コロナ時代、帰省を諦めテントを張って川で過ごす【みよりふるさと体験村1】

オーダーした飲み物が到着。

僕はノンアルコールビール400円、いしはとまとジュース300円。

とまとジュースには岩塩とレモン付き。まずはこれで乾杯。

キャンプに来たのに、僕らはほとんどテントサイトにいない。テントを組んだらすぐに川遊びに行って、温泉に入って、そして夕食は別の場所。

キャンプ原理主義的な立場だと、到底容認できない堕落。たぶん、僕がキャンプを始めた頃である二十歳手前の頃だったら、「ケッ、くだらねぇ!」と悪口を言ったと思う。

僕自身、いまだにキャンプ原理主義でストイックにやりたいという願望はある。でもそのために腰が重たくなるよりも、フットワーク軽くキャンプをやったほうが良い、と今は思っている。キャンプに行くことを日常化させ、軌道に乗ったところでもうちょっと面倒な自炊とかを組み込んでいこうと思う。そのためには場数をふまなくちゃ。

飲食店として非常にシンプルなメニューのお店。

そのかわり、お店の片隅にガチャガチャが置いてあって、「つまみ100円」「おかし100円」と書いてあった。面白い。何が出るかガチャを回してのお楽しみ。

山菜辛味噌乗せ特大冷奴、500円。

せっかく栃木県の奥までやってきたんだから、という「旅情」と「せっかく」の気持ちはこの際脇においておこう。このお店で食べられるメニューは限られている。

冷奴、いいじゃないか。

そんなわけで、鶏の唐揚げも食べちゃう。500円。

ご当地ものじゃなきゃヤダ!とか言い出したら、じゃあどこでそれを買うの?どうやって調理するの?などと面倒なことになる。お店でありものを食べる、というのはそういう逡巡をすっ飛ばしてくれるから楽だ。

地場産山椒&チーズのピザ、800円。

山椒が載っているというのが面白い。直径19センチ。おいしい。

自家製燻製の盛り合わせ、800円。

枝豆、チーズ、ソーセージ。

「お店にあるありもので食事をする」という割り切りをしているけれど、ちょっとしたご当地感が含まれているメニューが多くて、頼んでいて楽しい。

壁に貼ってあった「館内マスク必須」という表示。

「必須」という強い言葉が使われているあたり、コロナに対する警戒感の強さが現れている。

2020年3月頃にうわーっと感染者が出始めて、まだ半年程度。「日常的にマスクを着用する」ということが定着しきっていない時期なので、こういう表現で注意喚起をしている。

この頃は、マスクをしていない人が同じ空間にいるだけで「ウイルスをばらまく奴」という目で見られたし、そういう理由で通勤電車の中で喧嘩が始まるようなことも珍しくなかった。

コロナ時代の幕開けとなった2020年、特にハネたのがzoomによるオンラインミーティングだった。

これまでもzoomにしろLINEのビデオ通話にしろ、サービスとしては存在していた。しかし、それを使おういう機運はまだ世間として浅かった。パケ代がかかる、とか自分の顔を見せたくない、とか文字チャットでいいじゃん、とかいろいろ理由はあり、ミーティングをやりたいメンバーのうち一人でも反対する人がいればビデオ通話は実現しなかったものだ。

人間社会って、「やりたい」という意見よりも「やだ」という意見のほうが強いから。

そんな中で、コロナはビデオ通話やオンラインミーティングの導入を企業でも個人でも加速させる原動力となった。遅かれ早かれそういう時代は来たのだろうけど、時計の針を早めたのは間違いないだろう。

静岡界隈に住むいし一族が、この日はお盆ということでみんな集まって会食をやっているという。そこにLINEのビデオ通話でオンライン参加し、ご挨拶をした。

相手もビデオ通話をやり慣れていないので、スマホ画面を縦にするか横にするか、といったところからドタバタ。2020年ならではの光景だ。

面白いもので、静岡県内の親族が集まるのはオッケーなんだけど、県外である僕らはこの集会には参加できない。マジでこの頃、東京都民というのはそれ以外の県から「バイオハザードが起きているパンデミックの巣窟」という目で見られていて、差別の対象だった。

直接個人が個人を差別する、ということは少なかったのかもしれない。でも、「他人の目があるから」ということでその場の空気感で世の中が動く。「自分は差別していないんだけど、他の人がね」といいつつ、差別に加担する。そういう構図が日本全国で出来上がっていた。

いや、いし家が具体的にそうだ、というわけではなく、一般論としての話だ。

いし家一族の場合、基礎疾患持ちがいたり高齢者施設に従事する医療従事者がいるので、2020年夏時点において帰省・会食は実際無理だったと思う。

「感染していない」ことを証明するのは無理だ。悪魔の証明と一緒だ。「感染している」ことを証明するのはたやすいけれど。なので、人と濃厚接触しない、というのが一番確実な感染症対策になる。これはもうしょうがない。

「会津西街道 三依地区ぶらぶらマップ」というポスターが貼ってあった。

ぶらぶらマップ、といっても観光客が見て楽しいぶらぶらポイントが多くないのが特徴。

ただ、この界隈の概要を把握するにはちょうどよい、ぎゅっと距離感を圧縮した地図でわかりやすい内容だった。

食後、キャンプ場に戻る。このあと、テントサイトで焚き火をやる。

薪は買ったし、焚き火台もレンタルしてある。キャンプ場は直火禁止なので、焚き火台は必須となる。そういえば焚き火台をレンタルするのは人生で初だ。

食事を食べていた建物の入り口に、「スウェーデントーチ」が売られていた。何のことかよくわからず素通りしたけど、後になって調べてみたらなかなかおもしろいものだった。これ、試しに買ってみればよかった。

てっきり、火が灯っているたいまつが「スウェーデントーチ」なんだと思っていた。しかし実際は違って、足元に置いてある切れ目の入った丸太、これがスェーデントーチだった。

スウェーデントーチとは、この割れ目のところに着火剤や藁を詰めて火をつけ、丸太の中からじわじわ燃やしていくスタイルの焚き火だ。なにそれ、見たことがない。いいなあ、やってみたいなあ。

丸太の切れ込みの中から燃えていくので、煙突効果で火はけっこう簡単につくそうだ(木がしっかり乾燥していることが条件)。そして、なによりも丸太の上で煮炊きができる。暖炉であり、コンロであり、ゴトクでもある。よくできてるなぁ。

1時間とか2時間燃やし続けると、丸太は燃え尽きて崩壊するそうだ。盛大に炎が湧き上がるキャンプファイヤーをやりたい人には不向きだけど、じっくりと静かに焚き火を楽しみたい人にはとてもナイスなチョイスだと思う。次回キャンプする際にこれを入手できたら、ぜひ使ってみたい。

(つづく)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください