さすがに男女混浴!というわけにはいかないので、男性陣がお風呂に入ったあとに女性陣が入浴。
そしてその後、お食事となった。
こういうとき、ありきたりな文章だと「いよいよお待ちかねの夕食タイムだ」みたいな書き方になるのだけれど、「ありきたりな文章を書いてたまるか。」という自意識が邪魔をして、こういう文章を僕が書くのは難しい。
安直な形容表現はしたくない、と思いが歳を重ねるにつれて強くなってきて、最近は文章を書くのが難儀になってきた。無駄にプライドだけ高くなってしまった結果だ。
話が逸れた。
テーブル中央にはでん、と土鍋が置いてある。鴨鍋用の鍋だ。鴨鍋の夕餉、なんて贅沢すぎる。
素朴な御馳走。
ご夫婦二人で営んでいる宿なので、これだけのものを用意するだけでも大変だし、後片付けも大変だ。頭が下がる。
お酒が飲める人はまずは瓶ビール、飲めない僕はノンアルコールビールで乾杯。
あれだけしこたま酒を買い込んだ我々だけど、さすがに最初の一杯は宿にご提供いただかないと。とはいっても、宿のお酒は安い値段で提供されている。自前で用意しなくても、全然金銭面で問題にならないレベルだ。お酒にこだわりがないなら、手ぶらでこの宿に泊まってもへーきへーき。
なお、この人たちはすでに
- 行きの新幹線の中で宴会
- 猿倉山ビール醸造所でライディーンビール
をキメており、本日三度目の宴会ということになる。
鴨鍋のための土鍋には、野菜がギュウギュウに押し込まれていた。おかげでつゆがあまり見えないくらいだ。野菜はきれいに鍋に突き刺さっていて、美しい。そうか、鍋っていうのはこうあるべきなのだな、と自分が自宅で鍋をやるときの美しくなさっぷりを恥じる。
それにしても、自宅じゃ使わないサイズの大きな土鍋も迫力満点だけど、それにこれだけの野菜だ。そしてグツグツと煮えたぎる音。最高じゃないか。もうこれだけでも十分だぞ。
あ、うそ。やっぱり前言撤回。
これからこの合鴨肉が入るんだった。「野菜だけで良い」というのはあんまりなので却下。
これもまた美しい盛りつけだ。センスあるなあ。左側がロースで、右側がもも肉だろうか。
これが昨年夏、田んぼの中をパトロールしまくって活躍していた合鴨なのか。ありがたくいただくよ。
ビールを飲み終わったら、早速たっぴぃさんが玄関から「苗場山純米大吟醸 おり酒」を持ってきた。限定28本という貴重な一本だ。1/28なのだから、これが飲める人はラッキーだ。うまいかどうかはわからないけれど、楽しみだよな、ものすごい貴重なものだから。
「発泡にごり」が好きなおやびん用に「八海山スパークリング」も用意されているのだけど、それより先んじて泡のないこの酒が登場した。たっぴぃさんいわく、「酔っ払って味がわからなくなる前に」とのこと。確かに。
にごり酒って、酔いやすいイメージがあるし。僕の古い記憶だと。イイカンジに泥酔するんだよな。そして翌日残る。
神妙な顔をして飲む人々。
たっぴぃさんの座高が高いのは、正座して飲んでいるから。貴重なお酒に礼を尽くしている。
味についてみんななにかコメントしていたけれど、覚えていない。
ただ、1年後の2020年2月に「のっとれ!総決起集会」としてこのメンバーが集まった時、たっぴぃさんが「今年も苗場酒造に行きたいですね」と言っていたので、結構気に入ったんだと思う。
純米大吟醸のおり酒。どんな味わいなのだろうか。
そんな酒飲みたちの神妙な飲酒を横目に、僕はノンアルコールビールに手を出してみる。見たことも聞いたこともない、「龍馬1865」だ。左が普通のやつ?で、右の黄色いのがビタミンC配合のレモンビール味なのだそうで。
龍馬って、あの坂本龍馬?と思ったら、やっぱりそのようだ。坂本龍馬の写真らしきものがプリントされている。歴史上の人物って肖像権がないんだっけ。もうさすがにこれくらい昔の話になるとオッケーか。
それはともかく、味だ。
グラスに注いだ時点で「あ、これはちょっと」という予感がした。色が薄い。これで味が濃いわけがない、と悟ることができる薄さだ。で、飲んでみたら案の定薄い。「お、おう・・・」と思わず言葉が漏れるくらいに、薄くて物足りない。
「これ、なんでわざわざノンアルコールビールを作ったんだ?」
一同首を捻る。念のためというかなんというか、うしだ屋のご主人にも味をみてもらったくらい、この味には納得がいかなかった。見慣れないノンアルコールビールだから新参なのだと思っていたので、だったら大手既製品を乗り越えてくるガツンとしたやつがいいのに。どうしちゃったんだ、これ。
で、あとで知ったのが、これがもともと「バービカン」だった、ということ。ああ、バービカンなら納得だ。あれは過去1度か2度しか飲んだことがないけれど、そのときから「なんだか美味しくない飲み物」という認識だったっけ。
ノンアルコールビールだって、常陸野ネストが出している製品みたいに「おう、これはイケるぞ」というものが存在する。もっと気張って、良い製品を出して欲しい。飲まない僕にとって、心底そう思う。
(つづく)
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