コロナ時代、帰省を諦めテントを張って川で過ごす【みよりふるさと体験村1】

17:07
「ひみつのぬけ道」を通って川に向かう。

川への道は急な下り坂になっている。舗装はされておらず、雨の日は足元が滑るだろう。

川で泳ぐことを前提にゴム草履などをはいている場合、足元がおぼつかなくなる。ロープにつかまりながら歩くことになる、そんなレベルの道。

姪たちは「はやくはやく!」と言いながら、だーっと一気に駆け下りていく。

「今から初めて行くの?」と聞いたら、今日は到着してすぐに1回泳いだ、という。二度目なのか。それはすごいな。

だって、先程僕らと会ったときには普通の服装だった。つまり、水着から着替えたということだ。そこからもう一度水着に着替え直して、もう一度川に突撃するというこのパッションは大人の僕には失われたものだ。そもそも、濡れていて冷えて重たい水着をもう一度着たいと思わない。

時刻はもう17時過ぎ。ほんのちょっとでも泳ぎたい!といって聞かない姪たちが、夕食前になんとかおじさん(=僕)到着をダシにして川に向かう。

兄貴はロッジに籠もり、夕食の準備をしている。今日はチリコンカンを作ると言っていた。

男鹿川。

へえー。なるほどー。

川幅はちょっと広いけれど、その大半がくるぶしが浸かる程度の浅瀬。

これじゃ泳げないじゃないか?と思ったけれど、奥に行けば絶妙に深いところがあった。

今更ながら感心したのが、川遊びってどこでもできるものじゃないし、難しいものだなということだ。

深くてもいけないし、かといって浅くてもいけない。一応は泳げるだけの深さがないと、流れに身を任せたときに体を川底で擦って怪我をする。かといって、どこまでもそんな泳げる深さと川幅と深さがあると、溺れる恐れがある。

このみよりふるさと体験村すぐそばの男鹿川は、そのあたりのバランスがちょうど良かった。

深くて川の勢いが強くなっているところがあって、そこから数十メートル下流に向かえばまた浅くなる。あれよあれよと流されてしまいにくい作りになっていた。

17:18
とはいっても、大人も子どもも全員が川に入るわけにはいかない。常に大人が下流側で見張って、流される人がいないかどうかを見ている役を立てた。

人生で川遊びなんていつ以来だろう?記憶が定かではないが、ひょっとしたら小学1年生のとき以来かもしれない。川に足を漬けるくらいなら何度でもあるけれど、「水着を着て川で遊ぶ」というのは記憶にないレベルで体験がない。なので、いざ水にはいってみてびっくりだ。

まず、水がびっくりするくらい冷たい。サウナの横にある水風呂に我慢して入るのと訳がちがう。川の水は常に流れているので、もろに体温を奪っていく。水温が何度なのかは測っていないが、プールじゃ絶対に味わえない水温だ。

これ、今が夕方だから水温が下がった、なんてことはないぞ。昼間でも、これだけドウドウと水が流れてりゃ、水温が上がる余地が少なそうだ。まだ上流なので、基本的に谷間を川は流れていて日照時間が短いし。

あまりの水の冷たさで、膝程度の水位で「ああああ!」と叫んでいる僕に、姪たちが水をバシャバシャ浴びせてくる。僕は「堪忍して!」と叫ぶのがやっとだ。

「一気に入っちゃえばなんとかなるよ!」

と言われるが、そういう姪たちも最初はずいぶん躊躇していた。寒中水泳で気合を入れるようなものだ。本当に気合がなければ入れないし、気合があっても足がすくむ。

いざ一回頭までザブーンと浸かってしまえば、水風呂と一緒で覚悟が決まるというか、どうにかなるものだ。体が慣れる。

川で泳ぐと、クロールだの平泳ぎだのが全く役に立たないのが笑えてくる。足がつかない場所では立ち泳ぎだし、それ以外でもバタ足がやっとだ。いしは背泳ぎの要領で泳いでいたけど、自分の進行方向が見えない中よく背泳ぎができるな!と驚かされる。

基本的に泳ぐときはビーチサンダルを履いている。裸足だと川底の石を踏んだときに痛いからだ。なので、足が基本的に沈む。川は浅瀬もあるので、ギリギリまで泳ごうとすると体を川底で擦ってしまう。なので、本当に泳げる区間はほんの僅かだ。

たいしたもので、姪たちは浮き輪とボディボードを持参していた。浮き輪はともかく、ボディボードは川遊びにとても向いていた。これに乗っていれば、川底の石で自分の体を大根おろしにされなくて済む。そしてできるだけ長く川の流れに身を任せることができる。

17:36
ものの30分足らずで終了。もう日没だ。

30分でも川遊びは随分やった気分になれる。そのうち10分くらいは「川に入るか、入らないか」で逡巡していた時間だったけど。上流に行って川底が深くなっているところから泳ぎ始め、せいぜい30秒くらいの川下り。それを何度も繰り返す。

川の流れに身を任せるので、基本的に体力はさほど使わない。しかし、水に体温を猛烈に奪われるので、結果的に結構疲れる。これは定期的に休憩を入れていかないとヤバい。

川遊びはプールとは全然次元の違う、異種格闘技みたいな世界だと思った。

17:46
一旦キャンプ場に戻って服を着替える。

このあと、温泉に浸かって、施設でご飯を食べて、そしてテントの脇で焚き火をやって過ごすつもりだ。夕食の準備を全くしていないので、日没前だけど全くバタバタしていない。呑気なものだ。

温泉がある受付棟に向かうついでに、ちょっと周辺の探検に向かう。キャンプ場からよく見えている、「中三依温泉駅」に行ってみよう。

駅に向かう道、キャンプ場を振り返ったところ。あ、なるほど、「B スキー場跡」という看板が出ていた。

そして、「みよりふるさと体験村 ローカル線✕温泉CAMP」という看板もあった。

確かにそうだ。ローカル線を眺めながらの温泉とキャンプ。夏ならば川遊びも。地味だけどなかなかに盛りだくさんなキャンプ場だ。

その気になれば、東京都心からでも「電車だけでキャンプ場に向かう」ことができる。なにせ駅から降りたらすぐのところにキャンプ場があるのだから。キャンプ用品を持参できなくても、ロッジ泊+食事は施設で食べればほぼ手ぶらでそれっぽい体験ができる。

17:48
トンネルをくぐって線路の下を抜けたら、そこが中三依温泉駅の駅前。がらんとしたロータリーと、公衆トイレが一回り大きくなったかのような駅舎があった。

駅前の目抜き通り。

特に商店などはない。

鉄道の便数が少ないこともあって、鉄道輸送に地元民があまり期待を寄せていないことがわかる。駅前であっても商店すらない。あるのは、一本の大樹。

駅のロータリー脇にはお寺があるのが斬新。

そしてロータリーの中央には、盆踊りのときに使うものなのか、やぐらが常設されているというのも斬新。

17:49
せっかくなので中三依温泉駅に入ってみよう。無人駅なので改札はない。

(つづく)

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