離島で癒やされる筈が疲れた22時間【東海汽船ミステリーきっぷ】

なにしろ、本来なら2歳児は1日13時間程度は寝ておきたい生き物だ。昨晩の就寝時間が23時で、6時間ちょっとで叩き起こされるというのは酷な話だ。

それを見越して、昨日の夕方にはお昼寝をさせておいたのだが、到底寝不足を埋め合わせるほどの時間はとれていない。

ふだん、タケは家で寝不足のときは号泣し、添い寝している母親をなんとか寝室に呼び戻そうと叫ぶ。「こっちおいでよぅ、戻っておいで!」と。

しかし今回は、船という興奮を伴う異空間にいるため、2歳児でも気が張っているのだろう。寝不足でも泣いて暴れることなく、淡々と雨具の装着を受け入れていた。彼にとっては、「一体何が始まるんだ?」となすがままの状態だろう。

06:00
定刻よりやや早めに着岸、下船開始。

ここでかなりの数のコンテナを下ろし、そして次の島々へと向かっていかなければならない。巻き気味で運航されるのだろう。

この船にこんなにお客さんが乗っていたのか、と驚くほどドドドと大勢の人が暗闇の伊豆大島へとおりていく。どうやら、今日のミステリーツアーは参加者全員が伊豆大島行きになってしまったっぽい。利島以南の島がすべて「条件付き就航」になっていたからだ。

じゃあ、僕らがこれから行く先々には、ミステリーツアーでやってきた御一行様が大勢いるのだろうか。それはやだなぁ。

僕らミステリーツアー客は、行ける場所・できることがどうしても限られてしまう。しかも、発券から今に至るまでのわずかな時間で島内での過ごし方を決めなくてはならない。なので、どうしても似たような行動パターンになるだろう。

行く先々で混まなければよいのだけど、さてどうなるかな。

伊豆大島は大雨。あわててひさしがあるところまで走って移動する。

さるびあ丸を振り返ったところ。

強い照明に照らされて、美しい。1月下旬だと、まだ6時の時点では空は真っ暗だ。夜明けの気配がない。

僕が以前伊豆大島を訪れたのは、今から14年前の2010年のことだ。そのときと比べて、岡田港はがらっと変わっていた。ターミナルが新設されているのが特徴的だ。

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伊豆大島には客船が着岸できる港が2つある。今僕らがいる、島の北側の入り江にある、岡田(おかた)港。そしてもう一つが、島の西側にある元町港だ。

岡田港は、「よくぞこんなところにフェリーターミナルを作ったな!」と驚くような、崖の下に港を作っている。秘密の港湾基地のような場所だ。一方、元町港は、平坦な島の西側部分で、役所や集落が広がるエリアにある。

元町に船が着岸したほうが便利なのだけど、防波堤がない港のため、冬は西からの波がザッパンザッパンと押し寄せてしまう。そのため、北側に港がある岡田港のほうが就航率が高いらしい。

このため、伊豆大島にあるレンタカー屋は、元町港にも岡田港にも両方アプローチできるように、その中間地あたりに営業所を構えている様子をちらほら見かける。

ターミナルの近くに、黄色いバスが連なって停車していた。あれが、フェリーでやってきた僕らが頼ることができる公共交通機関だ。遠目でも目立つ色なので、ありがたい。

朝6時という早朝にもかかわらず、バスが待機してくれているのは助かる。でも、伊豆大島にとっては、毎日朝6時に大型客船が東京竹芝からやってくるというのは日常の光景であり、特別なことではないのだろう。

この路線バスは何系統かにわかれていて、大島公園、大島温泉ホテル、元町港、波浮港に行くことができる。明確な出発時刻は周知されていない。おそらく、下船した人がバスに乗り込んだ頃合いを見計らって、柔軟に出発するのだろう。船そのものの到着時刻が流動的だし。

しかしその結果、「船から降りたのでトイレに行きたい」「着替えたい」などとのんびりしていた人はバスに乗り遅れることになる。

この岡田港は、周囲に朝から営業しているお店がまったくない。今目の前にあるバスを逃してしまうと、このあと数時間はこの港でじっと待機することになる。

なお、大島温泉ホテルと元町港の近くにある御神火温泉は、朝6時半から温泉に入浴することができる。朝風呂を楽しみながら、このあとに向けて時間調整をすることになる。

やはり、大半のお客さんが元町港行きのバスに乗るようだ。

みんなスルスルと同じバスに乗り込むので、このバスの運賃は船賃に含まれているのではないか?と錯覚してしまうくらいだ。実際はそんなことはなく、ちゃんとバス運賃がかかる。

ちなみに運賃はPayPay払いが可能。こういうところでもPayPayが勢力を拡大中。

なお、バスには一日乗車券があって、それを買うとうまくいけばお得に乗車できるっぽい。ただ、バス便は少ないので、たくさん乗りまくって払ったお金の元を取る!というのはなかなかむつかしい。

06:35
御神火温泉に到着。

朝6時半から営業しているという事前情報どおりに、すでに建物の明かりが灯っていた。ありがたい、雨で身体が濡れて冷たいんだ。これから路線バスが島内をめぐり始める8時頃まで、雨露を凌がせてもらおう。

御神火温泉から伊豆大島の中央、三原山方面を眺めたところ。空が明るくなったものの、分厚い雲に覆われている。

気候が良ければ、大島温泉ホテルにバスで行って、朝風呂を浴びて、それから三原山山頂を目指すのも楽しいだろう。しかし今日はしとしと降り続く雨。山歩きをするような天気じゃないので、その選択肢はない。

今日は、御神火温泉で温泉に入り、朝ご飯を食べてからバスで波浮港に向かう予定だ。

(つづく)

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • 利島(以遠)タッチを目論んでたら大島ターンになっちゃったと。
    飛行機でのステータス修行風に言うとこんなとこですね。
    おととし全日空のプラチナ目指してた時は小松ー羽田ー那覇ターンとかやってたので
    交通機関は違いますが何となく懐かしく読んでます。
    那覇だとわりと何でもあるので、乗り継げる最終便まで4時間空いても何とかなるんですが
    大島8時間はちょっとキツそうですね。タケ君の興味と集中力が8時間続くよう、お祈りしときます(笑

    能登の地震当日は飛行機で八丈島タッチやってました。
    機窓からの景色は最高でしたが、足止めは余計でした…

  • ティータさん>
    元旦から修行ですか?お疲れ様です。正月の離島路線の値段はいかがでしたか?帰省が一段落して安いのか、それとも年末年始は高止まりなのか。

    気がついたら、いつのまにかANAの三宅島路線がなくなっていたんですね。知らなかったです。
    ということは、三宅島に飛行機で行くには、調布飛行場からしかないのか。

  • >おかでんさん
    いや、ステータス修行はさすがに卒業しました…羽田那覇一日2往復とかやれる体力もないですし懐が…(笑
    プラチナメッキも3月末で禿げます。
    コロナ明けで需要喚起しててPP大盤振る舞いしてた頃に旅行してたら「…あれ?あと新千歳那覇乗っちゃえばプラチナ(5万PP)行けるんじゃね?」って感じだったのでノリっで取っちゃっただけなので。
    面白かったですけどね。

    島路線の値段はちょっと覚えてませんが、だいたい羽田小松線と同じくらいか福沢さん一枚二枚くらい安かったかなぁ。

    八丈島線、国鉄の急行みたいな雰囲気で良かったです。
    行きの搭乗口も島流し(67番→48番乗継)食らって、whillも無いルートなので車椅子のお世話になりました。

    三宅島、噴火とか色々ありましたもんね。もし今も残ってればDHC-8-Q400(通称ボンちゃん)が飛んでて
    そろそろATR42に世代交代ってなってるんでしょうか。乗ってみたかったなぁ…

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