吊尾根の下の、一つ屋根の下で【上高地デュオキャンプ2019】

14:40
田代湿原にやってきた。

ここだけ木を伐採して牧草地にしたかのような、美しい草原。しかし、湿原なので足元はずぶずぶだ。もちろん人は立ち入ることができない。木道の上から、「きれいだなあ」と眺めるだけだ。

こういう場所がひょこっと出てくるのが、上高地の素晴らしいところだ。尾瀬とかの巨大な湿原もいいけれど、なにせ行くのが大変だ。その点ここは、ショールームのようにいろいろな自然がぎゅっと詰まっている。川、池、湿原、森、山。

田代湿原とその背後の岳沢をバックに、記念撮影。

こんなポーズで写真撮影をするとは、お前はなんて浮かれているんだ?と思われるだろう。でも、二人でせーの、と写真を撮ろうとすると、こういうポーズでもとらないと間が持たない。

最初、いしは「記念写真を撮るよ」と声をかけられると、僕の側に立とうとした。で、僕が「いや、距離を空けて」と言うと不思議そうな顔をする。たいてい僕が記念撮影をするときは、構図の真ん中に「記念」となる自然とか記念碑とか、そういうものを配置するからだ。なので、人物は両脇にいたほうがいい。

記念写真はセルフタイマーで撮影するので、自然と身についたやり方だ。

あと、僕が大股を開いているのは、いしとの身長差を少しでも減らすためだ。いざ写真を撮ってみたら、身長が高い僕の顔が写っていなかった、ということがよくある。なので、少し身長が低くなるような努力を人知れずしているのだった。自撮り記念撮影は、足腰の鍛錬だ。

田代湿原に連なる、田代池。土砂に埋められ、とても浅い。だからこそ、神秘的な雰囲気が漂う。

これだけ浅いのに、冬でも凍結しないのだというから自然は面白い。

14:45
田代池を離れ、大正池を目指す。

そういえば、先ほどからすれ違う団体観光客の姿が少ない。多い時は、本当にうんざりするくらい次から次へと団体さんと出会うのだけど、今はご覧のとおりだ。

考えてみれば、午後もこんな時間になると、大正池から上高地バスターミナルめがけて歩くようなツアーはあまりないのだろう。「2時間後にバスターミナルに集合してくださいねー」と大正池でフリータイムにしたら、日没が近くなってしまう。てくてく歩くツアーは午前中ないし昼頃までに集中するのかもしれない。

いずれにせよ、快適。大正池トレッキングが乗り気になれないのは、人が多いからだ。人が少ないなら、何も問題ない。

14:49
焼岳が眼前に迫ってきた。

あれくらいの山、すぐ登れるだろう?と思えてしまうサイズ。穂高連峰のデカさを連日見ていると、縮尺の概念が狂ってしまう。焼岳が簡単な山だなんてとんでもない。もちろん日帰りで登頂するのは可能な山だけど、僕がこの山に登った時は山小屋一泊した。

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GWのときは、もっと岩がゴロゴロした山肌で、いかにも活火山の山!という感じだった。それが7月にもなると、ご覧のとおり緑の山になっている。植物の生命力がなんと強いことか。で、秋になると寒くなってこの草は枯れるわけだ。早い!

14:53
大正池が迫ってきた。

印象的な影を水面に落とす木々を撮影しようとカメラを構えたが、特にこれといって大したことがない写真になった。あれっ。

自分の写真の腕の悪さを嘆くのはやめよう。写真では収まりきらないほど美しい光景を、今まさに肉眼で見ているんだ!と思うことにしよう。

14:55
大正池到着。

まあ、はっきりいって大した池ではない。池、というか梓川の川幅が広がっている場所だし。

昔は立ち枯れ木がたくさん水面から突き出ていたはずだけど、今や殆ど残っていない。

僕らは上高地からてくてく歩いてここまでやってきたので、この光景にさほど感動は覚えない。上高地ではグググッと眼前に迫る穂高連峰を見ていたからだ。むしろここだと、穂高連峰が遠ざかって迫力が薄くなる。

でも逆に、釜トンネルを越えて上高地にやってきました!という人にとっては、最初にこの地に降り立ったらテンションが上がるだろう。すごいすごい!上高地だ!という気持ちになるはずだ。

大正池は、湖畔にビーチのような場所がある。白い石が転がっている場所なのだけど、座ると結構痛い。なので、ここでゆっくりくつろごう、という気にはなれない。狭いし、人がひっきりなしにやってくるし、痛いし。

大正池で記念撮影をした後、退却。

15:08
相変わらず、印象的な水面を撮ろうとするのだけどうまくいかない。

15:20
上高地に戻る途中、分岐がある。

道なりに左に行けば「梓川コース」。右に曲がれば「林間コース」。

林間コースは、GW期間中はまだ開通していない。森の中で残雪がなかなか溶けず、人が安全に通れるようにはなっていないのだろう。なにせ、無防備な観光客が通る道だ。ヒールの人だって歩くかもしれないので、安全が確保できるまでは通行させられない。

今回、林間コースを利用できたので、ありがたく林間コースを使う。

15:43
で、やってきたのが上高地帝国ホテル。ロビーラウンジの「グリンデルワルト」がお目当てだ。昨日、17時に到着したために營業終了していたので本日ただいま、出直しだ。

とはいえ、16:30のバスに乗って上高地を去ることになっているので、滞在時間は実質30分ということになる。この空間に30分しかいられないのはすごく勿体ないけれど、しょうがない。

(つづく)

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