13:49
長いハシゴをクリアし、ちょっと歩いたら展望が一気に開けてきた。
これまでは「後ろを振り向いたら、良い眺め」だったのだけど、ここから先は「目の前も良い眺め」だ。
さあ、いよいよ山歩きの醍醐味エリアに突入。できうることなら、スキップでもしながらこの空間を楽しみたい。でも、体力の限界につきスキップは勘弁して。
峠沢を挟んで、焼岳山頂方面。
どうせ目の前に見える山は、焼岳山頂と思わせて「ブブー。その手前の岩場でしたー。残念でしたー」というものに違いない。
とはいえ、山頂方面ということは間違いあるまい。
ガスは・・・若干晴れ気味。雨は降っていないように見える。
だったら今日中に山頂を目指してしまう、という選択肢もあるのだけど、面倒くさすぎてその気はまったくなかった。
そもそも、山頂まで行ったらヘリコプターがお出迎えして下山をサポートしてくれるわけじゃない。下山するまでが登山だ。今から山頂に行って戻ってきたら、山小屋着は夕方になってしまう。さすがにそれは無茶だ。
思いっきりガラってる峠沢。
さすがにここを横断する登山道を作るのは無理だ。山頂を目指すなら、この沢を登りつめた稜線付近を使わないと。
道を作っても、すぐにガラって道がふさがってしまう。
13:56
ずっと峠沢、そしてその先の山頂方面ばかり見ていたのだけど、登山道はなにやら山頂に背を向ける方向に伸びている。
道を間違えたのだろうか、とちょっと不安になる。間違えるにしては道がしっかりしているので間違えようがないのだけど。でも、首をひねりつつ延々と歩いていったら、西穂山荘に着いてしまった、なんてことはないだろうな?それは勘弁してほしい、今回は焼岳に登るんだ、西穂高岳は遠慮願いたい。
峠沢を振り返ったところ。
足元は笹が広がる。
13:57
なだらかな坂のように見えるだろう?
でも実際はこのあたりはつづら折れの道が続き、思ったよりもキツいんだぞ坊や。
見晴らしが良くなると、急な坂でもラクそうに見える。で、実際は思ったよりもキツくて、なかなか見ている景色に変化がなく、顎が上がることになる。
14:00
とはいえ、快適な道であるのは間違いない。高い山を登ってるぞ、という充実感たるや半端ない。
なので、歩いているシーンを自撮り。
ただ、写っている自分を見ると、疲労からか棒立ちになっていた。あんまり「軽やかで、快適」な感じではない。
「歳をとってくると腹が出てくるな。ザックのウエストベルトを締めていると、腹が目立つな」
なんていうことが気になる。次から、記念写真を撮るときはザックのベルトはゆるめておこう。
なお、こう見えても高校時代と比べて体重が変わっていない。なのに体型がたるんでみえるのは、人体の神秘だ。ああ、神秘ってことにしておいてくれ。それ以上は言うな。
14:03
この界隈のつづら折れは、若干・・・というか結構紛らわしい。
あちこちにわき道っぽいものがあるからだ。
恐らく、焼岳小屋を経由しないで、焼岳山頂方面にストレートに行くショートカットコースなのだろう。しかし、踏み跡が薄く、本当に使われているのかどうかは不明。
そういう踏み跡には全く標識がない。なので、どっちが正しい道で、どっちがイレギュラールートなのかがわかりにくい。
写真のように、右が正しいルート、左がニセルートとなっていると、区別がちょっとだけ難しい。「より踏まれまくっている道を選択」していけば、どうやら間違いはなさそうだ。
14:05
笹林の斜面をジグザグに登りきった先に、小屋が見えてきた。
本日の目的地、焼岳小屋。
・・・だと思う。
あまりに小さいので、「トイレかな?」「環境省が設置した、地震観測のための施設かな?」と思った。
いくらなんでも小さすぎるだろう、というサイズ感と、目の前に大きな岩が立ちふさがるという不思議なロケーション。なんでこんなところに小屋を作ったのやら。
14:06
本当にここが焼岳小屋だろうか、と心配になって、いったん小屋の前をスルー。「私は関係ありませんよ、通りすがりですよ」という顔つきで。
スルーしつつ、チラ見してみたら、たしかにここが焼岳小屋だった。あ、ホンモノだった。
「本日のゴールに到着して嬉しい」というよりも、「うわ、小さいぞこりゃあ・・・」という気持ちの方が勝り、なにやら不安な気持ちになる。
さすが「定員25名」の山小屋だけある。本当に小さい。
山小屋における定員の考え方というのは、まちまちだ。消防法とか旅館業法で定められているわけではないからだ。たぶん、畳1枚で2名が寝る計算にしていると思うのだが、宿によっては違うかもしれない。
さて・・・山小屋に入る前に、いったん素通りした先にある看板を確認しておく。
山小屋脇には分岐があり、右に向かえば西穂高岳方面の縦走ルートで、左に行けば焼岳山頂ルートだった。
(つづく)
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