
高崎駅構内はとても広く、いろいろなお店がある。
ほら、ここには「峠の釜めし」でおなじみの「おぎのや」のお店がある。
このお店の特徴は、イートインがあるということだ。単に駅弁の「峠の釜めし」を座って食べられますよ、というだけでなく、お店ならではのメニューも用意されている。

ただ、店頭に掲示されているメニューボードを見ると、なにやらあらゆるメニューが釜めしの釜に入って提供されているように見える。このお店、徹底してお釜をお皿というブランディングでやっているのだろうか?
メニューを見ると、「峠の釜めし頭 800円」「峠の釜めし具材2点盛り 400円」なんてものもあって面白い。メシはいらないから具だけ食べたい、という人向けのメニューだ。要するに、具で酒を飲むというニーズがあるのだろう。
まるで蕎麦屋のようだ。「天ぷらそばの台抜き」といって、天ぷらそばの蕎麦はいらないから、つゆと天ぷらだけを頼むというやり方は昔から蕎麦の業界に存在する。それを思い出した。

高崎駅の近くに、ドンレミーアウトレットがあることは知っていた。
今日はたくさん歩いたので、そのご褒美で甘いものを買ってみよう、ということでドンレミーアウトレットに行ってみた。
ドンレミーというのは、スーパーのチルドコーナーでよく売られている(比較的低価格の)ケーキ類のメーカーだ。モンテール、ドンレミーは東京近辺でよく見かけるメーカー名だ。
そのアウトレット店が存在していて、東京近郊だと上野、北千住にあって僕はよく利用している。なにせ、スポンジケーキの切れ端がドスッと一袋100円で売られていたり、とにかく値段のやすさと量の多さがすごい。

あまりに潤沢に商品棚にモノが並んでいるので、「アウトレット用に商品を作っているんじゃないか?」とさえ思ってしまう。その分、気兼ねなく買うことができるし、「今買わないと次は手に入らないかも!」という逼迫感もない。本当に気楽な、気軽な、すばらいいアウトレット店だ。
で、高崎駅すぐちかくのアウトレット店でいくつかケーキを購入。
せっかく高崎まで来たんだから、駅構内でもうちょっと値の張る、珍しいケーキでも買えばいいのに・・・と思うが、一人旅をしている気兼ねからそれはできなかった。なにしろ、同棲・結婚以来たぶん初めての一人旅だからだ。夫婦のサイフは共通なので、僕一人が贅沢するのは気が引けた。
そのかわり、安いアウトレット品のケーキを大量に買って、「今、俺は独り身で悪いことをシてるぅぅぅぅ!」と罪悪感に盛り上がっております。

ドンレミーアウトレットの近くに、「高崎青春ブタ二郎」というラーメン二郎インスパイア店があった。
つけ麺やまぜそばもやっていて、ストイックに「ラーメン二郎」を追い求めているお店というわけではない。御当地事情にあわせた店舗形態なのだろう。
その証拠にか、「17:00~ハイボール1杯無料」という看板がとても目を惹いた。えっ、ハイボールがただで飲めちゃうの?太っ腹。しかも、ハッピーアワーとして限定された時間限りではなく、17時から閉店時までハイボールを出しちゃうらしい。すげえな。
ハイボールを提供すれば、お客さんの胃袋はラーメンが到着する前にある程度満たされてしまう。そうすれば、野菜マシをはじめとする無料トッピングのオーダーが減って、むしろ原価は抑制されるのだ・・・なんて計算が働いている、というのは考えすぎだろうか?

店内に入って客の様子を観察してみるのも面白いのだが、あいにく僕は酒を飲まないし、今晩はホテルの部屋で一人宴会をやることが大決定している。さあ、早く部屋に向かおう。
ホテルは高崎駅東口側、駅前に位置する「HOTEL 1-2-3高崎」という宿。この日は一泊朝食付きで4,700円だった。
ご飯がついて4,700円、しかも駅前だなんて激安にも程がある!と思う。しかし、2021年当時では、ここよりもさらに安い競合宿があったりするのですごい時代だった。コロナのせいで、人流がばったり途絶え、駅前ビジネスホテルは商売を維持するのが大変だったから値引きをするしかなかった。
一方で、「Go To トラベル」といった官製旅行業需要喚起施策がとられると、「どうせ半額は国が面倒を見てくれるんだから」と便乗値上げをする宿が大量に現れ、とにかくこの頃は宿の値段が乱高下していた時代だった。
しかも、基本的に「他県からやってきた奴はコロナに汚染されている。特に東京から来た奴は一番やべー奴」という半分事実で半分差別な理解がまかり通っていたので、「同一県内の人は割引」「他県の人は割引なし」「◯◯県ならば例外的に割引」などと制度が複雑化していた。本当に今思い返しても気分が悪いドタバタ時代だった。
もし僕が単身者のままでコロナ時代を迎えていたら、GoToトラベルをはじめとする割引サービスをフル活用し、全国を旅行しまくっていたと思う。そして各地でテレワークをやっていたと思う。しかし、ちょうどコロナと同じタイミングで結婚、出産というイベントがあったので、我が全国行脚は実現しなかった。

宿にチェックイン。
館内案内を読んでみたが、コロナ時代ならではの警戒心むき出しな内容は書かれていなかった。
せいぜい、朝食サービスのところに「マスク着用」と書かれているだけだった。
大浴場に入れるのは一度に◯名だけ、などといった制限もないようだ。

朝食会場になるであろう場所を確認しておく。
料理が並ぶカウンターの長さや奥行きから品数を推測し、また、カウンター上の電源コンセントの位置から保温性のある食べ物はどれくらい・どの場所に置かれるかも計算する。
今の家からイメージトレーニングをしておくことは大事だ。
朝の食べ放題に備えて腹をすかせておこう、という卑しい根性ではない。未来に思いを馳せ、予想をするということ、しかもそれがでてくるご飯の予想というのは最高に幸せなことだ。

「ほーう、いいねえ」
思わず声を上げてしまった。生ビール2杯+缶詰サービスで税込み1,000円。いわゆるせんべろ、だ。
ホテルは集客のためのサービスをあれこれ考えていて、この宿は「お疲れ様ビール」をお得に提供することにしたのだろう。
僕はお酒が飲めないのでこのサービスは利用できないが、仮にこれが「ノンアルコールビール2杯+缶詰で1,000円」だったらちょっと心が揺らぐ。ノンアルコールビールが、樽生でジョッキに提供されるんなら文句なしで買う。缶や瓶でノンアルが提供されるんなら、いらん。部屋飲みのほうがましだ。
ノンアルコールビール大好きな僕は、昔から「樽生ジョッキで泡がフカフカなノンアルコールビールを出せ!」と言い続けているが、未だにそんな店は殆どない。唯一、四国の高速道路のPAだかSAだかで一回だけ見たことがある。それだけだ。
「樽生ノンアルなんて欲しがる人は全人口の1%未満」だとは思う。だから実現は無理だとわかっているんだが、悔しいなあ。自宅用に、ノンアルの10リットル樽と、生ビールを注ぐためのタップを配備したいくらいだ。カクヤスとかに頼んで、そういう配送をしてもらえないだろうか?
2024年夏、ホテルチェーンの「ドーミーイン」では、一部のホテルの朝食バイキングでオールフリーの樽生を提供する試験サービスを導入していたことが判明。朝から樽生ノンアルコールビール飲み放題って極楽かよ。
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/1824544

最近はウェルカムドリンクを提供するビジホが増えたのかな。このホテルも、充実した品揃えでドリンクを用意していた。
紙コップを手に取り、ボタンを押す程度だけど「手袋着用」を要求するところが2021年クオリティ。
「たくさんドリンクがある!」と喜んでも、チェックイン直後は荷物で手が塞がっているし、コップは小さい。実は大して飲めないものだ。
仮に「ちょっと外に出るついでに」とか「風呂に入ったついでに」とおかわりをしたとしても、飲む量としてはたかがしれてる。

部屋に到着。見てよ、これで1泊朝食付き4,700円。安いなあ。
僕ができることは、せめて「東京モンが来て以降、なんか周囲にコロナ患者が増えたぞ」と言われないように、衛生面はちゃんと管理しよう。マスク、手洗い、消毒、うがい。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (2件)
応仁の乱の西軍の総大将山名宗全につながる山名氏は、この地方の豪族が発祥だそうです。
歴史を感じる地名ですね。
ゆうどんさん>
おおーーー山名宗全!久しぶりに聞いた名前だ!赤入道!
僕は高校時代、社会の選択は日本史だったんですが、
・明治大正あたりで時間切れになって、戦後まで習わなかった
・明治時代に入ってから文化・芸術・政治・経済・世界情勢が入り乱れ、わけがわからなくなった
・南北朝・応仁の乱あたりのゴタゴタをちゃんと記憶できなかった
ということで今や殆ど覚えていないです。みなさんはどうなんですかね?覚えてます?日本史。
一応学生時代に日本史の成績は良かったので、当時は記憶力のみでなんとかなっていたんでしょう。でも、すぐに忘れてしまったのは残念。