アワレみ隊奥のマゾ道

05/03 PM21:14 No.030 道の駅五城目(悠紀の国五城目) 累積走行距離1,218.6km]

五城目に到着した時点で、雨はより一層強くなっていた。夜になってこの仕打ちはなかなか身に染みるものがある。

五城目

ただ本日のノルマはあと2つ、この五城目で山岳ステージは終了。これからは比較的人里に近いところにあるので、気分は楽だ。しかも、お互いの距離が近い。

なんとか22時には終わらせられるかどうか、といったところか。

五城目で記念撮影

スタンプを押して、記念撮影して、すぐに移動。

これで30カ所制覇。でも、まだ先は長い。

[05/03 PM21:35 No.031 道の駅しょうわ(ブルーメッセ・あきた) 累積走行距離1,232.9km]

そろそろ長かった2日目の行程が終わろうとしているのに、何だか敗戦処理をしているかのような気分になる。目的地に到着するやいなや、雨の中を「ひゃー」と叫びながらかけだしていって、スタンプ置き場を濡れながら探して、見つけたらスタンプ押して記念撮影してすぐに車内に駆け戻る。

道の駅しょうわ

一分一秒でも濡れていたくない。さすがに5月の雨はまだ寒い。しかも夜だ。

ただでさえ、道の駅滞在時間が短いこの企画だが、今日の夜はさらに時間短縮モードだ。

敗戦処理の気分、といっても惨めな気持ちになっているわけではない。モチベーションは相変わらず高いのだが、何だか各地のジャングルに潜んでいる友軍に、「もうここは駄目だ、総員撤退だ」と伝えて回る伝令兵みたいな、そんな感じ。

そう、モチベーションはずっと高いまま維持してきた。これは二人とも、同じ心境だった。どんなに夜が更けようとも、「よし、もう一つ先に進むぞ」という気持ちは変わらなかった。もう少しゴールまでの障壁が緩い企画だったら、「もう今日はいいや」とか「やめようぜ、こんな不毛な事」ってギブアップしてしまうかもしれない。しかし、あまりに高すぎるハードルが故に、全ての行程において気が抜けないのであった。ただ、時間ロスを最短に抑えて前に進むしかない。

しかし、かといってアクセルを踏みまくればいいというものではない。昨日は警察に呼び止められたし、今日も警察がスピード違反取り締まりをやっているのを目の当たりにした。急がなければならないが、かといって捕まっては駄目だ。スピード出し過ぎは禁物。その「微妙なバランス感覚」が、ますますわれわれをこの知的なパズル企画に引き込んでいったのだろう。

夜なので閉まっている

ずーっと車を運転してきて、目的地に到着するとほっと一息つく。よし、ようやく到着だ、という気になる。

しかし、閉鎖されているやら人の気配がないやらで、なんともこちらの意気込みをスカしてくれるのが夜の道の駅だ。

この道の駅は、ガラス張りの温室を併設していて、植物園のようになっているらしい。暇なときにきていればいろいろ楽しめただろう・・・

って、この企画になって何回目だ、こんな表現を使ったのは。

ぴったりと閉まった扉の脇に、夜間用のスタンプが置いてあったので有り難くポン、とスタンプ帳に。一丁上がり。

やはり、スタンプされた紙が置いてあるのと、実際にスタンプそのものが置いてあるのではありがたみが違う。悪い奴がスタンプを盗んだりして、数年後には「夜間はどの道の駅もスタンプ用紙だけです」とならないことを願う。

花の大地

この道の駅は、駅名が記載された案内看板や標識が見あたらなかった。どこかにはあるのだろうが、雨の中探し回るのも正直しんどい。

「ま、これでいいか」

入り口脇にあったレストランの看板を「証拠」として記念撮影することにした。

「おい、でもこれは『花の大地』って書いてあるぞ。道の駅ともしょうわ、とも書かれていないんだが」

「しゃーない。今日からここは『道の駅花の大地』ということに決定」

「むちゃ言うなあ」

[05/03 PM21:59 No.032 道の駅てんのう(夢と神話の里) 累積走行距離1,240.2km]

「しょうわ」から次の「てんのう」までは8kmしかない。東北の中では、一番至近距離な関係の道の駅ではないだろうか。なんでこんな近距離で国土交通省の認可が下りたのか、謎だ。

てんのう

しょうわから、ショートカットルートとして住宅地の中をうねうね走りながら走っていったら、何やら前方に怪しく光る塔が見えてきた。

「なんだい、ありゃあ」

「ゴミ処理場にしては煙突がでかいな。観光用の塔だろうな」

「まさかあれが道の駅?」

「いやぁ、さすがにそれはないだろう」

と話していたのだが、まんまと道の駅だった。道の駅を示す道路標識に従って進むと、塔の下に到着してびっくり。何だ、これは。

後で調べたら、「天王スカイタワー」と呼ばれる高さ59.8mの展望塔だということが判明。ここから鳥海山を眺めたり、日本海に沈む夕陽を眺めるのが良いのだとか。

それにしても、われわれは混乱してしまった。このタワーがあるのは「天王グリーンランド」という施設で、タワーの他にバーベキューなどができる施設などいろいろあるらしい。

天王温泉くらら

で、その隣には「天王温泉くらら」という日帰り入浴施設がある。

えと、これ、本当に道の駅か?

国道から入るときは、確かにここが道の駅だと指し示されていたのでよく分かったが、こうやって中に入ってみると何が何だかよくわからん。夜だし、雨だし、人がいないのでどこがメインの施設なのかすらわからない。「道の駅」という事を示すものすらない。

もともと、道の駅を名乗る施設は本名を別に持っていて、「道の駅名」と「施設本名」が混在して非常に紛らわしいのだが、今回はその典型的パターン。われわれは「道の駅てんのう」に来ているわけで、「天王おんせん」とか「グリーンランド」と言われても困ってしまう。

しばらく大雨のなかうろうろしたら、天王温泉のところにスタンプを発見。無事本日の目的達成。二日目は、16番札所「むらやま」からスタートして、ここ32番「てんのう」まで到着。途中、13番「おおえ」に逆戻りしたことを考えれば、1日で18カ所も回った事になる。すげぇや。そのかわり、所用時間は15時間。ひたすら移動しっぱなしの1日だった。

雨の中、記念撮影

雨の中、記念撮影。

安物三脚で、首の部分がへたっていたので写真が傾いてしまった。そうなることは判っていたのだが、これ以上雨に濡れていたくなかったので適当に撮影。

そうしたら、おかでんの顔が写っていなかった。

「さて、ここに温泉施設があるんだから、とりあえず風呂はいるか?飯も気になるところだけど・・・」

「そうだな、昨日も風呂に入っていないことだし」

と思って、そそくさと身支度を始めようとしたら・・・

「あちゃ、駄目だ!閉館時間は22時、って書いてあった!」

「駄目じゃん!」

死闘を繰り広げると、風呂にさえ見放されてしまうのか。しばらく途方に暮れる。22時の時点で、風呂、夕ご飯、今晩停まる場所のいずれもが何一つ決まっていない状態。

しばらく車中で検討。結論としては、「この雨の中、テントを張るのはいやだ。どこか秋田市街で健康ランドを見つけて、仮眠室で一泊しよう」というものだった。それだったら、秋田市街でどこかご飯にありつけるだろうし、風呂と寝場所を一挙に解決できる。

こういうときにありがたいのがカーナビだ。秋田市周辺の銭湯を調べて、地図上に表示させてみた。「駄目だなあ、これは単なるスーパー銭湯っぽい名前だ、泊まることはできなさそうだな」「おっ、これは期待できるかも」などと目星をつけておいて、秋田市へGO。

時刻はすでに22時を回っている。まだ秋田市までしばらく南下しなければならない。

だんまや水産

とりあえず秋田駅前を目標地点として進んでいるうちに、道行く先に「宿泊できます」と書かれれた健康ランドの看板を発見。「おっ、これはいい。ここで宿泊決定」と、深く考えないで即決。寝床と風呂はこれでよかろう。あとは、食事だ食事。

秋田駅前は、こじんまりとしたところだった。われわれ広島出身の人間は、どうしても太平洋・瀬戸内海側の中大規模都市を見慣れてしまっているため、「新幹線も停まる地方中核都市」を想像した際、ある程度大きな町(繁華街含む)を想定してしまう。しかし、実際は秋田にはそれほど人口がいるわけでもなく、「あれっ」となってしまう。

さすがに23時近くにもなると、開いている店が少ない。・・・いや、開いてはいるのだが、郊外のファミレス、牛丼屋、そして駅前周辺のチェーン居酒屋が目に付く。とりあえず、駅近くのコインパーキングに車を停めてあちこち調べてみたが、「今日というナイスファイトな日を締めくくるにふさわしい店はいねかぁぁぁ」となまはげのようにノシノシと歩いている人からすればちょっと物足りなかった。

結局、入ったのは「だんまや水産」。「最低でも海産物は食べたいよな」というのが二人の統一見解だったので、「水産」がつくからまあいいかという判断だ。ただ、その店名の下に「養老乃瀧グループ」という文字が記されていたのだが、まあ見なかったことにする。

メニューを選ぶ

なるほど、このだんまや水産は新業態のお店らしい。席は牛丼屋風に、コの字型カウンターが複数並んでいる配置になっていた。牛丼屋同様、店員はカウンターの中から全ての接客を行う。そういえば「さくら水産」も同じコンセプトで店を構えていたっけ。

コスト削減を狙った店構えと、もともと安く酒が飲める店である養老乃瀧チェーンということもあって、魚介類が比較的安い。質はどうかわからないが、とりあえず魚を食べたかったわれわれとしては悪くない選択だったのではないかと。

・・・というか、もうこの際時間も時間だし、とりあえず何か食べられればそれで良しっていう状態だったんですがね。

乾杯

まずは、本日の健闘を祝って乾杯。

しぶちょおもビールを持っているが、これは単なるやらせ写真です。彼がこんなビールを飲んだら、多分急性アル中で入院・・・では済まないだろうな、命を落としてしまうかもしれない。大切なラリードライバーをこの場で失うわけにはいかない。

ではなぜジョッキが2つも(しかも大生が)あるのかといえば・・・いやもう、飲む奴って一人しかいないじゃないですか。

「今日はよく頑張った!攻略不可能と思われた『あに』にも行ったし!だから、ぐいーっとビールが飲みたい」

と着席直後に高らかに宣言したおかでんは、いきなりビール2杯注文したというわけだ。「どうせ1杯は乾杯直後に飲みきってしまうんだ。だったら店員の手間もあるし、こっちもタイムラグなく飲み続けたいから、最初から2杯頼むのだよキミィ」という論理。

論理よりジョッキ

ま、論理よりジョッキ。それ、ぐいぐい、と。

いや、美味いねまったく。

ビールって、よく「喉をカラカラにかわかしてから飲むと美味い」とかいうけど、おかでんはそういうの、苦手。喉が渇いたら水が飲みたい。

ビールが一番美味いのは、「目的を達成した後に飲む」事だと思う。その目的は運動であるのが一番スマートだけど、今日みたいに道の駅を順調に進んでいる、というのでも十分だ。ましてや、本日の成果は18カ所制覇。これはビールがまずくなる要素など何もない。さっきまで雨でずぶぬれだったのだが、そんなのはお構いなしだ。

一息ついたところで、しぶちょおと本日の振り返り。

「進んだねえ、初日は15カ所・・・といっても、おおえがスタンプ押せなかったから実質14カ所。で、今日が18カ所。今日だけでずいぶんと稼いだよな」

「1時間で1カ所ずつ、というペースかと思っていたんだけど、案外道の駅って近いもんだな。もっとも、下北半島や津軽半島みたいにどうしようもなく遠いところもあるわけだが」

「トータルで32カ所!全体の3割を消化したということになるのか。1日平均16カ所。うーん、いいペースなのかそうでないのか、判断が難しいな」

「6泊7日で行くわけでしょ?16×7日で・・・112か。うん、理論上はこのペースでいけばクリアできそうになってきた」

「おっ!?ホントか!企画開始当時は絶対無理だと思われていたのに?いつリタイアするんだ、っていう話ばっかり先行していたのに」

「できちゃうかもしれんねえ、ひょっとしたら」

「えー。本当に6泊7日でクリアできたら、快挙だな。106カ所目でスタンプ押せたら、一体どんなカタルシスが僕らを待っているんだろう?」

「想像すら、できんな」

「いやあ・・・佳境に入ってきたな。ほら、今ここにいる秋田とか、明日行く青森なんて滅多に来られない場所じゃん?だから、『ゆっくりと温泉浸かろうぜ?もう無理だって』ってリタイアするには恰好の場所でもあるんだよな。でも、状況が許してくれそうに無いなあ、これだと。リタイアなんてできねぇじゃんこれじゃ。あははは」

「でも、酸ヶ湯温泉には行きたいんだよな」

「酸ヶ湯、いいねぇ。あと、乳頭温泉郷な」

「いいね、乳頭温泉。どっちも泊まりたいんだよな、せっかくこっちまで来てるんだから。おかでんよりもさらに、名古屋の俺なんてまずこっちに来ることなんてないんだから」

「青森って、道の駅が津軽平野にわわわわっと固まっているんだよな。そこで数が稼げるんだったら、ひょっとしたらどこか一泊くらい温泉に泊まっちゃってもよかったりなんかして」

「いいねぇ。でもよ、津軽半島と下北半島、それぞれほぼ先端のところに道の駅があるっていう凶悪な県でもあるわけだ、青森ってところは。この両方の半島をやっつけるだけで1日が潰れる」

「うーん!えーと、明日は秋田と青森中心部、明後日は青森半島部から八戸方面、明々後日は岩手入り、その次も岩手、その次で宮城県、その次の日で福島県。あれ、都合7泊8日の行程になりそうなんですけど」

「だよなあ。青森にはやっぱり2日、下手すりゃ足かけ3日滞在する羽目になるかもしれん。それを考えるとなかなか余裕ってないんだよな、やっぱり」

「うーん。まあ、でも何とかなるんじゃないの。とりあえずまた明日考えるべぇ。今日は飲もう、飲もう」

「すいません、烏龍茶おかわり」

その後は、お食事会。おかでんだけ、ビールの後は清酒に切り替えて相変わらずぐいぐい。

料理1
料理2
料理3
料理4
料理5
料理6
料理7
料理8

結構飲み食いして、店をあとにした。時計を見ると、もう24時に近い。明日も早いので、早く寝床を確保しないと。

先ほど見つけた看板のある健康ランドに向かった。着いたところは、特に値段が高いわけでもなく手頃だったので、宿泊を即決。浴衣を貸して貰い、風呂に入って2日分の汚れをおとし、その後仮眠室へ。

仮眠室といっても、リクライニングチェアが置いてあるようなところではなく、ひろーいお座敷だった。客が多かったため、臨時に解放したものなのかもしれない。幸い、人はまばらだったので、周囲に気にすることなくスペースを確保し、毛布をひっかぶって寝た。

2日目の行程はこれにて終了。明日は東北最北の県、青森に突入だ。

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