離島で癒やされる筈が疲れた22時間【東海汽船ミステリーきっぷ】

4階には案内所があった。

ここに船員さんが控えていて、毛布のレンタルを受け付けたり、船室のランクを有償アップグレードするための手続きをしたりする。

鉾兄も、公衆電話や両替機、天気図などが配置されていた。

一応脱出経路を確認。

案内所の掲示によると、明日の日の出は06:47。伊豆大島に着いた時点ではまだ真っ暗だ。そして外は雨。寝ている間に何かあったら、漆黒の海に逃げ出さないといけない。

コロナ以降、冷凍餃子や冷凍ラーメンといった自販機が街中にやたらと増えた。その立役者が「ど冷えもん」という冷凍自販機だ。

2021年に登場したばかりの自販機なのに、なぜこれをよく見かけるのか、以前から謎だった。そりゃ、コロナ期間中、非対面非接触で物販ができるというのはメリットだけど、だとしても「ど冷えもん」の登場頻度が多すぎる。

なので、今回その謎について調べてみた。すると、代理店がけっこうあちこちにあって販路がしっかりしていること、そしてなによりもコロナによって傷ついた経済の立て直しのため政府が主導した「事業再構築補助金」の受給対象になりやすいことが理由らしい。

事業再構築補助金は、コロナを機に従来の商売を見直し、業態変更や新しい取り組みに着手する際の手助けとして支給されるものだ。事業計画書の提出が必要となるものの、比較的支給要件は緩かったと聞いている。

たとえば、飲食店でキャッシュレス決済用のターミナルを導入するコストも補助金の対象となったりした。

この「ど冷えもん」の場合、ICカード、QRコード決済に対応しているし、24時間無人販売ができるし、販路拡大というストーリーで事業計画書を書きやすいハードウェアだ。なので導入が一気に進んだのだろう。

で、われらがさるびあ丸の「ど冷えもん」だが、売られていたのは

からあげ、フライドポテト、紅ずわいがにのドリア、もちもち生パスタ海老ときのこの明太子クリーム、もちもち生パスタ海老たっぷりトマトクリーム、ポテト&ベーコングラタン

だった。

ドリアは600円、パスタは750円なので、船内で食べる料理としては安く済む。さすが冷凍電子レンジ商品だ。

この自販機を見て思い出すのが、昔はSAなどに数多く導入されていた、ニチレイの冷凍食品自販機だ。「ど冷えもん」と同じように、冷凍食品を売っていたが、ニチレイの自販機は電子レンジも備わっていて、あつあつのものをその場で食べることに主眼が置かれていた。

でも、2021年に惜しまれつつサービスを終了してしまった。ちょうど「ど冷えもん」の登場と入れ替わりになる。

ニチレイの先見の明が無かったのだろうか。ニチレイによると、特殊な自販機を修理する業者がもはやおらず、それでサービスの継続を断念したのだという。

一方こちらは、カップヌードルの自販機。

これは古いな。僕が子どもの頃からあるので、もう40年、50年も続いていることになる。カップヌードル自販機を見かける機会は少ないけれど、決して珍しいほどではない、ほどほどに見かける存在だ。そんな調子のまま何十年も行き続けているのだからすごい。

で、売っている商品が相変わらずカップヌードル、シーフードヌードル、カレーヌードル、チリトマトヌードルなんだから渋い。安定しすぎだろ、と思う。

ちなみにカップヌードル1杯で270円。小腹を満たしたければこれを食べるのが一番安くて手っ取り早そうだ。

自販機の隣には、電子レンジと給湯器があった。

電子レンジ上には、やたらと黄色い警告がでかでかと貼ってある。「持ち込み禁止」「火災の恐れ」などと注意喚起をしまくり、すぐ頭上には監視カメラを設置するという厳重警戒っぷりだ。なんだなんだ、一体何が起きているんだ。

この電子レンジは、「ど冷えもん」で買ったもの専用、というわけだ。

長い船旅には欠かせない、アルコール。

この船には売店がない。そのため、食べ物も飲み物も自販機頼みになる。

お酒がずらっと売られていて、自動車運転免許証を差し込まないとお酒が買えないしくみになっている。今どき免許を持っていない人も一定数いるのだし、マイナンバーカードで買えるようにできないものだろうか?

そもそも、「お酒を売っている自販機」自体が日本全国見渡してもあまり多くない。なので、こういう機器はコストがかかるのかもしれない。昔は、酒屋さんの店頭には必ず酒の自販機があったものだけど。そういえば、そもそも街に「酒屋さん」自体がほとんどなくなっちゃった。

長い旅になるんだし、国内大手ビールメーカー4社の製品は全部置けばいいのに・・・と思う。でも、どういう力学が働いているのか、そうはなっていない。たとえば、キリンは商品を陳列しているものの、「氷結」や「本麒麟」といった安いお酒ばかりで、主力商品の「一番搾り」を置いていない。サントリーも、プレミアムモルツは置いていなかった。

それにしても面白いのが、500mlのビールロング缶が堂々とたくさん並べられていることだ。世の中一般的には、350ml缶の方が市民権を得ていると思うが、船の場合は長旅になるし買い足しに行くのがおっくうになるしで、長丁場を覚悟した500ml缶の売上が伸びるっぽい。

値段はいったいいくらなのだろう?と思ったが、免許証を自販機に挿入しないと、値段すらわからない仕組みになっていた。なんでだ。

ソフトドリンクの自販機はサントリーだった。500mlペットボトルで180円。

貸毛布券売機。貸毛布1枚100円。

1度に10枚借りることができる、1,000円ボタンも券売機にはあった。

2等客室の人で、自前で寝袋などを持参していない人はここで毛布を借りる。

大井ふ頭は電気が落とされ、既におやすみに入っている様子だったが、対岸の青海ふ頭は電気がついていた。ただ、船が着岸しておらず、ガントリークレーンが作業をしている様子はなかった。夜のふ頭は美しい。

(つづく)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18

コメント

コメント一覧 (4件)

  • 利島(以遠)タッチを目論んでたら大島ターンになっちゃったと。
    飛行機でのステータス修行風に言うとこんなとこですね。
    おととし全日空のプラチナ目指してた時は小松ー羽田ー那覇ターンとかやってたので
    交通機関は違いますが何となく懐かしく読んでます。
    那覇だとわりと何でもあるので、乗り継げる最終便まで4時間空いても何とかなるんですが
    大島8時間はちょっとキツそうですね。タケ君の興味と集中力が8時間続くよう、お祈りしときます(笑

    能登の地震当日は飛行機で八丈島タッチやってました。
    機窓からの景色は最高でしたが、足止めは余計でした…

  • ティータさん>
    元旦から修行ですか?お疲れ様です。正月の離島路線の値段はいかがでしたか?帰省が一段落して安いのか、それとも年末年始は高止まりなのか。

    気がついたら、いつのまにかANAの三宅島路線がなくなっていたんですね。知らなかったです。
    ということは、三宅島に飛行機で行くには、調布飛行場からしかないのか。

  • >おかでんさん
    いや、ステータス修行はさすがに卒業しました…羽田那覇一日2往復とかやれる体力もないですし懐が…(笑
    プラチナメッキも3月末で禿げます。
    コロナ明けで需要喚起しててPP大盤振る舞いしてた頃に旅行してたら「…あれ?あと新千歳那覇乗っちゃえばプラチナ(5万PP)行けるんじゃね?」って感じだったのでノリっで取っちゃっただけなので。
    面白かったですけどね。

    島路線の値段はちょっと覚えてませんが、だいたい羽田小松線と同じくらいか福沢さん一枚二枚くらい安かったかなぁ。

    八丈島線、国鉄の急行みたいな雰囲気で良かったです。
    行きの搭乗口も島流し(67番→48番乗継)食らって、whillも無いルートなので車椅子のお世話になりました。

    三宅島、噴火とか色々ありましたもんね。もし今も残ってればDHC-8-Q400(通称ボンちゃん)が飛んでて
    そろそろATR42に世代交代ってなってるんでしょうか。乗ってみたかったなぁ…

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください