離島で癒やされる筈が疲れた22時間【東海汽船ミステリーきっぷ】

06:40
御神火温泉の受付。早朝だけど、バスから降りた人たちが長蛇の列を作っている。

御神火温泉のありがたいのは、施設併設の食堂が朝食営業をやっていることだ。しかも、バスの到着と足並みを揃えて、この時間から注文することができる。朝早くからの営業とてもありがたい。

ただし、温泉施設内の食堂ということなので、入館料を払った人のみが利用することができる。僕らがこの施設に到着して、席を確保しようとしたところ職員さんから「あっ、まず入館料を払ってください」と呼び止められた。

朝食メニューは、

トーストセット(パン、ゆで卵、コーヒー) 600円
おかゆ(島のり、うめぼし、ごまこんぶ付き) 650円
ぶた丼 680円
カレーライス 750円

の4種類からえらぶことができる。

僕らは、朝風呂はともかく朝ご飯をまず食べることにした。

トーストセット。

弊息子タケがゆで卵を割ることに夢中になっていた。彼にはまだ、一人前の食事は与えていない。両親のご飯を少しずつ分け与えるだけで済むからだ。でも徐々に、家族でお出かけすると交通費、食費がかさんでくるようになる。

まずさしあたって、彼が3歳になると飛行機が無料ではなくなり、小児運賃が必要になる。飛行機旅行に行くなら、3歳までに行っておかなくては、と夫婦で話をしている。

こちらはおかゆセット。

朝食のセットメニューをいただくなら、コーヒーが付くしトーストの方がいい気がしていた。しかし、いざこうやっておかゆをたべてみると、かなり満足度が高かった。なにしろ、腹の中にずどんと温かいものが落ちていくからだ。体の芯から温まるので、まだ身体が本調子で動いていない朝には最適だった。よし、元気が出てきたぞ。

07:41
朝食後、朝風呂に入る。その後、元町港からバスが出発するまでの間、また大広間でしばらく時間を過ごす。

夜行船での伊豆大島到着ですっかり疲れてしまったのか、大広間で寝ているお客さんもいる。そういうお客さんは、バスに乗りそびれてこれからの行動範囲が狭くなったはずだ。

離島なので、バスの路線は少ないし、便数も少ない。なので、旅程を組むなんて簡単だろう?と思うだろう。しかし現実には、その薄いダイヤを使って効率よく観光地を巡り、数少ない飲食店の営業時間内にお店を訪れてご飯を食べて、定刻までに船着き場に戻るということをやるのは大変だ。

島に来ただけで幸せだ、あとは海を見て過ごせばいい、と思える悟りの境地の人ならばあたふたしなくてもよい。でも僕の場合はまだ世俗にまみれて、「損しないように生きたい」という気持ちでいっぱいだ。つい、あれもこれもと一筆書きで訪れようとしてしまう。

本当は、小さい子どもがいるのだし、どこか公園とか広場とかに子どもを解き放って1時間でも2時間でも好きにさせたほうがよい。僕がひたすら家族を連れ回してあっちこっちに移動するのは、完全なエゴだと思う。子どもには負担をかけさせてしまっている。

08:21
そろそろ元町港から波浮港方面に向かうバスが出発するので、雨の中御神火温泉を出発する。

弊息子タケに雨合羽をかぶせて歩いてもらうこともできるのだが、グズグズして全然前に進みそうになかったので、抱っこひもが登場した。もう使うことはないだろうと思って、押入れに片付けられて半年近く。離島でまた日の目を見るとは思わなかった。

体重が15キロのタケだと、けっこうギリギリだ。しかし、一応抱っこ紐の商品スペック上では18キロまで対応できるそうだ。

こんな重い彼を、いしは抱っこする。僕が抱っこしようとすると、「私が好きでやってるから」といって彼を手放そうとしない。いしは、タケのことが好きすぎて、体に負担がかかってでもずっと抱っこしていたがる。

そんな彼女だが、背中には大きな黒いバッグを背負っている。タケの着替えをはじめとした、旅行用品を詰め込んでいるものだ。タケを抱っこするなら、バッグは僕が持とうと彼の背中に手を伸ばすと、いしは「いや、私が背負います」と拒否する。

聞くと、重たいタケを体の前に抱っこすると、自分の重心バランスが取りにくくなるので背中にも荷物を背負っていたいのだそうだ。

とにかくいしは苦労人だ。

08:23
御神火温泉から元町港へと向かう。

正面に見えるのが、元町港のターミナル。そして、海に船着き場がまっすぐ突き出ている。

カギ型の防波堤ではないので、沖から押し寄せてくる波はそのまんま岸に打ち寄せる。岸には消波ブロックを並べ、波を打ち消すので精一杯だ。

大海原の中にポコンと浮いている島なので、この島の周囲の海は深いのだろう。防波堤を作ろうにも、海が深いし波は強いし、内海のようにはいかない。

広島出身で、瀬戸内海を見て育った僕は海の迫力に未だにびびる。まず基本的に、瀬戸内海だと「ザッバーン」という音を立てる波など存在しないからだ。

元町港に着くと、黄色いバスで「波浮港経由陸上競技場」行きのバスが停まっていた。これが僕らが乗るバスだ。

陸上競技場から先、大島公園までの間の島東部は集落がないため、観光シーズン以外はバスの運航がない。島一周のバス路線が冬も運航していればいいのに、と思うのだが、採算は取れないのだろう。

僕らは、もし便があるならば、今いる元町から波浮港に行って観光、その後大島公園に行って観光、そして船の出発時間までに岡田港、と島を反時計回りで回りたかった。しかしそれはできない。今回、これから波浮港に行くけれど、そのあとまたこの元町に戻ってこないといけない。

08:45
バスは波浮港に向かって出発。

「さるびあ丸」に乗っていたはずの大勢のミステリーツアー客は一体どこに消えたのだろう?このバスに乗って波浮港に向かう人が大勢いると思ったが、案外いなかった。バスは1時間~2時間に1本のペースで運航されているので、あんまり元町でのんびり過ごしていると、波浮港まで行って帰ってくる時間が足りなくなってくる。

しばらくバスが進むと、前方に地層大切断面が見えてきた。

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • 利島(以遠)タッチを目論んでたら大島ターンになっちゃったと。
    飛行機でのステータス修行風に言うとこんなとこですね。
    おととし全日空のプラチナ目指してた時は小松ー羽田ー那覇ターンとかやってたので
    交通機関は違いますが何となく懐かしく読んでます。
    那覇だとわりと何でもあるので、乗り継げる最終便まで4時間空いても何とかなるんですが
    大島8時間はちょっとキツそうですね。タケ君の興味と集中力が8時間続くよう、お祈りしときます(笑

    能登の地震当日は飛行機で八丈島タッチやってました。
    機窓からの景色は最高でしたが、足止めは余計でした…

  • ティータさん>
    元旦から修行ですか?お疲れ様です。正月の離島路線の値段はいかがでしたか?帰省が一段落して安いのか、それとも年末年始は高止まりなのか。

    気がついたら、いつのまにかANAの三宅島路線がなくなっていたんですね。知らなかったです。
    ということは、三宅島に飛行機で行くには、調布飛行場からしかないのか。

  • >おかでんさん
    いや、ステータス修行はさすがに卒業しました…羽田那覇一日2往復とかやれる体力もないですし懐が…(笑
    プラチナメッキも3月末で禿げます。
    コロナ明けで需要喚起しててPP大盤振る舞いしてた頃に旅行してたら「…あれ?あと新千歳那覇乗っちゃえばプラチナ(5万PP)行けるんじゃね?」って感じだったのでノリっで取っちゃっただけなので。
    面白かったですけどね。

    島路線の値段はちょっと覚えてませんが、だいたい羽田小松線と同じくらいか福沢さん一枚二枚くらい安かったかなぁ。

    八丈島線、国鉄の急行みたいな雰囲気で良かったです。
    行きの搭乗口も島流し(67番→48番乗継)食らって、whillも無いルートなので車椅子のお世話になりました。

    三宅島、噴火とか色々ありましたもんね。もし今も残ってればDHC-8-Q400(通称ボンちゃん)が飛んでて
    そろそろATR42に世代交代ってなってるんでしょうか。乗ってみたかったなぁ…

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