマックスだ。「さあ、これから未知なる世界へ旅立つぞ」というワクワク感と静かな興奮。それを満喫しよう。

ちなみに僕がこれまでの人生のうち、レッドアロー号には1回だけ乗ったことがある。それは、大学時代に就職の会社説明会に遅刻しそうになったため、大慌てで利用したときだ。所沢から池袋まで利用したけど、「遅刻しそう」という恐怖におののき、ラグジュアリーな時間はまったくすごせなかった。いまだにその記憶が鮮明に残っている。

レッドアロー車内

しかしどうだ、改めてレッドアロー号を見ると至ってハイソサエティかつアーバンじゃないか。今日これから自らを追い詰めるような登山をするとは思えない、ゆったりとした空間。

いざ、秩父へ

そんなわけで、つかの間の貴族気分を満喫。いや、所詮700円の特急券なんだけど。

荷物は雑

本日の荷物。適当なリュックに詰め込んだだけ。

日帰り登山にちょうどいい、30リットル以下の手ごろなザックを持っていない。そのため、タウンユースのリュックを持ってきた。さすがに着替えや食料、燃料を詰めているので形が不恰好になっている。その形の悪さから、明らかに山用ではないことがわかる。

来年は、山用の日帰りザックを買おう・・・そう思った。

ちなみにこのリュック、実はユニクロ製だ。昔はユニクロもこんなものを作っていた時期があったのだった。野菜を売っていたりしていた時期のものだ。

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