今回の航路が示された地図。
GPS情報と連動しており、船の居場所がわかる。次の着岸地、横浜まで残り33kmで1時間2分。
伊豆大島といえば、東京都心から見ると随分遠いところにある島の印象がある。しかし実際に地図を見ると、伊豆半島のお隣にある、とても身近な島だ。下田とか稲取のあたりから海を見ると、目の前に伊豆大島があるので「ご近所!」という印象すら抱く。
「高速船を使えば、東京竹芝から伊豆大島まで最短1時間45分」と聞くと、「高速船、ハンパなくぶっ飛ばすんだな」と驚く。でも実際は、遠いっちゃあ遠いのだけど思ったよりは遠くない場所にあるのが今回僕らが行く島だ。それは利島、新島、式根島、神津島も一緒。
艦内の探検をしてみる。
建物、乗り物の探検は大好きだ。趣味がよくないかもしれないが、大病院の探検は最近特に好きだ。増築が繰り返され、渡り廊下があるような病院はなおさらだ。
4階を歩く。この階は比較的廊下がまっすぐ。
船のいたるところに廊下がクランク状に曲がっているところがあるし、「ここから先のエリアはこの先の部屋の利用者だけ」という仕切りがあったりする。
この廊下、真ん中に青いラインが引かれているのは、単に見た目の問題ではなく、「真っ直ぐ歩いてくださいね、船は揺れるので気をつけてくださいよ」という注意喚起のためだろう。青いラインのはるか先を眺めながら歩いていかないと、船のうねりで身体が壁にぶつかることがある。
ギョッとしたのが、廊下に足がニョキニョキと出ている光景を見たからだ。なんだあれは?
ここから先は「特2等」の部屋になっている。特2等は二段ベッド席で、仲間同士で談笑するスペースがない。そのため、ベッド脇の細い通路に腰掛け、廊下を挟んで話をしているのだろう。
こちらは2等客室の座席版。
グリーン車のシートのような、オットマン付きの立派な椅子が並んでいる。カーペット雑魚寝の2等客室と値段は一緒。
僕なら、ゴロンとできるカーペット部屋のほうが良いと思うのだが、「雑魚寝は嫌だ・・・」と思う人も一定数いるのだろう。座席も用意されている。
しかしこの席がある部屋は、船の真ん中に位置している洞窟のような場所だ。座っていたら窓の外の景色が眺められる、ということはなく、圧迫感は避けられない。
誰がこれを使うんだ・・・女性ならば使いたいと思うのだろうか・・・?と不思議。この便ではわずかに利用客がいたけれど、ジロジロ見るわけにはいかないので「傾向」は把握できなかった。
なお、よく見ると天井にロールカーテンが備え付けられている。ロールカーテンを下ろせば、隣とのあいだに間仕切りができる作りになっていた。
客室があるフロアとしては一番低い、2階にやってきた。ここは空間が狭く、2等客室だけがある。
全体の客数が少ないため、この2階は誰も利用客がいなかったようだ。
ぱっと見、1等客室と大差ないように見える作りの2等客室。隣との間に簡易的なパーティションがあるし、カーペット敷きだし。
布団がないこと、電源コンセントがないことが明確な違いだけど、正規料金だと伊豆大島便は2等が5,190円、1等が10,370円。なんと倍近い差が設けられている。
1等で贅沢するくらいなら、特2等または2等で良いのでは・・・と思う。今回僕らが1等を選んだのは、ミステリーきっぷなので安かったことと、2歳児を寝かしつけるために布団がほしかったからだ。一人旅だったら、特2等を選んでいたと思う。
なぜこれだけの価格差があるのかは謎だけど、2等は1等と比べて部屋の場所が若干悪いところにある。そういうところで格差をつけているのかもしれない。また、窓のサイズが1等のほうが広い。ただし、1等の窓は外を見ることができるものの、海水のミネラルがびっしりで視界はとても悪い。
2等の部屋のほうが1等と比べて、空間が狭い気がする。その分も値段に反映されているのだろう。
6階のデッキに出てみた。ここは大屋根がついていて、雨の日でも景色を見ることができる。
夏、納涼船になるときはここにステージが設けられ、ダンスパフォーマンスなどが繰り広げられる。そのためのステージは新造さるびあ丸には備わっていて、ステージ背後の壁にはSPY x FAMILYの絵が描かれていた。
驚いたのが、このステージ上で酒盛りをしているグループがいたこと。えっ、寒いだろ!
しかしその寒さをものともせず、酒盛り集団は仲間の輪の真ん中に酒瓶をドカドカと並べ、飲んでいた。アルコールで暖を取る作戦らしい。
こういう景色を見ると、僕は「自分が老いた」ことを実感する。ああ、こういうことって今の僕ならできそうでできないや、と思う。気の合う仲間がいて、わーっと盛り上がっていれば夜の屋外酒盛りだってやってもいいと思う。しかし、そういう仲間が身近にいないことも含めて、自分の老いを感じる。
わざわざ旅情を求めて寒い屋外に出てきたのか?と思ったが、2等客室で宴会をしようにも他のお客さんの迷惑になるので、仕方なくここで宴会をやっている可能性がある。船内には、屋外のベンチやデッキを除いてフリースペースがなく、宴会を開けるようなフリースペースが皆無だった。
東京を遠ざかっていく。さらば東京。でも行き先も東京なんだけど。
さすがに屋外にいると寒い。雨だし、冬だし、夜だし。
屋内探検を続ける。ここはシャワー室。3階に設けられていて、右舷左舷にそれぞれ男女別。
男性用シャワー室は、個室が3つあった。
シャワー室の中はこんな感じ。
100円玉1つで動く。何分使えるかは不明だけど、おそらく3分か4分だろう。
既にシャワー室内は濡れていて、早くも誰かが利用したことがうかがえる。
夏の伊豆諸島は海水浴目当てのお客さんが多いので、東京に戻る際にこのシャワーを使って汗や砂を流すにはちょうどいい。
今回の船旅は、弊息子タケに船を体験させよう、というのが主目的だ。
なので、彼にはもっと頑張って起きていてもらいたいところだが、さすがに出港時間が遅すぎる。出港とともに寝て、伊豆大島着岸まで寝続けてもらわないと睡眠不足になる。
なれない環境に落ち着かないタケを、いしが抱きつくようにしてガードしつつ寝かせる。東海汽船が配慮してくれたのかどうかは不明だが、部屋の入り口にもっとも近い席で、なおかつ壁際だったのがありがたかった。
これでタケが興奮してキャーなどと叫んで走り回ると、困り果てることになる。しかし彼はゴソゴソして寝付くまでに時間がかかったものの、23時過ぎには就寝した。それでも、彼の人生においてはもっとも夜更かしをした部類だ。
これで明日は朝5時半すぎに起きないといけないのだから、彼も大変だ。というか、親の幼児虐待になりそうだ。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (4件)
利島(以遠)タッチを目論んでたら大島ターンになっちゃったと。
飛行機でのステータス修行風に言うとこんなとこですね。
おととし全日空のプラチナ目指してた時は小松ー羽田ー那覇ターンとかやってたので
交通機関は違いますが何となく懐かしく読んでます。
那覇だとわりと何でもあるので、乗り継げる最終便まで4時間空いても何とかなるんですが
大島8時間はちょっとキツそうですね。タケ君の興味と集中力が8時間続くよう、お祈りしときます(笑
能登の地震当日は飛行機で八丈島タッチやってました。
機窓からの景色は最高でしたが、足止めは余計でした…
ティータさん>
元旦から修行ですか?お疲れ様です。正月の離島路線の値段はいかがでしたか?帰省が一段落して安いのか、それとも年末年始は高止まりなのか。
気がついたら、いつのまにかANAの三宅島路線がなくなっていたんですね。知らなかったです。
ということは、三宅島に飛行機で行くには、調布飛行場からしかないのか。
>おかでんさん
いや、ステータス修行はさすがに卒業しました…羽田那覇一日2往復とかやれる体力もないですし懐が…(笑
プラチナメッキも3月末で禿げます。
コロナ明けで需要喚起しててPP大盤振る舞いしてた頃に旅行してたら「…あれ?あと新千歳那覇乗っちゃえばプラチナ(5万PP)行けるんじゃね?」って感じだったのでノリっで取っちゃっただけなので。
面白かったですけどね。
島路線の値段はちょっと覚えてませんが、だいたい羽田小松線と同じくらいか福沢さん一枚二枚くらい安かったかなぁ。
八丈島線、国鉄の急行みたいな雰囲気で良かったです。
行きの搭乗口も島流し(67番→48番乗継)食らって、whillも無いルートなので車椅子のお世話になりました。
三宅島、噴火とか色々ありましたもんね。もし今も残ってればDHC-8-Q400(通称ボンちゃん)が飛んでて
そろそろATR42に世代交代ってなってるんでしょうか。乗ってみたかったなぁ…
ティータさん>
67番から48番というのはきつい!端から端ですね。