おかでん結婚式前後のできごと【倉敷・吉備路】

岡山駅の土産物売り場にて。

女の子の絵とともにきびだんごが売られていた。「きびだんご おひとつくださいな!」と書いてある。

この女の子は、犬か猿、またはキジらしい。

結婚でお祝いをいただいた職場の方々や友人に対するお礼の品を、ここでゴッソリ買う。

奮発しだすときりがない、というか、対象となる数が多いのでちょっと返礼品のグレードを上げるとn倍で費用が増える。虚礼廃止にしよう、と二人で言いつつ、見栄を張りすぎない返礼品を選ぶ。

22:24
さあ、満を持してサンライズに乗るぞ。

本来、「サンライズ出雲」のチケットがとれていれば倉敷から乗車することができた。しかしサンライズ出雲は僕が手配した時点ですでに満席だったので、「サンライズ瀬戸」のチケットを確保した。

サンライズ出雲とサンライズ瀬戸は双子の兄弟だ。

東京からやってきた便は、早朝に岡山駅で切り離され、高松行きの「サンライズ瀬戸」、出雲市行きの「サンライズ出雲」に分離する。逆に東京行きの便だと、岡山駅でこの2つの車両がドッキングする。

ホームに行ってみると、すでに片方の電車が停車していた。えーと、瀬戸だったか出雲だったか、どっちだっけ。

サンライズ瀬戸とサンライズ出雲の連結作業がはじまった。

高松からやってきた「瀬戸」7両と、出雲市からやってきた「出雲」7両が合体する。岡山から東京までは14両編成で走るのだから、かなりの長い列車だ。

寝台特急がほぼ絶滅してしまった今、このサンライズは14両で走っているというのは驚きだ。もっと細々と、こじんまり走っているのだと思っていた。

とはいえ、人が椅子に座る列車じゃなく、横に寝っ転がる列車だ。14両編成だからといって大してお客さんが乗れるわけではなく、JRの儲けは限定的だ。

昔、サンライズに乗るためには乗車日の1ヶ月前にみどりの窓口に行って、午前10時とともに予約を取る必要があった。今でも年末年始など特定の日や、人気の席では早めの予約が必須だが、席さえ選ばなければ空席はある。

このままだと、この車両が寿命を迎えた時点か、それより前に寝台列車の定時運行便はなくなってしまう気がする。だからこそ、今のうちに乗っておくのは大事。

連結作業を見るのはともかく、「うおおお」と言いながらカメラのシャッターを切ることにはさほど意味はない。

でも、「ドッキング」ってロマンだよな。今こうやって写真を見返しても、「だからなんなんだ」と思える1枚。でも、カメラを手にしていたら、撮らずにはおれないのがこういう光景だ。

22:34
連結が終わったところで、僕らは「サンライズ瀬戸」に乗り込む。

今回手配したのが「サンライズツイン」という部屋だ。「瀬戸」なら11号車の1階部分にしかない部屋で、4部屋。なので、予約が埋まりやすいようだ。僕も、最初「出雲」で予約を取ろうとしたが失敗したため、「瀬戸」で予約を取った。

車両の案内地図を見ても、謎すぎてよくわからない絵だ。なんだこれ。

へえー、サンライズの中ってこうなっているのか。

狭い廊下で、人とすれ違うためにはお互いが肩をズラして避けないといけないほどの幅しかない。

僕が唯一乗ったことがある寝台特急(当時はブルートレインと呼ばれていた)は東京発下関行きの「あさかぜ」で、今から30年以上前のことだ。そのときはボックスシートが並んでいて、寝る時になると背もたれ部分をバタンを跳ね上げて、二段ベッドの二段目が出来上がるという作りになっていた。

寝る時はカーテンを閉める。

要するに、ベッドの横幅は椅子の座面の奥行き、ということになる(若干大きめに作ってあったと思うけれど)。なので、狭い。そして、駅に停車して出発するたびに相当揺れて、よく眠れなかった思い出がある。なにせ、先頭車両しか気動車がないので、先頭車両に連なっている客車全ては貨物列車のように引っ張られているだけの存在だ。動き始めると、車両の連結部分がガシャンガシャンと音を立て、ガツンと引っ張られる感を感じたものだ。

それが今だと、見事に個室。見ろ、人の気配が全然しないぞ。

車両って走行中に風圧やカーブで微妙な歪みが生じるはずだけど、よくもまあここまで中に壁を作り込んだものだ。相当頑丈に作っているのだろう。

ギリギリまで客室、そして廊下のスペースを確保しようとしているのがデッキに通じる自動ドアの形状からうかがえる。

四角くなく、右下が車両の外壁に沿って削られた形になっている。

この車両は2階建てということを聞いていたけど、客室だけが二階建てで、廊下は1階にある。

首都圏でよく走っている二階建て車両(湘南新宿ラインや常磐線など)は乗降デッキのところから階段があって、完全に客席が1階と2階に分かれている。そういうイメージだったので、これはちょっと意外だった。どうなっているんだ、この列車の構造は。

はー。なるほど。

僕らが寝泊まりするサンライズツインは、階段を下った半地下部分に入り口があった。

一つの階段につき、両側に2部屋ある。とにかく廊下が狭いし、玄関口も狭い。荷物を持った状態で体の向きを変えるのも難儀するようなスペースだ。

JRとしても、さんざんシミュレーションして「ここまでならギリギリセーフ」のラインを探っていったのだろう。

ドアの鍵は4桁の暗証番号を設定することで行う。

背後にすぐ隣の部屋があるので、距離を空けながらボタンを押すことができない。手元が見づらい中、ボタンを押すことになる。

サンライズツインの部屋。

とにかく、限られた空間にぎゅうぎゅうに要素を詰め込んでいる。なので、27mmレンズで撮影しても到底全貌が撮影できない。魚眼レンズでも使わないと。これだけ狭い部屋に泊まるのは初めてで、むしろ楽しい。

どうせ今は23時前だ。寝て起きたら東京だし、狭くて十分。

この部屋を一晩専有するのに必要なお金は15,400円。それとは別に一人ひとりの乗車券と特急券が必要になる。正確な数字は覚えていないが、一人当たりだいたい2.2万円くらいか。やっぱり、ちょっとした贅沢だ。

じゃあ、それに見合ったラクジュアリーな空間が待っているのかというと、そんなことはない。

おっ、スリッパがあるぞ、ゴミ箱もあるぞ、コップもあるぞ、というのはありがたいけど、その程度だ。昔走っていた寝台特急「カシオペア」みたいに、ウェルカムドリンクがあります!ということもない。そりゃそうだ、そういうサービスを受けるためにはもっと観光列車として運用されていないといけないし、お値段がもっと高くないとやってられない。この「サンライズ」は、一部の鉄道好きと、実用重視の人が使う列車だろう。ウェルカムドリンクだとか新聞だとか、食堂列車併設とかで値段がこれ以上上がったら、むしろ減収になりそうだ。

写真右上、天井が斜めになっているのは、廊下から二階のシングルデラックスに通じる階段がそこにあるからだ。まるでパズルのように、ぴったりあれこれが詰まっている。

(つづく)

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コメント

コメント一覧 (5件)

  • ご結婚されたんですね。おめでとうございます。20年近く前、カレーのまんてんとえぞ松の記事を拝見し、その後は牛サシか何かでお店の全メニュー制覇など、楽しく読ませて頂いておりました。久しぶりに閲覧し、コメントをさせて頂く次第です。

  • idekenrrさん>
    お祝いメッセージありがとうございます。久しぶりのこのサイト、外観も中身もすっかり変わってしまって驚かれたと思います。
    「美貌の盛り」をやっていた頃から基本的に何も変わっていないつもりなんですが、昔連呼していた「無茶してナンボ」という言葉は今だと全然使わなくなったな、とふと気づきました。無茶できなくなったんだろうなぁ。
    また20年後、「まだやってたのか」とidekenrrさんから言われるよう、これからも頑張ります。

  • おかでん殿
    結婚式前後の事連載が完結してからコメントさせていただこうと思い、遅くなりました。
    連載もさぞ工夫された事とおもいます。
    今まで通りのアワレみ隊ontheWeb連載の流れで、スペシャルイベントを違和感なく読ませていただきました。
    奥様そしてご子息と末永くお幸せに!
    にしても両家参列の式とは言え準備がこんなにも大変だったとは…。
    自分達は諸事情により2人だけで新婚旅行を兼ねてのラスベガス挙式(ジョン・ボンジョヴィと同じチャペルを妻が熱烈希望)だったので、現地日本人コーディネーターにお願いしたくらいですが。
    話は飛びますが、高校野球選抜大会の日程次第では、大阪から広島へ延泊してますゐ訪問を企んでおります。昼・夜・昼&特ランチ弁当なんてシミュレーションし始めただけで涎が止まりません!

  • 軍曹殿>
    ラスベガス挙式すげー。そんなことをやっていたんですか。しかも2人だけって、逃避行みたいですごいですね。
    そういえばラスベガスって、質屋とチャペルが非常に多かったような気がする。
    結婚もギャンブルといいますが、軍曹殿はそのギャンブルに勝ったようでなによりです。

    ますゐ詣で、ぜひご堪能あれ!僕も最近のますゐについては全然疎いので、最新情報入手のために足繁く通ってみてください!!

  • おかでん殿
    事実上の高飛びってやつです。
    その前は同級生とか野球部同期の友人達がお祝いの会を開いてもらったので、感謝しています!
    (実家出禁も半年後には解除されました。)

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