吊尾根の下の、一つ屋根の下で【上高地デュオキャンプ2019】

10:40
徳沢園でコーヒーフロートを食べたあと、キャンプ場周辺をちょっと歩く。

おっ。徳沢園の隣にある建物、扉が開いているぞ。洗濯物も干してある。

日本大学医学部徳沢診療所。

夏の間だけ開いている、ボランティアの診療所だ。北アルプス界隈は山小屋に大学医学部が臨時の診療所を設けていることが時折あるが、ここもその一つ。平地にある診療所、というのはちょっとめずらしい。

だいたいこの手の診療所は、海の日くらいから診療を開始し、お盆明けには締めてしまう。登山シーズンのピークがこの時期だし、大学の授業などとの兼ね合いもあるのだろう。あいにく僕はその時期、混雑を避けるために登山を嗜まないので使ったことがない。診療をやっているところを見たこともない。見かけるのは、いつも「もぬけの殻」になった部屋だ。

なので、今回人がいることに「おお!」と思わず声を上げてしまった。ただ、まだ診療の準備段階らしく、部屋の中の片付けをやっているところだった。

本格的な処置と投薬はさすがにできないだろうから、学校の保健室にプラスアルファされた程度のことが守備範囲になるのだろうか。

場所柄、ねんざ、打撲、骨折、靴ずれといった外科系を中心として、あとは頭痛、下痢、腹痛といった症状の応急処置といったところか。さすがに「持病の痔が悪化してきました」などという人がいたら、「そのまま下山してください」と言うだろうし、「眠れないので睡眠薬を下さい」というのも対処できないような気がする。

10:44
徳沢キャンプ場の真ん中で、大の字になって寝てみる。

もともと牧場だったこともあり、土が柔らかい。そして草もチクチクする剛毛ではないので、寝っ転がっても痛くはない。ああ、快適だ。

このまましばらく仰向けになって過ごしても良かったのだけど、「寝っ転がっていると虫が寄ってくるのではないか」という恐怖から、撮影後はそそくさと起き上がった。今思うと、惜しい。上高地は下界ほど虫がいないのだから、もっとゆっくりできた。

10:53
徳沢を後にして、明神に向かう。

道中、サルが歩いているのを見かけた。

徳沢~明神間は本当によくサルを見かける。毎度撮影していたらきりがないし、撮ったところで何もないのだけどつい撮影してしまう。

11:15
GWの時期には存在していなかった小川が、7月になると出現しているので驚かされる。雪解けの水が山から下ってきているのだろう。

11:35
今日もやってきました、明神の「カフェ・ド・コイショ」。

昨日ぶり通算3度目の訪問。2泊3日の上高地滞在なのに、3度も訪問するのは変だ。それでも、そうさせてしまうだけの魅力がここにはある。2ヶ月前のGWのときと通算すると、6度目。やりすぎだ。

どこの席に座るか、で雰囲気ががらっと変わるので楽しい店内。今日は空いていたので、一番端っこの席に陣取ってお店全体を見渡せるポジションに。

昼間も灯るランプの明かりを眺めながら。

今日は、キャラメルチーズケーキ、りんごのミルクレープ、シフォンケーキ、ガトーショコラの4種類が残っていた。クレームブリュレは売り切れ。

そういえば鹿の剥製が壁からコンニチハしているんだな。

シフォンケーキ。びっくりするくらいふわっふわで、フォークを差し込むと「おおぅ」と思わず声が出る。もっと硬いものだ、と思いこんでいるからだ。

いや、多分あなたバウムクーヘンと混同しているんじゃないか。バウムクーヘンはある程度硬い。シフォンケーキは柔らかいのがデフォルト。

「映(ば)える」という今風の言葉は僕は好きではないが、ステキな雰囲気の写真が撮れるお店だ。シフォンケーキを半分食べたところで気がついた。あえて背景をぼかすようにして撮影。

今日も焼き菓子をお土産に買ってしまった。しかも、お土産と言っておきながら、撮影をする段階では早速封が開けられている状態。いしが「味見をしないと」と言いながら開封しちゃった。まあいい、商品カタログの撮影をやるわけじゃないんだし、袋が開いていても全然問題はない。

これでさすがに今年の「カフェ・ド・コイショ訪問」は最後だろうな・・・と思っているのだけれど、おかみさんから「11月と12月にクリスマスパーティーをやるんですよ。よろしかったらお越しください」とお誘いを受けちゃった。ええ!?ここで、11月と12月?

上高地は11月15日に「閉山祭」が開かれ、神主さんによる祈祷があり、それ以降は閉鎖となる。ピーク時は頻繁に行き交うバスは完全に止まり、ホテルや売店もすべて營業を終了する。とはいっても釜トンネルそのものは塞がっていないので、徒歩で上高地に向かうことは可能だ。おかみさんいわく、11月23日と12月23日にクリスマスパーティーをやるのだと言う。つまり、「来るならば釜トンネルの手前から歩いてここまでやってこい」という挑戦状だ。

面白い!それはすごい非日常感ある提案をいただいた。即答で「行きます!」とは言えないけれど、行く方向で調整したい。なにせ、閉山後の上高地に入るだなんて滅多に機会がないことだ。僕は冬山登山を一切やらないので。なにせおかでん家の家訓3箇条の一つが「冬山禁止」だから。

ちなみに残り2つは、「連帯保証人になるな」「バイクに乗るな」だ。

カフェ・ド・コイショがある「山のひだや」はこの日臨時営業となる。そのため、電気はないし、風呂の提供もない。さらには現地で水の補給もできないので、入山時に2日分の水を持参する必要がある。もちろん、昼間でも相当寒い時期なので、防寒装備は徹底していないと危険だ。

12月23日版クリスマスパーティーとなると、スノーシューを持参しないと厳しいかもしれない。積もった雪をラッセルする気力も体力も僕には備わっていない。いっぽう、11月23日版クリスマスパーティーならば、天気次第だけどそこまで積雪はないだろう。行くなら、11月23日一択だ。装備を考えなくちゃ。

(つづく)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください