12:13
梓川の左岸を歩いていくと、前方に橋が見えてきた。
ちなみに、「右岸・左岸」という表現はよく使うが、一瞬「あれ?どっちから見て右/左だったっけ?」とわからなくなることがある。
正解は、「上流から見た視点で右・左を考える」こと。
それはともかく、なんやかやでバスターミナルから徒歩で20分近くかかっている。途中、写真を撮りながら歩いていたとはいえ、馬鹿にできない時間がこれまでにかかっている。
なので、急ぎで焼岳に登りたい人は、バスターミナルあたりでうだうだしていないで、上高地帝国ホテルのバス停で下車し、そのまま登山に突入した方がいい。この橋からさほど遠くないところに、帝国ホテルはある。
ここは、中州を挟んで2つの橋が連なっている。
一つが「田代橋」、もう一つが「穂高橋」だ。
上高地中核部の西端に位置している。
ここから先の下流は、先ほどまでの河原がある河川敷とはがらっとかわって、狭い川幅になる。上高地のもう一つの観光スポット、大正池はここをずーっと下っていったところだ。
明日、時間と気力にまだ余裕があるならば、大正池まで足を伸ばしてみようと思う。
穂高橋から上流方面を見やると、二つの建物が見る。
ほとんど木に隠れている茶色の建物が、上高地温泉ホテル。以前兄弟でここに泊まったことがある場所だが、温泉ホテルなので大変にありがたい。
上高地で一泊したい人にはおすすめ、といいたいところだが、何しろバスターミナルから一番遠い場所にある。片道20分歩く覚悟があれば、ぜひどうぞ。
その右隣の白い建物は、「上高地ルミエスタホテル」。何だそのリゾートホテルみたいな名前は。あ、そうか、ここはリゾート地だったか。
昔はこんな名前ではなく、「上高地清水屋ホテル」だった。いつのまに横文字になったんだろう?
「こりゃあ、倒産したに違いないぞ」と思い、「上高地清水屋ホテル 倒産」という不吉なキーワードで検索してみたけど、該当するものは見つからなかった。すまん!単なるリニューアルオープンで改名したっぽい。
上高地という日本を代表する観光地だけど、殿様商売ができるというわけではない。何しろ、GWから文化の日くらいまでの期間しか、営業ができないからだ。約半年。半年間で1年分を稼がないといけないので大変だ。従業員の確保だって、大変だろう。
ちなみにルミエスタホテルもお風呂は温泉だ。上高地で温泉を提供している宿は、この2軒だけとなる。
そんなホテルを見ながら先に進んでいくと、何やら山門みたいなものが正面に見えてきた。
あれっ、登山口?もう焼岳の入り口だったっけ、そんな記憶はないのだけど。
12:15
あ、そうか、ここは西穂高岳登山口だった。
ここから続く玄文沢を登り詰めると、西穂高岳の玄関口となる西穂山荘がある。
西穂山荘は以前一泊したことがあるが、良い山小屋だったな。あれはもう11年も前のことだ。
西穂高岳登山は、通常新穂高温泉からロープウェーで入山する。なので、上高地から入るのはややマニアックな選択となる。しかし、「上りと下りで別ルートを歩きたい」という人は、下りルートとしてこの道を好むらしい。
「ここから先は登山の装備が必要です」という注意書きがでている。このあたりは観光客がたくさんいるエリアだ。「なんか面白そうだから行ってみようぜ」という軽はずみで遭難されちゃかなわないので、ちゃんと注意書きを出している。
12:19
西穂高岳登山口のゲートをくぐらず、そのまま梓川右岸を下流に向けて歩いて行く。
道は広く、砂利で整地されている。
観光客は誰一人として歩いていない。この先、(一般人にとっては)行き止まりだからだ。この道は上高地およびその上流にあるホテルの資材運搬用として使われ、治山用の車も行き来する。そういう「はたらくくるま」用の道だ。
梓川から離れたところを道が通っている。そのため、立ち枯れた木々を眺めながらの非日常的な景色が美しい。
ここで一句。
いや、ごめんなさい無理です。すいません先を急いでいるんで。
12:26
何やら右手に看板が見えてきた。
ここが焼岳登山口。西穂高岳登山口から約11分。
「焼岳上高地側登山口」と看板には記してあった。
おい、さっきの登山口みたいな門がないぞ、どうした一体。
門、くぐりたかったなァ・・・。
今回の僕の服装だが、随分軽装になっている。半袖シャツ、短パンにタイツ。寒くなったらレインウェアを防寒具にすればいいや、という考え。
青い縞模様のタイツは、今年春の衣張山登山の際に初登場したものだ。
しかしこうやって写真に収まってみると、どうもオッサンが着るにしては不釣り合いな気がする。そもそもオッサンが短パンを履いて良いのか問題、というのもある気がする。今後の課題としたい。
それはともかく、登山口の看板だけど、時代を感じさせるものだった。レトロ、という意味ではなく「新しい」という意味で、だ。というのは、登山計画書を提出しよう、と書いてあるのだけど、肝心の登山計画書ポストが登山口には設置されていない。そのかわり、二次元バーコードが看板に書かれていて、電子申請してくれ、となっているのだった。すばらしい。
ポストに投函するタイプの登山計画書は、今後どんどん廃れていくのだろう。本当にこれ、遭難したときに読んでくれるのだろうか?という気がしていたし、事前にネットで申請できるというのは登山者にとっても楽なのでありがたい。
「個人情報だだ漏れの登山計画書を、無造作に登山口のポストに投函するのはよくない」という意見もあるようだ。登山計画書ポストは、鍵付きではないものも相変わらず多いからだ。かわいい山ガールが届け出をした直後にポストをあされば、その人の住所氏名年齢電話番号、全てを知ることができる。・・・まあ、このご時世、そういう「欠陥」を放置するわけにはいかないだろうな。早く100%電子化してほしい。
(つづく)
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