チームアワレみが全員そろったところで、アクエリアスの乾杯。
たっぴぃさんが「ひゃー、疲れたー」という顔をしているが、一番遅く到着したのはおーまさんで、このシーンは到着直後のこと。なのに彼は比較的涼しい顔をしている。マイペースを貫いた、ということなのだろう。
とにかく、全員等しく何らかの刑罰に処せられる資格はある。早くゴールしても、遅くゴールしても。
このあとの抽選会に備えて、「入城の証」の番号をみんなで確認する。
333、357、405、441、484。
200番台はゲットできなかったけど、まあまあ順位が散らばったのは良かった。別にどの番号であっても、抽選で当たる確率は一緒だ。でも、抽選会のときのワクワク感が違う。根拠なく、「我々は全方位で待ち構えているぞ!さあ!景品よあたってこい!」という気構えができる。
ほとんどの戦士が下山してしまい、スタッフのみなさんも撤収を開始しだした。僕らも帰ることにしよう。
右側が、道なき道をよじのぼってきた崖。のぼりと、ピンク色のテープが目印。
下山路はそのまま真っすぐ突っ切って、大回りをする。夏ならばここは車道になっているのだろう。
なんか、レースしかやっていないので僕ら雪と戯れていない。せっかくだから、ちょっと雪と遊んで帰ろう。なにせ、東京暮らしだと雪と触れ合う機会が滅多にないから。
ってなわけで、「おーまさん、雪に突撃して人の形をこしらえてみて」とお願いしてみた。
素直なおーまさんは、こくりとうなずいてそのまま雪にダッシュ。バーンと大の字で雪に張り付いた。
「・・・いてて」
おーまさんが絞り出すような声を出す。
「思ったより硬いです、この雪」
僕らのイメージとしては、雪は柔らかくて、そこに飛び込めばきっちり人の形になって雪がめり込むものだった。しかし実際は氷の壁みたいになっていて、結果的におーまさんはコンクリに激突しました、みたいな「事故」になってしまったのだった。
「あー、これはもう駄目だわねえ」
みんな、眼下の景色を見て嘆息する。
ここは「地獄谷」と呼ばれていた場所だ。昔、タイヤにしがみついて谷を空中移動していた場所だ。その地獄谷は、今やすっかり池になっていた。夏になると棚田として使われる場所なのだろう、溶けた雪が池となって残っていた。
この状態じゃ、到底地獄谷渡りはできない。タイヤから落っこちても、地面には柔らかい雪があるからケガをしない、という場所だったのに。池が出現しているくらいだから、雪がまだ残っているところも地面近くまで溶けてしまっているに違いない。こんなところに落下したら、ケガの危険がある。
地獄谷から松代城を見上げたところ。
もう、あちこちの地面が見え始めているし、木々の幹周辺の雪が溶けて穴になっている。春はもう近い。どうやらとうの昔に、冬将軍は松代城を逃げ出したらしい。
送迎のマイクロバスがある、第2給水所のところまで戻ってきた。
車にのって、びゅーんと会場に戻る。
会場に戻って、着替える。
一人会場に残っているおやびんはどこにいるのかと思ったら、竹酒を高々と店先に掲げていた「上町家」の屋台奥にいた。そこはひっそりと関係者向けサロン的に、飲食スペースがある。そのど真ん中に堂々たる風格で座り、お酒をかっくらっていたのだった。
おやびんによると、「私まったく何も買ってないのよ。みんなここにいるおじさんたちが御馳走してくれるの」という。ジビエ肉も、酒も、なんでも。どうも、「格好の話し相手!」ということで嬉しくなっちゃって、あれこれ御馳走したらしい。そのかわり、おやびんはすっかり上町界隈の皆様と仲良くなって、聞き役としてここでの時間を楽しんでいた。
「うしだ屋」のご主人も顔を出していて、とっても和気あいあいだ。
ただ、基本的に酒飲み空間ではあるので、僕はちょっと馴染みづらい状態だった。お酒が飲めないと、こういう「初対面の人とも膝を突き合わせて盛り上がる」というのが苦手になる。
上町家の店頭には、業務用の食材が置いてあった。なにせペヤングが売られているくらいだ、調理して売るなんてのは贅沢品だ。
ラベルを見ると、「もっちり麺の焼きジャポネーゼ(バター醤油風味)」と書いてあった。へー!ジャポネ味の焼きそばなんてのが業務用として売られているのか。これは驚いた。ジャポネといえば、僕が愛してやまない東京有楽町のスパゲティ屋さんの定番メニューだ。
(つづく)
コメント