14:45
備中国分寺。
・・・跡、なのか。なるほど。ここに来るまで知らなかった。
8世紀に建立された伽藍は現存しておらず、門があった跡とか、遺跡という形で残っているだけだ。先ほどから見えている五重塔はたしかに国指定重要文化財だけど、江戸時代に復興されたもので「日照山国分寺」という名前になっている。
つまり、「おお、これが聖武天皇が律令制の浸透のために全国に建立した国分寺かぁ」と惚れ惚れとして山門を眺めていた僕らだが、相当勘違いしてたことになる。
「国立のお寺」だった備中国分寺は平安頃には早々に廃れ、その後江戸時代になって「私立のお寺」として復活したことになる。それが、この目の前の国分寺。
「国立のお寺」という言い方をすると、今だとすごく不思議な感じがする。えっ、宗教施設が国立(=国の税金で作られた)なの?と。国家公務員僧侶がいた、ということでもあるし。
14:51
お寺の名前が刻まれた石碑のところに、「善男 善女」と書かれていた。「まさに僕らのことではないか!」ということで、喜び勇んで記念撮影。
がらんとした伽藍を見て回る。特になにもない。浅草寺のように本堂が開放されていて大仏が拝める、といった作りでもない。
五重塔を下から見上げたところ。しいたけの傘の部分を逆さにして見ているようだ。
キャンプファイヤー用に薪を井桁に組んでいるようにも見える。火事になったら盛大に燃えて一気に建物が焼失するだろう。
1957年に、東京・上野近くの谷中霊園にあった天王寺五重塔が、カップルの無理心中の巻き添えで消失したという事件があった。こういう木造建築の下なら気持ちよく焼け死ねると思ったのだろうか。
でも、寺のものを燃やして死んでも、地獄行きになりそうな気がする。
15:01
備中国分寺を出発して東へすぐ、ほんの僅かに盛り上がっているところに看板が見える。
あれが次の目的地、「こうもり塚古墳」らしい。
あの辺りが古墳だな、とわかるのは、木が伐採されていないからだ。
古墳の上こそ木を刈って、昔のような作りにすればいいのに・・・と思うが、じゃあそれを誰がやるの?ということになる。
古墳ではない場所は、田んぼとして農家の方が開拓している。収穫物で生計を立てているので当然だ。でも、古墳の上ともなれば活用のしようがない。そんなわけで、木が残っているというわけだ。
こうもり塚古墳。さきほどの作山古墳とくらべて小さい。
「こうもり塚」という名前だと安っぽく感じられるが、れっきとした昔の豪族のお墓だ。こうもりが住んでいた洞窟をお墓にしました、というわけではない。
15:03
6世紀後半に作られた前方後円墳で、当時の吉備地方では最大規模の古墳だったそうだ。
この界隈、すげえな。古墳があちこちにあるし、後には国分寺が作られているし。なのに今じゃ、見渡す限りの田んぼ。一体今にいたるまで何があったんだろう。
今僕が住んでいるメガロポリス東京も、1,000年後とか2,000年後には「なんでこんなところに人が住んでいたの?」と思われるのかもしれない。いや、その頃には日本列島が沈没して存在していなかったりして。
15:05
こうもり塚古墳を別の角度から。
確かに、わざとらしい盛り上がりをしている。あのモッコリが古墳か。
「言われてみれば、たしかに・・・?」というレベルでひっそりと古墳というのは佇む。
でもあのモッコリはあくまでも古墳の一部。
15:10
サイクリングロードを進んでいくと、「岡山市」の表示があった。
総社市からスタートして、越境したことになる。
15:11
お。前方にまた怪しい丘が見える。周囲が見事なまでに平地で田んぼなのに、一か所だけ盛り上がっている。あそこも古墳だな。
次の目的地、作山古墳らしい。
もともとこのあたりが真っ平らだった中に古墳を作ったのか、それとも凸凹がある場所だったけど、田んぼを作る上で整地した結果まっ平らな土地が広大にできたのか、どっちかは僕にはわからない。いずれにせよ、この古墳だけは「うーん、ここを田んぼにはできないな」ということで残され続けてきたわけだ。
中には、小規模な古墳で、後世の人が気づかずに田んぼにしちゃった、とか知っていても「構うものか」と整地しちゃった、とかいろいろあるのだろう。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (5件)
ご結婚されたんですね。おめでとうございます。20年近く前、カレーのまんてんとえぞ松の記事を拝見し、その後は牛サシか何かでお店の全メニュー制覇など、楽しく読ませて頂いておりました。久しぶりに閲覧し、コメントをさせて頂く次第です。
idekenrrさん>
お祝いメッセージありがとうございます。久しぶりのこのサイト、外観も中身もすっかり変わってしまって驚かれたと思います。
「美貌の盛り」をやっていた頃から基本的に何も変わっていないつもりなんですが、昔連呼していた「無茶してナンボ」という言葉は今だと全然使わなくなったな、とふと気づきました。無茶できなくなったんだろうなぁ。
また20年後、「まだやってたのか」とidekenrrさんから言われるよう、これからも頑張ります。
おかでん殿
結婚式前後の事連載が完結してからコメントさせていただこうと思い、遅くなりました。
連載もさぞ工夫された事とおもいます。
今まで通りのアワレみ隊ontheWeb連載の流れで、スペシャルイベントを違和感なく読ませていただきました。
奥様そしてご子息と末永くお幸せに!
にしても両家参列の式とは言え準備がこんなにも大変だったとは…。
自分達は諸事情により2人だけで新婚旅行を兼ねてのラスベガス挙式(ジョン・ボンジョヴィと同じチャペルを妻が熱烈希望)だったので、現地日本人コーディネーターにお願いしたくらいですが。
話は飛びますが、高校野球選抜大会の日程次第では、大阪から広島へ延泊してますゐ訪問を企んでおります。昼・夜・昼&特ランチ弁当なんてシミュレーションし始めただけで涎が止まりません!
軍曹殿>
ラスベガス挙式すげー。そんなことをやっていたんですか。しかも2人だけって、逃避行みたいですごいですね。
そういえばラスベガスって、質屋とチャペルが非常に多かったような気がする。
結婚もギャンブルといいますが、軍曹殿はそのギャンブルに勝ったようでなによりです。
ますゐ詣で、ぜひご堪能あれ!僕も最近のますゐについては全然疎いので、最新情報入手のために足繁く通ってみてください!!
おかでん殿
事実上の高飛びってやつです。
その前は同級生とか野球部同期の友人達がお祝いの会を開いてもらったので、感謝しています!
(実家出禁も半年後には解除されました。)