2017年07月30日(日) 2日目
05:06
2日目朝。
案の定だけど、雨は降っていた。むしろ昨日よりも天気が悪い。大雨、というほどではないけど、しとしとと雨が降っている。
比較的のんびりとした朝の山小屋だった。
山小屋に泊まっていると、だいたい朝3時から4時にかけて起きる人がいて騒がしくなるものだ。しかし、この焼岳小屋の場合、早朝からスーパーのビニール袋をガサガサ鳴らすような人がほとんどいなかった。
ああそうか、ここにいる人のほとんどは、今日このあと焼岳に登頂して、下山するだけだからだ。それ以上の遠方に行く人は、たぶんいないと思う。だから、ヘッドライトをつけた状態で早朝出発するような人がいないんだ。
しかも天気が悪いので、山頂でご来光を、なんてわけにもいかない。こうなると、ふて寝でもして朝を迎えるしかない。
小屋のスタッフの方は、朝ごはんの準備を進めると同時に寝室(跡)を食堂にリノベーションしないといけない。
さっそく、かまぼこ型のテントの口を開け、布団片付けの準備を進めていた。
朝一発目から力仕事、お疲れ様です。
05:09
片付けが始まる布団。
食堂で寝ていた人全員が、きれいに外に脱出。寝起きが悪いから、とぐずぐずする人は誰もいない。そんなことができる状況ではない。
そうだ、良い夢を見ることができたかって?やはりそれは難しかった。いくら隙間がしっかりある今回の寝床でも、右にも左にも足元にも人が寝ていると緊張感がある。うっかりするとぶつかってしまいそうなので、寝返りをうつたびに気になって眠りが浅くなる。
とはいえ、疲労が取れずにぐったり、ということはなく朝を迎えることができたのは良かった。
布団はかなりの湿気を帯びていて、それによる寝苦しさはあった。そりゃそうだ、なにせこの雨空の下、屋外で保管されていた布団だ。
寝床があるだけ幸せなのだから、それ以上を山小屋に期待してはいけない。
05:23
食堂復旧完成。
05:51
改めて、焼岳小屋をベンチ側から見る。
小屋、布団が入っているテント、トイレ、そしてもうひとつテント。
このテントには何が入っているのだろう?食糧備蓄とか、小屋を維持するための装備や工具、備品が保管されているのだろう。
こうやって見ると、いったい小屋のスタッフさんはどこで寝泊りしているのか?と不思議になる。それはこの小屋に限った話ではなく、どこの山小屋でもそうだ。恐らく、宿泊客同様の狭いスペースしか、寝る場所はないはずだ。大変だ。
05:55
峠沢から焼岳小屋にたどり着き、そのまま素通りするとこの標識がでて分岐がある。
まっすぐ行くと、西穂山荘方面。左に曲がると、焼岳の山頂。
そういえば昨日の15時過ぎだったか、大きな荷物を背負ったソロのお兄さんが雨に濡れながら西穂方面から歩いてきたっけ。どこからきたんですか、と聞いてみたら、今朝は穂高岳山荘から歩いてきた、という。それを聞いて仰天した。ええ、ということは奥穂高岳に登り、ジャンダルムあたりの危険なエリアを通り抜け、そしてここにたどり着いたのかと。しかも3時過ぎなのだからかなりのハイペースだ。
しかもさらに掘り下げて聞いてみると、1日前は槍ヶ岳から大キレットを通ってきたのだという。天狗ですかこの人は。すごいなあ。
「どうしようかな、ここに泊まろうかなそれとも焼岳登ろうかな」
と悩んでいたけど、結局荷物をデポして焼岳ピストンをしに出かけて行った。15時なのに。
で、今気付いたけど、その人は焼岳小屋に泊まらなかったので、おそらく昨日のうちに上高地に下山してしまったのだろう。天狗でなければ、山伏だと思う。さすがにマネはできない。
05:57
朝食の準備が終わるまで待機。外にいても雨が降っているので、小屋内のたたきのところで物欲しげな顔をしてじっと立っていた。
見上げると、赤いランプ。これが日没になると天井から吊り下げられ、明かりを灯していた。単なるアンティークな飾りじゃない。ほんとうに使っているものだ。
06:16
朝ご飯。朝5時起床で、朝食が6時16分というのは随分と時間があるけれど、食堂のセッティングに手間取るのだからこれは仕方がない。
これだけのんびりとしていられるのも、焼岳ならではなのだろう。登っても下っても、さほど時間がかからない山だから。
朝ご飯は、メインディッシュたる場所に玉子様がデデデンと控えていらっしゃった。こんなに誇らしげな玉子は初めて見た。
他には、きんぴらごぼうやポークビッツ、甘く煮た豆など。蛋白質は玉子でとれ、あとはご飯で炭水化物を腹一杯食え!という姿勢。
06:30
だいたいどこの山行でも、朝の出発時刻は7時、という想定でコースを設定している(と思う)。実際はもっと早く朝ご飯は終わるのだけど、小屋によっては遅い朝食時間の場所だってあるかもしれない。なので、余裕を見るようにしている。今回は30分ほど予定よりも早く出発、ということになる。
今回、久々の本格登山ということで手袋を装備品として入れたのだけど、準備段階で手袋がどこにあるかわからず、面倒臭くなったので目に留まった自転車用の手袋を持参していた。
ためしにはめてみた。・・・いうまでもなく、これじゃ使い物にならなかった。山ではほぼ意味をなさない手袋持って来ちゃったよ。すぐに脱ぐ。
(つづく)
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