清津峡から津南の中心部に向かう道にずっと雪灯篭が並んでいたのだけれど、津南中心部はクオリティがより一層高くなっていた。遠方の灯籠は小さいけれど、中心部に近づくにつれて大きくなり、ろうそくが灯され、そしてついには生花が活けてある雪洞まで出てくる有様。
こりゃあ楽しい。知らなかったなあ、こういうイベントが津南でやっていただなんて。これまで毎年、ちょうどつなん雪まつりが行われている時にお隣の自治体で「のっとれ!」をやっていたけど、全然気が付かなかった。
「来年は、つなん雪まつりに参加してランタンを打ち上げたいねえ」と言いつつ、この場をあとにした。戦利品として、銘酒「苗場山」をしこたま抱きかかえて。
とっぷりと日が暮れて、ようやく本日のお宿「農家民宿 うしだ屋」に到着。
なにしろ、津南町⇒十日町市と経由して、ここは上越市。
えっ、上越市って、日本海に面しているあの上越市?直江津があるところ?とびっくりするが、上越市の山奥にもなると豪雪地帯の十日町市のすぐ近くになる。ここがまさにそう。
昨年の「のっとれ!」のときにはじめて泊まらせてもらって、二度目の宿泊となる。
周りはすっかり真っ暗。何が周囲にあるのか、さっぱりわからない。一応集落、ということにはなっているけれど、家がまばらなのでとても暗い。
うしだ屋のご夫婦に暖かく出迎えられ、遅くなったことをわびつつ中に入る。
古民家を改築して民宿にした宿だけど、センスがよくまとまっていてとても快適だ。古びている、という印象はまったく感じさせない。そして、「うすら寒い」ということもない。
ただしそのかわり、玄関先にしてすでにストーブが焚かれている。ここは結構広い古民家だ。都会の狭いマンションぐらしでは考えられないほど、暖房をあちこちでガンガンたかないと冬場はやってられないだろう。
玄関先にカラフルなどてらがある。ぜひ着込もう。
玄関先には、うしだ屋謹製の白餅や味噌が売られていた。あと、ここの本業はあくまでも「農家」だ。なので、田んぼで採れたお米も通販で販売している。合鴨農法で育てた米もあり、雑草や害虫を合鴨が食べてくれるので無農薬だという。しかも合鴨が泳いで土をかき回したり、肥料となる糞をしてくれるので、米の成長も良いのだとか。
で、その合鴨さんたちなのだけど、冬の間ペットとして飼育するというわけにはいかない。あくまでも農業のサポート役なので、米の収穫が済むとおいしく食べてしまうことになる。残酷?いや、変に感情移入してはいけない。
今回僕らは、その「田んぼとともに育った」合鴨を鍋にしていただくことになっている。楽しみだ。今晩は鴨鍋だぞ、おい。
リビング兼ダイニング。
板の間で寒そうだけど、暖房がかなりしっかり効いているのと、床暖房が備わっているのでまったく寒くはない。
そしてこたつが敷いてある部屋。
昨年泊まったときはこの部屋はクローズドで、僕らは男女別れて2階にある2部屋に泊まった。今年はどうせ同じグループなんだし、ということで逆に2階の方をクローズドにして、1階の続き2部屋を我々にあてがってくれた。
こちらが床の間がある奥の部屋。こっちを女性部屋にした。
女性部屋からリビングやトイレにいくためには、男性部屋を経由していくことになる。
うしだ屋のご主人によると、「農家民宿」として認可をとっているので、宿泊業がメインではいかんのだそうだ。そうなると別の申請手続きになるとのこと。おそらく、保健所とか消防とか、いろいろなところが関係してくるのだろう。
詳細はしらないけれど、「農家民宿」というのは単なるキャッチコピーなのではなく、「農家さんちにちょっと泊まらせてもらう」ような形態、ということで認可された業態らしい。
なるほど、どうりで。こんな畳の部屋があるなら、2階の2部屋と合わせてもっと宿泊客を泊められるじゃん!と思ったが、それをやると「マジの民宿」になって制度上アウトーなんだろう。
遅い時間の到着だったけど、ご主人のご好意でご飯の前にお風呂をいただくことになった。
うしだ屋のお風呂、初体験。去年は、なんやかんやでお風呂に入りそびれたんだよな。
カランが2つと、ちょっと大きな湯船。
いくら「農家さんちに泊めてもらう」といっても、さすがに家庭そのものというわけにはいかない。こういうところはしっかりと宿屋仕様だ。だから、初期投資は馬鹿にならない。
風呂上がりに、玄関先に目をやるとずらりと並ぶ白い袋。異様な光景だ。
これ、お酒やらなんやら、要冷蔵品。というか、大半がお酒だ。玄関先に置いておけば、そこは天然の冷蔵庫。よく冷えおる。
とはいっても、買い過ぎだろうさすがにこれは。今晩飲みきれるわけがないので、もちろんこの半分くらいはお持ち帰り用ということになる。一体何を買い占めたというのか、という光景。
(つづく)
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