カピバラは、正直ブサイクな生き物だと思う。ずんぐりしているし、目つきもあんまり良くない。しかし、それ故にむしろ愛らしくなってくるという不思議な魅力の生き物だ。なるほど、この生き物にドはまりする人がいるというのは納得がいく。
我々の中ではよこさんが静かにテンションMAXであり、あっという間にバケツ1箱分のエサを空にしてしまった。
「えっ、他の動物にもエサをやるんじゃないの?」
一同、この後の園内散策のことを考えてエサをセーブしていたので、その豪快なエサ与えにびっくりした。しかしよこさんにとって、カピバラにエサを与えるためにエサを買ったのであり、この消費の仕方は全く合理的である、ということらしい。
それにしてもカピバラ、バナナでもにんじんでもなんでも食べるんだな。キュウリとかナスとか与えても食べるかもしれん。
よこさんは、このカピバラに首ったけなのかと思ったら、そこそこ相手したところであっさりと切り上げた。あれ?もういいの?
自分だけテンション上がってしまっているのも悪い、と遠慮したのかと思ったら、「まだ別のところにもカピバラはいますから」という。そうなのか。園内二カ所に飼育されているなんて、大人気の動物なんだな。
市原ぞうの国はアップダウンがけっこうある丘に作られており、道も順路がしっかりしているわけではない。気の赴くままにうろうろしながら、次のカピバラを目指す。
道中、いろいろな動物がいる。エサが手元にあるので、動物がエサを要求してきて楽しい。動物たちにシカトされまくる動物園が多いけど、ここなら動物の方から「構って構ってー」と寄ってくる。
もう一つのカピバラエリアにやってきた。ここにはカピバラの解説がある。泳ぐのが得意、と書いてあって、カピバラに詳しくないよこさん以外は「この格好で?」と疑わしい目線をカピバラにくれてやっていた。
これだもんなあ。両手両足に水かきがついているということだけど、こんなずんぐりむっくりしていてよく泳げるものだ。というか、ネズミでも泳ぐんだな。
ディズニーランドも、ミッキーマウスの友達という位置づけでカピバラマウスとかいうキャラを作ったらいいと思う。案外、くまのプーさんよりもウケるかもしれん。あれ?ところでミッキーマウスって、「ネズミ」という位置づけで良いんだっけ?マウス、って名前についているから、いいんだよな?ほら、キティちゃんは猫のようでいて、実はあれは猫ではないっていう設定だし。こういうファンタジーの世界はよくわからん。
つい1カ月半ほど前に、カピバラに赤ちゃんが生まれたらしい。秋に子どもを産むのか。越冬できるのか?と心配になるが、そこは南米生まれの動物なので大丈夫なのかもしれない。そもそも、ネズミだし。ネズミ算、という言葉があるように、繁殖能力は強そうだ。
と思ったら、5つ子ちゃんかーッ。繁殖力強すぎ。こんなん、どんどん増えていってしまうけどこれから先どうするんだろう。いくらなんでも、カピバラを何十匹も飼うわけにはいかないだろう。放し飼いの羊牧場じゃないんだから。
まだ生まれて2カ月経っていないにこのサイズと貫録。可愛いけど、既にけっこうでかい。自宅ペットにするにはこれ以上大きくなってもらっては困る。
よこさんに聞いてみたら、カピバラをペットにしている人もわずかながらいるらしい。ただし一頭70万円くらいするらしいし、水を好むカピバラのためにプールを用意してあげないといけない。さすがにマンションの部屋で飼うのは無理だ。
よこさんがバナナを投げ込んでみた。
「あっ、バナナだ」
「ほんとだ」
「バナナ食べたい!」
わらわらとバナナに群がる、カピバラ。かわいいのう。殺気立って奪い合うということはせず、カピバラならではのモタモタ感がいい。おい、公園の鳩、少しはカピバラを見習え。お前らがっつき過ぎだ。
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