2019年3月10日(日) 2日目
2日目朝。そろそろ起きよう。
ダイニングテーブルでは、すでに朝ごはんの準備が進められていた。
僕らよりも遅く寝て、僕らよりも早く置きて準備をしてくれている宿のご夫婦に恐縮する。
洗面台で身繕いをして部屋に戻る途中、玄関先に目線をやる。
相変わらずの白いビニール袋。昨晩のうちに消費できたものはさほど多くない。
ソフトドリンクや飲みかけになってしまった清酒などは宿に寄贈するとして、残りこれだけは買った人が各自東京に持ち帰ることになる。民族大移動だ。
朝ごはんまでちょっと時間があるので、外に出てみることにした。
なにせ昨晩は、真っ暗闇の中の到着だったので、外の様子がわからない。
玄関先には、ワカンが並べられていた。時間があれば、これで裏山あたりを歩き回るときっと楽しいだろう。スノーシューならレンタルできるところが結構あるけれど、ワカンを借りられるところは案外少ないと思う。
臼と杵も置いてある。
この民家を借り受けた(買い取った?)際にセットでついてきたもので、実際は使っていない・・・というわけではない。現役感があるので、おそらく実際にこれで餅をつくのだろう。それにしてもデカい。
子どもたちに餅つき体験を、なんてことでちょっとしたイベントに持ち込まれる臼のサイズじゃない。それにあわせて、杵もでけぇことでけぇこと。
このあたりだと、害獣駆除のために猟銃免許を持っている人もそれなりにいるだろうけど、いざこざがあったら猟銃なんかよりもこの杵さえあればどうにかなっちゃいそうだ。「頭にかっと血が上り、気がついたら杵に手が伸びていまして・・・」という事件が起きてもおかしくない。
ほーう。
「登録農林漁業体験民宿」だって。あんまり馴染みのない概念だ。この登録があるから、うしだ屋は「農家民宿」というわけなんだな。認可しているのが、「財団法人都市農産漁村交流活性化機構」と漢字だらけの長い組織名。名前から推測するに、「都会の人と、漁村・山村の人たちとの交流」が目的ということらしい。
気になったので調べてみた。本来宿泊業を営むには、33㎡以上の客室でないといけないのだけど、農家民宿ということで農業体験や農作物の喫食も提供する施設と認定されれば、この広さ規制が緩和されるのだという。へー。でも、旅館業法に定められた制度なので、あくまでも旅館業。
これが「農家民泊」としてなら、旅館業法の概念から外れることになるんだけど、そうなると宿泊料を客からとっては駄目、ということになる。駄目っつーか、禁止はされていないだろうから、やるならちゃんと民泊のルールにしたがって運営して、税金も払ってね、ということだと思う。
うしだ屋の正面から見た景色。ぽつりぽつりと建物が見える。
都会ぐらししかしたことがないので、どうしてこうやって民家同士に間隔が開いているのか、いまいちピンとこない。特に大地が雪で覆われているので、なおさらだ。雪の下に、なにか理由が隠れているのかもしれない。
目の前に停めてある車が我々が乗ってきたレンタカー。
駐車場、という感じの場所ではないけど、舗装されている。おそらく、除雪した道路の雪を溜め込むための場所なのだと思う。
今年は去年と比べて、雪が少ない。暖冬の影響はじわじわとこういうところで感じられる。東京にいても、わからないことだ。
うしだ屋の正面玄関。
すっかり除雪されている。でも、玄関脇に真っ赤なボートみたいなものが置いてあって、そのサイズにびびる。
いわゆる「雪かき用のシャベル」で、ダンプと呼ばれるものだ。僕が知っているのは、せいぜいネコ車(工事現場用の一輪車)程度のものだけど、これは一回り大きい。取っ手の部分まで含めると、人間の身長を超える。
つまり、これくらい巨大なダンプで雪を一気にかきとらないとやってられないくらいに雪が降る、ってことだ。
もちろんこれだけの器に雪を載せると、すげえ重たいはずだ。それでも、「小さいもので何度も繰り返してやる」のではなくデカいので勝負するということは、それだけ除雪をやってもやってもきりがなくて大変、ということの証だ。
うしだ屋外観を改めて。
建物右半分は、雪囲いをしてしまっていてすのこ状になっている。これがないと、ひさしから落ちてきた雪が建物を覆い、窓すら開けられなくなるのだろう。
ごきげんな朝ごはんをいただく。
ああ、ごはんがおいしいなあ。ついおかわりしてしまった。
荷物を詰め込んで、いざ松代に向け出陣。
おかしいな、越後湯沢駅でレンタカーを借りた時よりも、遥かに荷物を詰め込むのが大変になったぞ。そうだ、酒のせいだ。
(つづく)
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