朝食後、「ジェットボイル」でお湯を沸かす。ジェットボイルは僕にとって新顔となるキャンプ用品だ。
前回のアウトドア遠征は、2019年11月の上高地。その際、氷点下近い気温の中でなかなかお湯が沸かないことに苛立ったものだ。
目の前のクッカーから早く湯気よ出てこい、と念じながら、「ああ、こんな時にジェットボイルがあったら」と思ったものだ。
そうしたら、その一週間後くらいに僕の職場同僚から「おかでんさんの結婚のお祝いを職場有志で贈ろう、という話になっているんですけど、ここだけの話なにか欲しいものってあります?」と内々に聞かれた。僕は即答で答えたね、「ジェットボイルがいい」と。
そんなわけで、職場の皆様のご厚意で送っていただいたジェットボイル、今ここでお披露目&大活躍ですよ。2020年になってからコロナ発生によって出番が遅くなったけど、今ようやく登場。
ちなみに、このジェットボイルの贈呈式は担当の定例ミーティングが行われた後に「サプライズ」の体で行われた。もちろん僕は何が貰えるのか知っていたのだけど、「えっ、なんだろう?あっ!ジェットボイルだ!嬉しい!ちょうど欲しかったんです!」という三文芝居をうった。
後で、別の同僚から
「貰うもの、最初っから決まってたんですか?サプライズにしてはえらくジェットボイルについてよく喋るから気になった」
と言われて焦った。
貰った際に、多くの同僚たちは「ジェットボイル?何それ?」という顔だったので、僕が「ジェットボイルとはこういうもので、いかにジェットボイルが素晴らしいものか」ということを熱く語ったのだった。それが予定調和すぎたのだろう。しまった。
本来なら、代表幹事が「おかでんさんはキャンプとか登山がお好きだと聞いているので、こういうものを選んでみました」と言ってプレゼントを渡して、僕は「ほう!これは嬉しい。さっそく試してみますね!」と驚きつつ受け取る、という形にならないといけないのに、幹事よりも僕がベラベラとジェットボイルについて語るという展開になっちゃった。
ジェットボイルはお湯を沸かすことしかできない単機能型ガスストーブだ。いちおう、ゴトク風なものを取り付けることで鍋やフライパンを使うことはできる。しかし、火力が弱いのであまり実用的ではない。相当早く湯を沸かせるからといって、火力が強いわけではない。さほど強くない火力でも、熱を極力逃さない構造のため湯が早く沸く仕掛けになっているのがジェットボイルの特徴だ。
今回、そのジェットボイルでコーヒーを淹れることにした。
しかし、このジェットボイル、本体と一体型のクッカーには湯の注ぎ口がない。単に丸い筒だ。
このクッカーでペーパーフィルターに入ったコーヒーをドリップしようとすると、うまくいかない予感。
そこで、フレンチプレスのキットを購入した。これはさすがに自腹だ。
ジェットボイルで沸かしたお湯にコーヒー豆を入れ、待つこと4分。
別売りのフレンチプレス用フランジャーを押し込んで、コーヒーを作る。
軽量に作られているため、安っぽい作りの印象。そのわりに3,000円近くするので随分高い商品だ。
しかし、ドリップしないでコーヒーが淹れられるのは楽でよい。買って良かった。
・・・と思ったが、ええと、後始末がめんどうだな、これ。キャンプ場の流しに、豆のカスをそのまま流すわけにはいくまい。ペーパードリップの場合、ペーパーフィルターごとカスを捨てられるのでむしろ楽だということに気がついた。
会津田島行きの電車が駅にやってきた。
便数が少ない(といっても、少なすぎてレアアイテム化するほどではない)ので、電車を見かけると「おー」と思う。
AIZUマウントエクスプレスも通過。
会津名物の赤べこをイメージした、赤い車両が通過していく。
我々がトイレを利用している建物、そば打ち道場の中に入ってみた。
屋外に面したトイレとは別に、屋内にもトイレがあってキャンプ客は利用可能だ。そのため、建物に鍵はかかっていない。
中に入ってみると、がらんとしているけれど立派な設備があった。
打った蕎麦を食べられるように、せいろも用意されている。
林間学校とか、団体ツアーとかの予約が入れば、このテーブルの上で蕎麦をこねるのだろう。
厨房と客席との間を仕切っているカウンターに、「ロープトウ券のご案内」という値段表が貼ってあった。
ここがスキー場の運営をやめて随分時間が経っているはずだ。この建物がまさにそうなのだけど、古いんだか古くないんだか、よくわからない雰囲気だ。ホコリが積もっていそうで、いない。
蕎麦を茹でるためのテボなども、現役のようなそうでないような、という雰囲気。
テントをひっくり返して、地面に接していた面を干しているところ。
都会&マンション暮らしをしているとすっかり忘れてしまう感覚だけど、一晩の間に夜露というのは相当地面に付着するものだ。こういうキャンプ地の場合、「びしょ濡れ」といっていいほど濡れる。
濡れたままテントを畳んで次回まで放置しておくと、確実にカビが生える。家に帰ったらテントを改めてメンテナンスするものの、一応テントの裏を乾かすのは昔っからの習性だ。
昔はこの何倍も大きくて重たいテントを使っていたので、帰宅後に一人でそれを干して、畳むということが難しかったからだ。なにせ、10キロを超える重さだし、収納袋に詰めるためには全体重を使ってエイエイと折りたたんでいかないといけない。場所だって相当必要だ。だから、昔は帰宅してからテントをメンテナンスする発想なんてなかったものだ。
今使っているテントは、重さが1キロしかない。ペグや張り綱の重さなど全部入れて、1キロだ。相当軽いので、一人でも取り回しが簡単。こういうのに慣れると、今後仮にオートキャンプに復帰するとしてもデカくて重たい大型テントを使うのにはためらいを感じる。小さいテントを一人一つずつ設営して、テント村にしたほうが良いんじゃないか?と思えてくる。テントの数が増えても、設営や片付け、メンテナンスが楽なんじゃないか説。
とはいえ、キャンプの醍醐味というのは一つ屋根の下で寝るという要素もある。今後もこういうキャンプを続けられそうなら、一回り大きなテントを買ってもいいな、と思う。なにしろ、このテントは「僕は一生独身でやっていくんや」と腹をくくっていた時に買ったもので、まさか自分が結婚して、パートナーと一緒にキャンプをやるなんて想定していないものだから。
(つづく)
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