16:34
がらんとした吉備津神社の駐車場。
いや、表現が正しくないな、平日夕方だから閑散としているのは当たり前で、それよりもまるでショッピングモールのように広大な駐車場があるということの方がすごい。
考えてみれば、大きくて有名な神社仏閣があれば、参拝客目当ての門前町が形成されることが多いはずだ。それなのに、この吉備津神社にはほとんどそういうものがない。
いったい吉備地方というのはどうなっているんだ。作山古墳という超巨大土木建造物を作る文化と財力があったのに、今や周囲はほとんど田んぼという風景。そして現在進行系の有名な神社も、門前は巨大駐車場と田んぼ。
そんな駐車場に、巨大なリムジンが一台停まっていて「おっ!」とびっくりした。
すげえホイールベースだ。左ハンドルだし、運転手さんは経験を積んだ人でないと務まらないと思う。
おそらく結婚式の関連だろう。前撮り写真のために訪れたカップルが移動のために使って、今はカップルやカメラマン御一行様の戻り待ちなのだろうか。でも、前撮り写真でリムジンを使うって贅沢だな。結婚式当日ならともかく。
さすがに今日まさに結婚式、というわけではないと思う。平日夕方なので挙式するならちょっと変な時間帯だし、参列者が乗ってきたであろう車が周囲に見当たらない。夕日を狙ってこの日この時間に吉備津神社を訪れたと思われる。
吉備津神社で挙式、というのは岡山界隈の人にとっては格式あるイベントとなる。僕の親戚も確かここで挙式したと思う。たしかに、国宝の拝殿で挙式!あの長ーい回廊で撮影!というのはとても印象深い。
それにしても、このリムジンって白いナンバープレートなんだな。緑色のプレートでないことがちょっと意外。
吉備津の松並木。
北随身門からまっすぐ、JR吉備線の吉備津駅まで伸びている。
ただ、まっすぐ車で行こうとすると車止めのポールが出ていて通行できなくなっている。注意力散漫で車を運転していたら、このポールに激突してしまうので注意。
16:49
吉備の中山の山裾をぐるっと回っていくと、本日の最終経由地である吉備津彦神社に到着。
17時前ということもあって、神社にはほとんど人がいなかった。
ここの建物の作りも独特だ。拝殿に連なる形で祭文殿、渡殿、そして本殿がある。
航空写真でこの境内を見ると、変わった建物の形をしていることがわかる。
ただ、そういうのに気づいたのは後になってのことで、僕らは単にお詣りして「サイクリング終わったー」と喜んで終わり、だった。もう少しじっくりこの境内を歩き回っても良かったと思う。
ちなみにここは備前国一宮。先ほどの吉備津神社は備中国一宮となる。同じ山なのに、途中で備前・備中とわかれているのが独特。
随身門から参道を見たところ。
ここもまっすぐの松並木が伸びている。
吉備津彦神社の場合、松並木の両側が「神池」という池になっている。
そういえば僕ら、サイクリングロードに沿ってこの神社にたどり着いたわけだけど、気がついたら境内の中に入っていた。境内の中をサイクリングロードが突っ切る形になっているんだな。
夏至の日は、この正面から太陽の光が差し込み、祭文殿の鏡に反射するという構造になっているらしい。へー。
17:01
吉備津彦神社からほど近くにある、JR吉備線の駅「備前一宮」が僕らのサイクリングのゴール地点だ。
レンタサイクルを返却できる自転車屋さんは、この駅のすぐとなりにあった。なんて便利なんだ。
自転車を返却して1分後には改札をくぐり抜けることができる。
17:01
最後、吉備津彦神社での滞在時間を若干端折ったのは、JR吉備線のダイヤを気にしていたからだ。
ほら、ちょうど総社行きの列車がやってきた。2両のディーゼル車でワンマン運転。国鉄時代の車両がまだ現役バリバリで走っているぞ。
単線のローカル路線ではあるけれど、岡山~総社という短い距離ということもあってか駅には自動改札機、そしてICOCAの自動改札機が備わっていたのには驚いた。
17:32
単線をのんびりトコトコと汽車は進み、約30分で総社に戻ってきた。17時半ともなれば、外は真っ暗だ。
ホームの向かい側には、伯備線が停車していた。こちらもまた国鉄時代の車両。「末期色」と口が悪いネット民たちに呼ばれている、黄色い車両。
「鉄道」という名前にふさわしい、「鉄」感あふれる、重厚感がある。僕が普段住んでいる東京界隈は、メタリックな色の電車が多い。だから、むしろこういう重たいデザインは見ていてワクワクする。
17:35
総社駅の改札を出て、駐車場に向かう。
駅前はイルミネーションが光り輝き、「がんばろぉで!Soja」と記されていた。
前年2018年7月、西日本豪雨の影響で総社から倉敷にかけて洪水が発生。200名を超える死者が出るという惨事があった。まだ総社界隈はその復興途中だ。
「それにしても、なにかチープな感じがするのはなぜだろう」
イルミネーションはかなり頑張った感がある。電飾の数はそれなりにある。その割には、なんだか田舎っぽさというか、チープさを感じてしまう。
二人でこのイルミネーションについて話し合ったが、その場では結論が出なかった。しかし、後日東京に戻って、ようやくその答えがわかった。ああなるほど、東京だとこの手のイルミネーションって単色なんだ。
白一色とか、電球色一色とか、色使いは極めてシンプル。寒々しさや機械的な感じさえする飾り付けがトレンドだった。あと、LEDの球のサイズがひょっとすると東京の方が小さく、光がきめ細かいかもしれない。
いっぽう、総社のイルミネーションは色彩が豊かだ。むしろいろいろな色を使う方がリッチだと思うんだが、たまたま単色が流行っているのと時代が逆行してしまったらしい。
だとしても、災害復興中なんだし、こうやってカラフルなイルミネーションで励まされる人がいるなら素晴らしいことだと思った。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (5件)
ご結婚されたんですね。おめでとうございます。20年近く前、カレーのまんてんとえぞ松の記事を拝見し、その後は牛サシか何かでお店の全メニュー制覇など、楽しく読ませて頂いておりました。久しぶりに閲覧し、コメントをさせて頂く次第です。
idekenrrさん>
お祝いメッセージありがとうございます。久しぶりのこのサイト、外観も中身もすっかり変わってしまって驚かれたと思います。
「美貌の盛り」をやっていた頃から基本的に何も変わっていないつもりなんですが、昔連呼していた「無茶してナンボ」という言葉は今だと全然使わなくなったな、とふと気づきました。無茶できなくなったんだろうなぁ。
また20年後、「まだやってたのか」とidekenrrさんから言われるよう、これからも頑張ります。
おかでん殿
結婚式前後の事連載が完結してからコメントさせていただこうと思い、遅くなりました。
連載もさぞ工夫された事とおもいます。
今まで通りのアワレみ隊ontheWeb連載の流れで、スペシャルイベントを違和感なく読ませていただきました。
奥様そしてご子息と末永くお幸せに!
にしても両家参列の式とは言え準備がこんなにも大変だったとは…。
自分達は諸事情により2人だけで新婚旅行を兼ねてのラスベガス挙式(ジョン・ボンジョヴィと同じチャペルを妻が熱烈希望)だったので、現地日本人コーディネーターにお願いしたくらいですが。
話は飛びますが、高校野球選抜大会の日程次第では、大阪から広島へ延泊してますゐ訪問を企んでおります。昼・夜・昼&特ランチ弁当なんてシミュレーションし始めただけで涎が止まりません!
軍曹殿>
ラスベガス挙式すげー。そんなことをやっていたんですか。しかも2人だけって、逃避行みたいですごいですね。
そういえばラスベガスって、質屋とチャペルが非常に多かったような気がする。
結婚もギャンブルといいますが、軍曹殿はそのギャンブルに勝ったようでなによりです。
ますゐ詣で、ぜひご堪能あれ!僕も最近のますゐについては全然疎いので、最新情報入手のために足繁く通ってみてください!!
おかでん殿
事実上の高飛びってやつです。
その前は同級生とか野球部同期の友人達がお祝いの会を開いてもらったので、感謝しています!
(実家出禁も半年後には解除されました。)