神社仏閣町歩き、おまけに登山【鎌倉・衣張山】

僕が勤めている会社には山サークルがあり、ごくたまにその活動には参加している。つまり、幽霊会員だ。

登山というのはチーム戦のスポーツではないので、「毎週○曜日に集まって、練習!」なんてことはない。そのため、MLで「今度○○山に行きます。車の都合上先着○名までですが、誰かいますか?」みたいな告知がヒョイと現れ、それに挙手した人が勝手に行っているようなサークルだ。

以前、山サークルとして大々的に山梨県の西沢渓谷に行ったことがある。多分、サークル活動としてはそれ以来だと思う。

慣れない団体山歩き【西沢渓谷】
一人で山に登るのは気軽で良いものだ。思い立った日に突撃できるし、他人にペースをあわせなくていい。山は一歩間違えば死に直結する場所だ。だから、同行者のリスク管理までこっちが背負うのは、はっきりいって相当面倒なことだ。 しかし、仲間とわあ...

このときの記事にも書いたけど、やっぱり世代間ギャップというのはかなり大きく、埋めがたいものがある。リーダーがそもそも僕より一世代若く、そして20代のさらに若い世代がいる組織なので、全くノリが違う。

それでも今回、山サークルが「新入社員参加記念の新歓登山をやる」ということで参加表明をしたのは、なんとかオッサンなりにこのサークルになじもうと思っているからだ。一人で山に登るのは気楽なのだけど、いつまでも一人登山を続けていていいいのか?という疑問がある。仲間と登るという楽しさも覚えておかないと、本当に孤独だ。

あと、サークルで誰かが発案する登山計画は、僕が想像もしない提案が出てくるので面白い。僕は基本的に日本百名山の踏破を最優先に考えているけれど、サークルで企画されるものは違った視点だ。なので、「へえ!そんなトレイルもあり得るのか!」という驚きがある。

今回の新歓登山は、「衣張山に登る」というものだった。なんだそれ。聞いたことがない。

例年は高尾山に登るのが定番の新歓登山なので、今年も難易度低めの楽ちんな山を設定しているはずだけど・・・どこ?それ。奥多摩、奥武蔵あたりにある山ではなさそうだ。

リーダーによると、鎌倉にある山だという。鎌倉!鎌倉って、観光地で、せいぜい海のイメージだ。山・・・?山ってあったっけ。

ああ、そういえば僕の親戚のお墓が鎌倉霊園にあるのだけど、丘陵地帯一面にお墓があったなあ。

鎌倉に山がある、というのは言われてみれば納得だけど、それでもまだピンとこない。登山!といえるような明確な山って、あったっけ。

調べてみたら、標高121メートルの山だということがわかった。低い!

「登山に行きます!」というイベントの目的地として、121メートルの山に行く・・・というのは、僕の人生初だ。というか、121メートルだったら、多分仕事先の職場の方が高いと思う。なにせビルの高層階で働いているから。それくらい、低い。

若干困惑する企画だけど、リーダー曰く、「近場のお寺などを巡りつつ、山にも登る気楽なハイキングだ」とのこと。なるほど、この発想はなかった。

よく考えて見ると、僕は鎌倉には何度か訪れたことがあるものの、じっくりとお寺巡りをしたことがない。もちろん登山もしたことがない。そもそも、「鎌倉の町歩き」と「(低い山ながらも)登山」が組み合わさるなんて、全く思いつかなかった。

こういうのが、サークルに所属している良さだ。新しい概念を提供してもらえる。

ちょうど季節は2017年4月。そろそろ今シーズンの登山を開始したい時期だ。昨年は山小屋泊の登山ができるまで体力を向上させられず悔しい思いをした。今年は山小屋地獄を体験できるよう、この時期から身体をチューニングしていきたい。

2017年4月29日(土)

いきなりだが、今年のふるさと納税は、長野県小谷村にした。

この自治体は返礼品としてアウトドアブランド「モンベル」のポイントバウチャー券を提供していて、僕は結構な額のポイントを手に入れた。

これまでユニクロづくめで登山をしていたいい加減な僕だったけど、もうちょっとマシな装備を着用しようや、という気になっている。やっぱり、ちゃんとした登山装備は快適な山歩きを約束してくれる。肌着1枚とっても、山用のものは全然違うものだ。

僕が山に登るのは、「我が身を苦難に晒して、修行をする」のが目的ではない。楽できるところは楽したいし、山で遭難なんてもってのほかだ。なので、あらためて山装備を揃えよう、というのが2017年春のマイブーム。それを叶えてくれるのが、モンベルのバウチャー券だった。

マリポサトレール

そんなわけで、靴のご紹介。これを手に入れて、ウッキウキですよもう。

今既に持っている靴はかれこれ10年近く使っているはずだけど、未だ健在だ。長年連れ添った相棒を捨てるつもりはないのだけど、今回新たに靴を買った。何故か。

重いんじゃー。とにかく、重くて足を引きずるんじゃー。

昨年、何度となく登山記事中に「かったるい」という表現が出てきた。足を引きずるように歩いていることが多かったからだ。これは運動不足がたたって、足があがらないからだと思っていた。

実際そうなのだけど、それよりも何よりも、低い山を登るにしてはやたらとごつい、重たい登山靴を履いていたからだ、ということに思い当たった。

以前も書いたけど、登山靴というのは高い山を目的とする靴ほど、お値段が高くなり、ゴツくなり、重たくなり、硬くなる。というのは、森林限界(だいたい標高2,500mくらい)を突破したところを歩く場合、岩がゴロゴロしているのでソールが硬い靴の方が向いているからだ。

僕が持っている既存の靴はまさにそんな靴で、靴底で殺人が出来ると思えるくらい、ソールが分厚くて硬い。まったくしならない。そして足首を完全にガードするハイネックタイプで、とにかく足の融通が利かない。

「大は小を兼ねる」ということで、この靴を履いて低山や町中を歩くとどうなるか?・・・もちろん問題無く歩けるのだけど、重たいので「かったるい」し、靴底がしならないので歩きにくい。ランニングシューズの靴底がくにゃくにゃに曲がるのとは大違いだ。

これまでは「でも、登山靴ってそんなものだ」と思って諦めていたのだけど、老いたからなのか、どうにも我慢がならなくなってきた。僕はもっと楽に山を歩きたいんだ。修行をしたいわけじゃないんだ。

というわけで、主に中低山用、ということで購入したのがこれ。モンベルの「GORE-TEX マリポサトレールMen’s」という靴だ。

これまでの登山靴と違い、明らかに軽いし、歩きやすい。

重登山靴と明らかに違うのがつま先の部分で、若干反り上がっている。この方が歩きやすいからだけど、ごつい登山靴はここが地面にべったりくっついている。というのは、アイゼン(雪や氷の上を歩くために登山靴に装着する、鉄の爪)を装着するためには、靴底が水平でないといけないからだ。

この反り上がりがあるだけで、随分と歩きやすくなる。

マリポサトレール

この「マリポサトレール」の最大の特徴が、「リールアジャストシステム」と呼ばれる機構だ。

靴紐は存在せず、ワイヤーで靴を調整する作りになっている。

靴べらのところについているリールを、時計回りにカチカチを回していくとワイヤーがしまっていき、自分の一番イイカンジのところでストップできる。靴紐だと微調整が難しいけど、これなら「ここだッ!ストップ!」という締め上げができるので極上だ。

そして何より素晴らしいのが、こいつはリールを上に引っ張ると、一気にワイヤーが緩むことにある。登山靴はその性質上着脱が難しいものだけど、これならば一瞬。本当に1秒2秒で脱げる。不二子ちゃんを前にしたルパン三世が一瞬でパンツ一丁になるのと同じスピードだ。

登山の前後、車や電車に乗っている時は足を楽にさせたい・・・そういう人は多い。わざわざ、それ用にサンダルを持参する人がいるくらいだ。でもこれなら、電車の中ではワイヤーを緩めておいて、「さあ出発ですよ」となればカチカチッ!とわずか数秒で臨戦態勢にできる。本当に便利だ。

ワイヤーなので、足の甲部分の締め付け感覚が紐の靴とは若干違う。好き嫌いはあるかもしれないので、その点は要注意。

全身モンベルマン

というわけで、ユニクロマン改めモンベルマン。

極端なんだよな、やってることが。

気がついたら、上から下までモンベルだらけの格好になってしまった。これは登山をやる人の世界ではかなり恥ずかしい格好と言える。

町中を歩く際、上から下までユニクロだったら「若干恥ずかしい」と思う人はそれなりにいる。しかしユニクロはロゴが表立って出ていないので、まだいい。見る人が見れば「あの人、ユニクロマンだよ」と気づいてひそひそ話をするくらいだ。一方、アウトドアブランドのモンベルの場合、しっかりとロゴが入る。そのため、全身モンベルマンだというのは結構目立ってしまう。

恐るべしモンベルバウチャー。せっかくモンベルのポイントがあるんだから、これで一通り揃えよう・・・とすると、あれやこれや買えてしまった。モンベルは、「結構いいものを、案外安く買える」アウトドアブランドだ。やたらと値段が高い、その他ブランド(パタゴニアとかマムートとか)よりも遙かに気楽に買えてしまう。

で、その結果、全身モンベルマンになってしまうのだった。

山なんて頻繁に行くわけじゃないので、「今日の気分で服装を変える」ようなことはしない。なので、今後当分の間は、ごらんの装備で山に登り続けることになるだろう。そして、山装備は基本的に丈夫なものなので、数年スパンでモンベルマンは確定。いいのだろうか、これで。まあいいか。

とにかく「かったるさ」から解放されたかったので、短パンにタイツという出で立ちになっている。そして、ザックも新調した。ザック、これまでは日帰り登山に適したものを持っておらず、日常生活用のものを山に持ち込んでみたり、一泊登山ができるサイズのものを使ったり、どうも座りが悪かった。でも今回30リットルのザックを新調して、これでようやく自分自身腑に落ちた感がある。

タイツは、なんで青と黒の縞模様なんだ、という気がするけどもこういうのしかなかったのでしょうがない。さすがに短パンで、すね毛丸出しでおっさんが歩くというのは見栄えが悪そうだったので、タイツもあわせて買った。

昨年までは、機能性タイツを履いて登山に挑んでいたけど、この縞模様タイツに履き替えて随分楽になった。なんだ、昨年までの「かったるさ」は、体力減衰というよりもむしろ「靴が重い」「キツい機能性タイツのせいで、足が上がりにくい」という理由だったんだな。

北鎌倉駅

09:50
いきなり新調した装備で山に行く、というのは危険が伴う。なので、今回のような「町歩きと登山が合体した、楽なハイキング」でデビュー戦が飾れるのはちょうど良かった。

そんなハイキングのスタート地点は、北鎌倉駅だった。

鎌倉駅から一駅手前にある。えっ、こんなところからスタートするの?と一瞬ギョッとする。

しかし、案外この駅で下車する人は多く、びっくりした。

鎌倉そぞろ歩きをする観光客は多いけど、こうやって北鎌倉を起点にする人も結構いるんだな。

今回のハイキングで初めて知ったのだけど、世の中には「○○アルプス」を名乗る山がいっぱいある。

鎌倉には、「鎌倉アルプス」が存在する。えっ?どこがアルプス?と驚くけど、鎌倉はもともと山に囲まれた天然の要塞都市。その鎌倉の外周となる山を縦走することができるのだそうだ。へー。

高い山ではないけれど、縦走して山を次々と巡っていけば、さぞやそれは楽しいだろう。いいことを知った。今度機会を見つけて、その手の「低山アルプス」を巡ってみたい。

関東近辺では、「長瀞アルプス」とか「沼津アルプス」といったものがあるようだ。

平凡な山でも、「○○アルプス」という名前がついた途端にがぜん魅力的に見えてくるんだから、面白いものだ。

北鎌倉駅駅舎

09:55
北鎌倉駅前。ここで集合することになっている。

のどかな駅舎。

北鎌倉駅駅前

駅前には鳩サブレーのお店がある程度。

あれ?「鳩サブレー」か。言われてみればそうか。いや、ずっと「鳩サブレ」だと思っていた。

北鎌倉駅周辺地図

北鎌倉駅の周辺図。

見渡す限りお寺だらけ。

そして、あちこちにハイキングコースが仕込まれているようだ。

10:13
仲間と合流して、ハイキング開始。案の定僕が圧倒的最年長だった。さすがに会話があまりはかどらない。

あと、ガッツリ山装備をしているのは僕だけだった。いやー、気合い入りすぎだな。リーダーでさえスニーカーだ。よく見るとみんな微妙に山用のボトムスをはいていたり、トレッキングシューズを履いている。さすが山サークルだ。しかし、僕のように上から下まで全身山装備、というのはちょっとやりすぎだった。

だって、標高121メートルの山だぜ?何をびびってんだよ、ってことだ。

10:17
今年の新入社員は1名だったのだけど、大学時代は登山部にいました、という大変頼もしい人だった。すんません、先輩として何一つ教えてあげることはないです。

駅近くのファミリーマートに立ち寄る。

鎌倉には景観条例があるのだろうか?ファミマの看板の色は、地味になっていた。

道路脇の山に、防空壕だか昔の隧道だかの跡がある。水道の跡だ、ということを後になって知った。

このあたりは左右いたるところにお寺があって、なんだかソワソワする。お寺だけでなく、記念碑といったものもあるので、案内看板がたくさんだ。

こっちは観光気分なので、そういう名所旧跡をガンガン素通りするのにびっくりさせられるけど、なにせ主目的がハイキングですから。あと、鎌倉という土地において、いちいち名所旧跡一つ一つを見て回るときりがない、というのはこのあとよくわかった。

10:32
巨福呂坂(こぶくろざか)にある、巨福呂洞門。

トンネルかと思ったけど、天井は空に向けて抜けている。ここはもともと切通しだったところで、両側の絶壁からの落石防止対策として洞門を造ったらしい。

解放感があるようなないような、変わった作り。ここを抜けたら鎌倉を代表する鶴岡八幡宮だ。いよいよ鎌倉の核心に入る手前の、ワープ地点のような感覚がある。

(つづく)