馬落としの障害物から、崖をよじ登った先にあるのが「騎馬止め」。いっつもここで大渋滞となり、自分がよじのぼるまでに5分近く?は待たされることになる。
この騎馬止めを乗り越えたところが、「越後まつだい冬の陣」会場だ。
会場では、この「騎馬止め」を乗り越えている戦士たちについて実況が行われているようだ。レースをやっているとよく聞こえないが、なにやら「危ない!危ない!」という声が聞こえる。
物騒な話だけど、何が危ないのかというと、この写真で僕の目の前にいる488番、ふんどし姿の飛脚さんが「見えてしまいそう」だから危ない、と中継されているのだった。よじのぼっている最中、ぽろりがあったら大変だ。しかも、こんな高いところでだなんて。
みんなの不安をよそに、飛脚さんは無事に騎馬止めを乗り越えていった。
登山をやる立場としては、ルート上の鎖場に取り付くときは「一人だけ」というルールがある。これは鉄則だ。一度に何人も鎖やハシゴに取り付いてしまうと、上の人が手や足を滑らせたら巻き添えをくらって多重滑落となってしまう。命が危ない。
なので、こういう「人が連なって上り下りしている」という光景は非常に薄気味悪く感じる。でも、そんなこと言ってられない。レースなので、どんどん前に進んでいかないと。
僕はポケットにコンパクトデジカメを忍ばせ、時々それを取り出しては撮影をしている。手は軍手をしているので、カメラを取り出す都度軍手を脱がないといけない。レース中にそんなことをやっているので、カメラの設定が狂っていても気が付かないし、気づいても直せない。その結果、白飛びした写真になってしまった。
「堀越え」を過ぎ、「砦越え」に取り付いているところ。
レース出場6回目だけど、今年もやっぱり障害物名を覚えられていない。紛らわしい、似た名前だらけだ。
砦から振り返ったところ。堀越えのお薄が見える。
チームアワレみの姿が見えなかったし、今年はこの砦は登りやすかったということもあり、ほとんど人助けをせずに先に進む。
グラウンドをあとにし、公道に出る。
このあたりは、アスファルトがむき出しで走りやすい。マラソンをやるような勢いでは走らないけれど、単調な場所なのでちょっと小走りで前に進む。
ここで気がついた。俺、今年はちょっとイケるぞ、と。身体が軽い。なにしろ、この3ヶ月でそれなりに体重を落としてきたので、その分足の負担が減っているのだった。脂肪というウエイトを解き放たれた状態で、まだ筋肉は衰えていない今こそが、一番力が発揮できそうだ。
というわけで、どんどん進む。
チームアワレみのメンバーがどこにいるのか、さっぱりわからない。前にいるのかもしれないし、後ろにいるのかもしれない。
ここから山岳ステージ。ゴールの松代城まで、雪道の上り道になる。
さすがにここから先、走る気はまったくない。早々にペースダウンして、ここからの坂道に備える。
雪がたくさん積もっているように見えるけど、これでも少ないほうだ。
雪質。
中途半端に溶けたり固まったりしていたらものすごく歩きにくいのだけれど、今年はほぼ均一にグズグズで、むしろ有るきやすかった。硬さにムラがある、というのが一番困る。
「城門超え」の障害が前方に見えてきた。
高低差はあまりない凹凸で、一番最初の障害物だった「馬落とし」のように出っ張りに全身でしがみつく必要はない。でもむしろその分、助走をつけて突撃していかないといけないし、足の裏のグリップ頼みのところもあって、ちょっとだけ難易度が高い障害物だ。確か昨年は、ちょこっと足元を滑らせた。
でも今年は雪質が柔らかく、そのせいで楽に乗り越えることができた。
山岳ステージに入ったあたりから、すでにゴールした人たちの下山姿を見かけるようになる。ほぼ全力疾走で山頂まで行ってきたはずなのに、余裕しゃくしゃくで走って雪道を下ってくるのだから恐れ入る。で、迎えのマイクロバスには頼らず、そのまま走ってスタート地点にまで戻ってるんだから。
ちなみに只今の時刻12:05。レース開始が11:29頃だったので、35分程度で、もう山頂から駆け下りてきている。上位を狙うには、3キロ強の雪の山道、しかも障害物があるコースを20分程度で走り抜ける体力が必要となる。もちろん、脚力だけでなく、跳躍力なども必要になる。
(つづく)
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