伊豆大島討伐

くさや屋
ショーケース

今朝上陸した場所である、岡田港がある岡田集落までやってきた。

一周道路からこの集落までの間は、ジェットコースターばりの坂を下らないといけない。地図を見ると、このあたりの道が8の字になって入り組んでいて、なんでこんな糸がもつれたような道路になっているのか不思議。しかし実際に走ってみて、納得だ。ここ、坂がキツいし道幅が確保できないので、一方通行にしてあるのだった。だから、「登り用の道」と「下り用の道」が別。その結果、8の字型になっているのだった。しかも途中にはトンネルを通過するくらいだから、なんとか無理くり港へアプローチしました感がありあり。島の港は大変だ。

岡田港周辺の護岸は広く、駐車スペースになっている。しかしそのスペースがほぼ全部いっぱいになっており、われわれはしばらく港の中を車でうろうろしてしまった。船の時間からずれていることもあり、観光客はほとんど見あたらない。恐らく、この三連休で島からお出かけしていった島民の車と、次の船でやってくるお客さんの到着を待つレンタカーなんだろう。

港がある集落なので、先ほどとは違いお店が何軒もある。「何軒も」といっても、数軒なんだが、それでもなんだかスゲーという気にさせられる。それが島の雰囲気。

とりあえずまずは、港正面にある伊豆大島漁協の直営店に入ってみることにした。引き戸には「大島観光協会」とも書かれており、中ではお店を間借りする形で観光協会がブースを作っていた。普通、こういうのって港の建物内に作るもんじゃないのか、と思うがいろいろなパターンがあるようだ。観光協会の存在は目立ちにくいので、「僕らノープラン。まず島についたら観光協会に相談しよう」と思っている人は要注意。

観光協会でパンフを貰ったり、出入港する港(岡田・元町)の傾向と対策を聞いたりする。既に書いた「西風が吹く冬の時期は岡田港がよく使われる」という情報はここで入手したもの。

「んー、最終日は元町から帰りたいなあ。時間が余ったら、港近くの温泉に浸かって調整できるし」

なんて話をしぶちょおとしていたのだが、どうやらダメっぽい。

隣は、看板どおり漁協直営店ということで、干物やらくさやがガラスケースの中で「買っていってくださぁぁぁい」とわれわれに無言の訴えをしていた。青ムロやトビウオのくさやが売られている。瓶詰めのくさや(既に火が通してあり、そのまま食べられる)は本州でも手にはいるが、やっぱりくさやといえばそのまま魚の形をしたやつを、炙って、むしりつつマヨネーズと七味唐辛子をつけて食べるのが良い。・・・と八丈島に行った時、アホウドリの権威のセンセイが言ってた。瓶詰めは便利だけど、味気ない。ただ、加工済みのものを瓶にでも詰めないとしゃれにならん事態になるのはご存じの通り。

店番をしていたおばちゃんは、われわれに干物を勧めてくれた。

「ほら、見てよこの色。このつや。いい素材のものをすぐにさばいて作らないとこうはならないんだから」

確かに、スーパーで売られているような見るからにぱっさぱさの干物とは違う。なんとも艶やかでなまめかしい干物だ。これは炙ると相当美味そうだ。箸でつついただけで肉汁ならぬ魚汁が溢れそう。たまらん。

「んー、でも僕ら今日来たばかりで、帰るの明後日なんですよねえ」
「大丈夫、日持ちはするから。ここ、営業してるのは金・土・日曜日で、しかも岡田から船が出る時だけしかやってないのよ。帰るのいつ?その時元町から船が出るんだったら、買えないわよ」
「むー」

悩ましい。さすがに旅行初日に、干物をお土産として買う心構えはできていない。

「帰りの便は?熱海の最終?あら、それだったら16時40分じゃない。このお店、10時から6時までしかやっていないのよ」

どうやら、最終日に買うのは無理らしい。怒濤のたたみかけをするオバチャン。で、その言っている事は合理性があるし、売っている商品は魅力的だし。

でも結局、

「ごめんおばちゃん!やっぱりまた今度にするわ」

といって諦めた。まだ僕ら、伊豆大島をほとんど見ていないんだわ。この島イイ!土産買って帰りたい!となるまでもうちょっと待って。

なお、われわれはガラスケースの上にアシタバがそれこそ束になって売られているのを見て、むしろ干物よりも大喜びしていた。

「すげえ。明日葉売ってるぞ」
「150円か。安いな。おかでん買っとけ?」
「欲しいけど、いらんわ。こんな束、荷物になる。仏事の時に使うシキミみたいに束になってるじゃないか」

岡田売店

お隣の「岡田売店」。

ここは土産物も売っているが、お食事もできる。土産物は椿に関係したものが多い。定番の椿油をはじめとし、椿シャンプーやらなんやら。椿油の値段の高さに冷や汗がでる。

ここも金曜日~日曜日、かつ岡田港出航日の営業となっている。すなわち、「時間をズラして、人が少ない平日に伊豆大島に来たぜー」とフェイントをかけた人が、岡田港出入港だったら相当閑散としていることになる。注意。

最初、このお店はカツ丼とか、乾麺をゆでました的なうどん・そば、カレーライスしか出さない、しょぼくれた店だと思った。しかしどうしてどうして、扉に張ってあるメニューを見るとなんとも旅情をそそるものばっかりなのだった。

岡田売店張り紙

◎べっこう丼(あら汁付) 900円 *地魚がとってもおいしい
◎島チャーハン 700円 *海の海苔がおいしい
◎焼き魚定食 600円 *地魚、あらじる丼付(この日の地魚はイサキ)
◎カレーライス 700円 *波浮港ミンチさつま揚げ付
◎ラーメン(愛情さつま揚げ付) 700円
◎あしたばの油炒め 500円

すげー。これぞ「島に来ました!」「旅情とはこういうものだ!」というのを凝縮してる。わざわざガイドに載っているような地物料理の店に行かなくても、こういうところでも十分味わい深いではないか。

焼き魚定食が600円と格安なのに対し、なぜかあしたばの油炒めが500円という変な値付けだが、まあいいや。

こういう「ガイド本には絶対掲載されないだろうけど、実は観光客向けの手頃なお店」っていう情報がもっと多いとありがたいんだがねぇ。さすがに伊豆大島、食べログとかぐるなびといったネットグルメ情報はほとんどない。

○ト売店

さらにその隣には、「○ト売店」という小さなお店があった。

「くさやの干物直売所」と書いてあり、キンメの干物やサンマ丸干しなどを扱っているらしい。

「らしい」というのは、店内のガラスショーケースの様子が一種異様だったからだ。「くさやの干物直売所」という表示の隣に、「パンとインスタントラーメン」という表記があって、なんだこれは、と思ったのだが、実際に店内はまさにそのまんまパンとカップ麺だらけ。お魚類を脇に追いやり、店の中央に堂々とカップスターやら赤いきつね、ペヤングなんぞが山積みになっている。総菜パンもまたしかり。

「何でこんなもの売ってるんだ?」

と不思議で仕方がなかったが、そうか、学生さん用途か。貧乏旅行で伊豆大島に来ました、という場合は「とりあえず腹いっぱいになりゃいいや。カネ無いし」ってことでこれら商品が積極的にチョイスされるのだろう。ましてや、一番安く伊豆大島にいく船は竹芝桟橋から出る夜行フェリーであり、伊豆大島には早朝着だ。朝6時過ぎに島に着いても、お食事どころなんて開いちゃいねー。24時間営業の吉野屋とかマクドナルドなんてあるはずもなく、コンビニだって皆無だ。そうなりゃ、ここでカップ麺の出番ですよ、というわけだな。もっとも、このお店がそんな朝早くから営業しているのかどうかは分からないのだが。でも、復路便でもそういう人たちはカップ麺は食べるだろうから、商売は成り立ちそう。なお、本州から近く、島が大きく人口も多い伊豆大島ではあるが、それでもチェーン展開しているファストフード、コンビニ、カフェといった類は全く存在しなかった。自分の日常生活空間から一歩外れただけで、「当たり前」と思っていた事が全然当たり前ではないことに気がつく。

あんこ娘1
あんこ娘2

「ああ!」

おかでんが前方にあるベニヤ板に気付く。

これもまた定番だ。「いい大人が今更何やってるんだよ」と言われる事は百も承知で、敢えて写真を撮る。なぜなら、そこに「さあこれで写真を撮れ」というモノがあるから。

こんな被写体、記録として残しておいても大して記念にはならんし、ハードディスクの領域を無駄に食うだけなんだが、やめられんのだよなあ。

なお、この写真をPicasaに読み込ませてみたら、顔認識機能がちゃんと作動し、おかでんの写真はおかでん顔フォルダへ、しぶちょおの写真はしぶちょお顔フォルダへと自動仕分けされたのには相当びっくりした。一体どんなロジックで顔認識をしているんだ。

裏道を歩く
いかが干してある

港に面した通りは商店があるのだが、一歩脇道に入ると急に静かな集落に姿を変える。

民宿などが並び、あとはごく普通の民家だ。

こういう空間を歩くのは楽しいので、先ほどの泉津集落に続いて、ここもお散歩してみることにした。

写真右は、ソックスなどの洗濯物を干すのに使う器具でイカを干している図。そうかー、イカってこうやって一夜干しが作れるのかー。

でも、最初見たときは何かのセクシー下着ではないかとちょっとドキドキした。冗談だけど。セクシー下着にしては、黒ずみすぎている。

民宿が並ぶ

港から近いということもあり、民宿や旅館が建ち並ぶ。ただし、こういうところは観光案内所で紹介でもしてもらわないと発見が難しい。伊豆大島の宿泊施設の一部は、楽天トラベルなどに掲載しているが、島といった情報が少ない場所だからこそ、そういうネット活用は非常にアドバンテージになると思う。実際、われわれが予約を入れたのも、楽天トラベル経由だ。

歩いていると、「○○旅館」と名乗っているところと、「民宿△△」という建物が混在している。一体「旅館」と「民宿」の違いって、何だ?外観だけ見ると、違いはないように思える。

おかでんの認識は「旅館」=専業の和式ホテル。「民宿」=民家の一部を開放した、兼業の和式ホテル、だ。ついでにいうと、「洋式の旅館ないし民宿」は「ペンション」というくくり、と思っている。

しかし現実的には、「和風ペンション」があったり、何がなんだかもう訳がわからん。その積年の謎が、まさにここ岡田集落でも展開されている。

「ええと・・・玄関が広くて、大きく引き戸があるところが『旅館』かな。民宿の方は玄関が小さい」

と勝手に解釈してみるが、ちょっと歩いてみると玄関が広い民宿があったりもする。どう考えても、「もともとわしら家族が住んでいた家だったんだけど、息子が独立して部屋が空いたんでそこを宿泊施設にしました」風ではない。

そういえば、われわれが今晩泊まる宿も「民宿」だったっけ。どんな民宿なんだろう。鍵がかからない、廊下とはふすま一枚で仕切られている部屋・・・というイメージなんだが、さてどうかな。

にゃんこ1
にゃんこ2

港近くの集落の定番といえば、猫。

ここにもたくさんの猫が路上を我が物顔で占拠していた。ちょうど猫集会の真っ最中。

猫って、何で「猫集会」をやるんだろう。時々見かけるでしょ?近所の野良猫どもが一堂に会して、何をするでもなく、微妙な距離感でじっとしている光景。お互いの毛繕いをするでもなし、鳴き声でごあいさつするわけでもない。あの「つかず、離れず」の距離は猫的にどういう意味があるのか、人間にはさっぱり分からない。

で、人間様であるおかでんなんぞが近づくと、「ハァ?何だお前」という顔をして一斉にこっちを見るので、逆に人間様が萎縮してしまう。会議中のところ、すんませんでした、と。

それにしても猫がいるわいるわ。一体何匹いるんだ?いくら猫が多産の動物だとはいえ、よくもまあこれだけ繁殖しちゃったもんだ。餌にはどうやら困っていないらしい。

おっと、道路上だけではない、道ばたの井戸跡?の上でもくつろいでいる猫どもがいる。このあたり一帯だけで見れば、猫密度は相当なものだ。人間の方がマイノリティだ。

躍動感ある猫たち

そんな猫どもだが、一斉にざざざっと動いた。静から動への切り替わりの早い事早い事。人間が同じ事をやったら、多分アキレス腱切っちゃうとか、膝をいわせてしまうに違いない。

で、なんでだらんと弛緩しまくっていた猫が動いたのかと思ったら、なにやら一軒の玄関前に集結している。玄関の奥からは、ゴソゴソ音がするので、多分住人の方が玄関から出てこようとしているらしい。

ははーん、猫屋敷だな。ここの人が猫に餌を与えているので、それを慕って猫集結、というわけだ。それにしても餌になると猫必死だな。さっきまでのやる気の無さとはうって変わって、見るからにソワソワしている。

猫としぶちょお
そっぽを向く猫

塀の上で扉が開くのを待ちかまえていた猫を、しぶちょおが接写してみる。

・・・完全に無視された。

人を見て逃げるような野良猫ではないが、かといって人には媚びない。餌をくれる人、くれない人ってのをよく分かってらっしゃる。

八幡神社鳥居
八幡神社におまいりする

猫屋敷の塀に、「八幡神社→」という札が掲げられているのに気がついた。

猫に導かれるような形になったが、八幡神社にも参詣してみることにした。

先ほどの三原神社同様、参道が長い。こういう小さな集落にある神社の場合、道路から即鳥居、そして境内に入ったらすぐにお社というものだと思っていた。しかしこの島の場合、長い参道に美学があるようだ。

また、その参道は若干特殊。真ん中が盛り上がっていて、歩きにくい。また、階段のところは段差が無くなっていて、事実上人は歩けない。これも、三原神社、八幡神社共通フォーマット。

「参道の真ん中は神様の通り道だからだろ?」

しぶちょおは言う。そうだった、参道の真ん中を歩くのは失礼なんだった。慌てて端に飛び退くおかでん。

八幡神社本殿

八幡神社。ここも立派な社殿を持つ。伊豆大島の人は信仰深い性格なのかもしれない。

観光客が頻繁に訪れるような場所ではないし、萌えアニメの舞台になった場所でもないのに、結構立派だ。

そもそも、この崖下にある、狭い岡田集落でそこそこの大きさを持つ神社を造るというのは結構大変な事だ。利便性だけ追求するなら、「神社より民家!」ってなりそうだ。

ところでここ、「三原神社」じゃないんだな。伊豆大島には、三原山という神様とは別に源為朝という武神もいる。だから、八幡神社。

源為朝が保元の乱に破れ、弓が放てないように手の腱を切られた上で伊豆大島に島流しにされた人だ。保元の乱とはなんぞや、というのはwikipediaか何かで調べてください。平清盛全盛期よりもちょっと前の話。親子敵味方に分かれ、子が親を殺すような大変血なまぐさい時代。何せ、法皇だの上皇だの天皇だのがおわすご時世なので、「錦の御旗は我が軍にあり」「我が軍こそ」「えっ?」「えっ?」という戦いだ。

で、八幡神社にはその為朝の島流しの際に持ち込んだ「九重の巻物」がご神体になっている、らしい。「らしい」というのは、そのご神体が「開かずのお箱」に収められており、うかつに開けるとその人の目が潰れてしまうからだという。

こういう時こそ、ASIMOにやらせてみるというのはどうか。ロボットで箱を開けちゃえば、目が潰れるということはあるまい。で、ロボット内蔵のカメラで激写して、またフタをすれば問題ない。

・・・で、その激写された画像を見た人の目が潰れる、と。

なにせ、ご神体だ。超科学的な事が起きてもなんらおかしくない。その画像をYouTubeにアップロードしたら、世界同時多発的に目が潰れる人続出かもしれん。恐ろしい。

浦島太郎の玉手箱なんてまだ可愛いもんだ、あれは「おじいさんになった(実年齢に戻った)」だけだから。なんて凶悪なんだ、「開かずのお箱」は。

乳房銀杏1

神社の境内に、「乳房銀杏」という古木があった。樹齢300年なんだそうだ。

なんてうれしく、かつ恥ずかしい名前をつけているんだ。一体どこにおっぱいがあるというのか。それは美乳なのか、それとも微乳なのか。僕はどちらかといえば後者の方が好きだ。

いやすまん、若干取り乱してしまった。余計な事を口走ってしまったではないか。

乳房銀杏2

解説書きによると、幹が上からつり下がっていて、それを「乳授けの銀杏」と地元の人は呼んでいるそうだ。この先端をさすって、泌乳、安産を祈願する風習があるとのこと。

なるほど趣旨はあい分かった。で、そのセクシーな乳房はどこ?

乳房銀杏3

・・・ああ、これか。男性諸氏が好む肉感的な乳房ではないが、確かに不思議な幹だ。まるで、木の下半分を切り取り、残った枝を隣の大木からぶら下げましたという感じ。どうしてこういう形に成長するのか全くわからない。昔の人がこれに神を、そして御利益を感じたのも無理からぬ。

乳首をさする

そんな伝統と歴史を重んじ、おかでんも御利益にあやかるべく乳房をさすってみた。

「男がやっても意味があるんか?」

しぶちょおがカメラを構えながら、非常に基本的な疑問を呈する。確かにそうだ。安産も、乳がよく出ますように、というのも関係ないや。

「まあ、万が一があるかもしれないから」

いや絶対にそれは無いから。

ほこら

木の棒に藁を蓑のように縛り付けたシンプルな祠、「いぼっちゃ」。多分伊豆大島独特の文化だと思う。これでも祠。特にご神体替わりになる何かが収められているわけではない。屋敷神としての役割があるらしい。

それにしても日本はなんと神様が多いことよ。そのお屋敷の中には台所に神様がおわすし厠にも、自営業の場合は商店にも、いたるところに神様。一神教を信奉している人からすると、八百万の神様という概念は逆立ちしても理解できないだろう。

猫集会
むっとする猫

八幡神社を後にし、先ほどの猫集会会場に戻ってきた。

井戸跡を塞いでいるフタの上でくつろいでいる猫がいたので、試しにデジカメのストラップをちらつかせてみた。猫じゃらしになるのではないか、と思ったからだ。

おっ、明らかに興味を示している。

しかし、ストラップが輪なので、うかつに手を出すと捕獲される「罠」かもしれんと思ったようだ。一切手を出そうとしないし、しばらくすると「邪魔だよ、お前」と嫌そうな顔をされた。連れないなあ。一緒に遊ぼうよ。

しぶちょおが猫をじゃらす

今度はしぶちょおが挑戦。

彼はストラップの付け根にあるプラスチックをチラチラさせてみたら、まんまと一匹が反応。まるでカルタ取りでもするかのようにそのプラ部分を右手で追いかけていた。

ただ、野良猫って普段から変化に富んだ環境で生活しているからか、今更猫じゃらし程度では感動が薄いようだ。室内で飼われている猫だと、「遊び相手キター」とばかりに大はしゃぎするもんだが。

スクーターに乗り込んでいるお犬様

そんな猫どもを尻目に、スクーターに乗り込んでいるお犬様。

ご主人様が戻ってきたら、このスクーターに引っ張られながらお散歩なのだろうか。

忠犬ハチ公と違うところは、ご主人様を迎えにいかないでスクーターの上で待ちかまえているところ。

大島牛乳

港まで戻ってきた。

売店で、「大島牛乳」が売られていた。しぶちょおがうれしそうに牛乳を買う。

「島の牛乳は誠実なんだよ」

とちょっと不思議な事を言う。意味は分かるが、面白い表現だ。そういえば彼は八丈島に言った時も、牛乳を買って飲んでいたっけ。もともと牛乳好きなのだが、島にくると特に牛乳を買う。

島の牧場で採れた牛乳は、物流手段や搬送コストの関係で島内利用に留まる事が多い。その結果、保存が効くようにあれこれ細工をしなくても良いというメリットがあるようだ。この牛乳の表示をよく見ると、低温殺菌牛乳であることがわかる。本州のスーパーだったら、低温殺菌だったらそれを売り文句にするし、お値段もちと高くなるもんだ。でも、大島牛乳は敢えてそれを謳わない。

なお、乳脂肪分は3.3%以上。確かに、飲んでみるとあっさりとしている。一般的に流通している牛乳は3.6%~3.7%くらいだろうから、若干差があることになる。温暖な気候の島、ということで脂肪分が少なくなるのだろうか?

なお、購入した牛乳のサイズは200ml。学校給食用か、生クリームかという紙パックだ。しぶちょおが店員さんに「もっと大きいの、ないの?」と聞いていたが、入荷がなくて今日は売り切れ、なんだそうだ。生産量が限定的なので、島内でも案外貴重らしい。そりゃそうだ、島内消費という限られたマーケットの中で、売れ残りとなるとやっかいだ。売れ残るくらいなら出荷しない・仕入れない、というのが筋だ。

本来なら、200mlとは別に、500ml、1,000mlの紙パックがあるとのこと。

港売店1
港売店2

船着き場のターミナルに入ってみる。

岡田港にわれわれが到着した時は、いつ来るか分からないレンタカーの送迎バスを待ちかまえていたのでこのターミナル内はほとんど見ていなかった。

切符売り場以外に、お土産物を売っている売店と軽食コーナーがあった。

「JAF会員1割引」という表示がところどころに張ってある。JAF会員向けの優待は、さりげなくあちこちであるものであり、実際に会員の人でも使ったことが無い人は多いだろう。おかでんもまたしかり。まさか、伊豆大島で使えるなんて思ってなかった。高速船で渡った島で、JAFがコンニチハしてくるとは。

しぶちょおがやたらと悔しがる。

「あー、会員証持ってくれば良かったー。これは気付かんかった」

確かに、例えばお土産で1,000円買ったとしたら、会員証提示で100円引きだ。これは大きい。しかも、このターミナル売店だけでなく、島内は結構このJAF割引が幅をきかせていた。さらに悔しさ倍増。

ここの軽食コーナー、非常に食べ物が充実していて素敵すぎる。

アシタバの天ぷらなどをはじめとし、べっこう丼やら島のりラーメンやら青唐入りのソーセージなどもある。旅情をかき立てられる島料理はここでも十分堪能可能だ。

船の出航より早く来て、ビール飲みながらこれらをつまんで待つのも一興。

青唐辛子というのは、島内で時々みかけたので、どうやら島の隠れた名物らしい。青唐辛子でぴりっと辛いソーセージ。そそるねぇ。最終日、ここから船が出るなら食べてみたいねえ。

I Love 伊豆大島1
I Love 伊豆大島2

土産物売り場に、Tシャツとタンクトップが飾ってあった。その胸のところには、「I (椿の絵) shima」と書いてある。恐らく、「I (ハート) NY」で「I Love NewYork」と読ませるのと同じで、椿のマークを「Love」と読ませるのだろう。

「アイラブ、島。か。で、椿の花のマークだから、『島』は伊豆大島の事を意味するわけだな」

と感心していたら、従業員さんが

「いえ、アイラブ大島、ですよ」

といってマネキンをこっちに向けてくれた。すると、物陰から「O」の文字が。ああ、「shima」ではなくて「Oshima」だったのか。まあ、どっちでもいいけど。

若い女性が着ると似合うだろう、というタイトなデザイン。特にタンクトップなんて、男が着ると相当暑苦しい。というかマッチョでも豚野郎でもはち切れそうだ。

「おかでん、着るか?」
「いらんよ、これはさすがに」
「Fishに買って帰ったら?」
「いやー、これは実際に大島に来た人じゃないと有り難みがないぜぇ?大島土産です、って知人にあげたって誰が喜ぶよ。こんなの、寝間着にしかならんぞ」

ちょっとお土産には難しい品であったよ。

乳ヶ崎

岡田港を後にしたわれわれは、反時計回りの旅を進める。地図を見ると、「大島灯台」があるということなので、そこを目指す。

確かに、その存在は間違いないようだ。道路標識で島一周道路からの分岐道を指示された。しかしそこからが迷路。森の中をタテヨコ斜めに走る道に翻弄されてしまった。ほんの僅かに「大島灯台→」という小さい看板はあるのだが、全ての分岐にそれがあるわけでもなく、看板がこっちを向いてもいない。結局、道に迷った。

「こりゃダメだなー、多分素通りしたっぽい」

と半ば諦めムードで車が進んでいくと、開けた場所に出てきた。そしてその先は海。小高い丘は見えるが・・・灯台は、ないな。

「やっぱり行き過ぎだ、あれは乳ヶ崎だ」

われわれは大島北端の乳ヶ崎に来ていた。灯台はもう少し手前。今更戻る気にもなれなかったので、まあいいや、という事にした。灯台がエクセレントであるのかどうかすらわからんもの。ただ単に地図に書いてあるから行ってみるべえ、というだけの話。行き違っちゃったらそりゃ残念でしたねサヨウナラ、ということでご勘弁を。

乳ヶ崎はその名の通り、形状が女性の乳房のようであるというところから来ているようだ。大島北端の岬にあり、硫黄島における擂鉢山的な位置関係になる。

「おっぱいに見えるか?」
「微妙だなー」
「昔の人はあれをみて興奮したりしてたのか?」
「ちょっと厳しいぞ、それは」

しばらく二人の心の目で、凝視しまくってみたがどうやってもそれらしきものを想像はできなかった。

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